Xcode OrganizerからiOSアプリを検証・アップロードしたとき、App Store Connectのサーバー検証で「Error 90068」が返され、以前は受理されていたiOS 11向けビルドが突然拒否されることがあります。2026年9月の公式フォーラム報告では、Apple Developer Supportが、iOSアプリの最低要件をiOS 13へ引き上げたことと、2026年9月10日からその要件を適用したことを確認しています。本記事では、エラーの意味、Xcodeでの修正、アーカイブ内の確認、旧OS利用者への代替策を順に説明します。
代表的なエラーメッセージ
Error 90068
This bundle is invalid. The value provided for the key MinimumOSVersion '11.0' is not acceptable.
拒否前には、次のような警告が表示される場合もあります。
MinimumOSVersion too low.
This app has a MinimumOSVersion of 11.0.
原因
原因は、アップロードしたアプリバンドルのInfo.plistに含まれるMinimumOSVersionが、App Store Connectで受理される最低値を下回っていることです。Appleの公式フォーラムに掲載された事例では、MinimumOSVersion = 11.0のビルドは2026年9月9日まで受理されましたが、9月17日のアップロードではError 90068で拒否されました。その後Apple Developer Supportは、iOS 13を最低要件とする検証が2026年9月10日に始まったと回答しています。
重要:Xcodeや署名証明書の破損ではなく、App Store Connect側の配布要件によるサーバー検証エラーです。DerivedDataの削除や証明書の再作成だけでは解決しません。
発生条件と対象バージョン
- Xcode Organizer、
xcrun altool、TransporterなどからiOSアプリをApp Store Connectへアップロードする。 - アプリの実際の
MinimumOSVersionがiOS 11.0など、現在の最低要件であるiOS 13.0未満になっている。 - 公式報告で確認された適用開始日は2026年9月10日です。
- 確認された拒否例は
MinimumOSVersion = 11.0です。Appleの回答からはiOS 13未満が対象と判断できますが、個別バンドルの結果はアップロード前のValidate Appでも確認してください。
推奨する解決手順
1. アプリターゲットをiOS 13.0以上へ変更する
- Xcodeでプロジェクトを開きます。
- プロジェクトナビゲータでプロジェクトを選び、アプリのTargetを選択します。
- GeneralのMinimum Deployments、またはBuild SettingsのiOS Deployment Targetを
13.0以上に変更します。 - DebugとReleaseの両構成、すべてのアプリターゲットとExtensionターゲットを確認します。
.xcconfigで管理している場合は、配布構成に次の設定を入れます。
IPHONEOS_DEPLOYMENT_TARGET = 13.0
2. ターゲットごとの設定上書きを確認する
プロジェクト全体を13.0に変更しても、Release用.xcconfig、App Extension、共有フレームワーク、ビルドスクリプトで古い値を上書きしていると、アーカイブへ11.0が残ることがあります。Release構成の実効値を確認します。
xcodebuild -project MyApp.xcodeproj -scheme MyApp -configuration Release -showBuildSettings | grep IPHONEOS_DEPLOYMENT_TARGET
3. 新しいアーカイブを作成する
既存のアーカイブ内にあるMinimumOSVersionは、プロジェクト設定を変更しても書き換わりません。ビルドフォルダをクリーンにし、ビルド番号を更新してから、Product > Archiveで新規アーカイブを作成してください。
4. アーカイブの実値を確認する
Organizerでアーカイブを右クリックし、Show in Finder、さらにShow Package Contentsを開きます。次のコマンドでアプリ本体の値を確認できます。
plutil -p "/path/to/MyApp.xcarchive/Products/Applications/MyApp.app/Info.plist" | grep MinimumOSVersion
Extensionがある場合は、PlugIns配下の各Info.plistも確認してください。
5. Validate Appを実行してから再アップロードする
Organizerで新しいアーカイブを選び、Validate Appを実行します。Error 90068が消えたことを確認してから、Distribute Appでアップロードします。処理後はApp Store ConnectのBuild MetadataでMinimum iOS versionも確認できます。
代替策
旧OS利用者には最終互換版を残す
新しい更新はiOS 13以上向けにし、既に公開済みの旧OS対応版を「最終互換バージョン」として残す方法があります。App Store Connectの価格および配信状況にあるLast-Compatible Version Settingsでは、既存利用者がiCloudから取得できる互換版を管理できます。旧版に重大な法的問題やユーザビリティ問題がある場合は、公開を残すべきではありません。
Developer Supportへの相談
公式フォーラムの事例では、個別事情を審査したうえで一度限りの例外が認められました。しかしAppleは、例外は通常利用できないとも回答しています。緊急の旧OS向け修正がある場合はDeveloper Supportへ状況を説明できますが、承認される前提でリリース計画を立てないでください。
確認方法
xcodebuild -showBuildSettingsでRelease構成が13.0以上になっている。- 新規
.xcarchive内のアプリ本体とExtensionのMinimumOSVersionが要件を満たす。 - OrganizerのValidate AppがError 90068なしで完了する。
- アップロード後、App Store ConnectのBuild MetadataにあるMinimum iOS versionが意図した値になっている。
- iOS 13の実機またはSimulatorで起動・主要機能・データ移行を回帰テストする。
注意点
Info.plistをアーカイブ後に直接編集すると署名が無効になります。XcodeのDeployment Targetまたは.xcconfigを修正して再アーカイブしてください。- SDKのバージョン要件とDeployment Targetの要件は別です。新しいSDKでビルドしていても、
MinimumOSVersionが低ければError 90068になります。 - 最低OSを引き上げると、iOS 12以前の端末には新しい更新を配信できません。サポート方針、リリースノート、互換版の扱いを事前に確認してください。
- 2026年9月10日という適用日は、Apple Developer Supportの回答を投稿者が公式フォーラムへ追記したものです。Appleの公開要件ページに日付付きの独立告知が見当たらない点も考慮してください。
まとめ
Error 90068でMinimumOSVersion '11.0' is not acceptableと表示される場合、配布用ビルドの最低iOSバージョンがApp Store Connectの要件を下回っています。アプリとExtensionのDeployment TargetをiOS 13.0以上へ変更し、新規アーカイブを作成して、アーカイブ内の実値とValidate Appの結果を確認するのが推奨手順です。旧OS利用者には、公開済みの最終互換版を残す運用を検討してください。
参照した公式情報
- Apple Developer Forums: Error 90068: iOS 11 build accepted in early September, now MinimumOSVersion 11.0 is rejected
- Apple Developer Documentation: MinimumOSVersion
- App Store Connect Help: View builds and metadata
- App Store Connect Help: Make a version unavailable for download
- Xcode: SDK and system requirements
