ターミナル・コマンドライン入門
Windows・macOS・Linuxのターミナルとソフトのインストール方法
パソコンにソフトを入れる方法には、公式ストア、開発元のWebサイト、ターミナルから使うパッケージ管理ツールなどがあります。このページでは、それぞれがなぜ分かれているのかを整理し、Windows・macOS・Linuxごとの実際の使い方まで解説します。
一般向けにはほぼ同じ意味で使います。ただし、画面を持たずターミナルから操作するFFmpegやyt-dlpのようなものは、「アプリ」より「ソフトウェア」「コマンドラインツール」と呼ぶほうが自然です。
ターミナルとは何か
ターミナルは、文字でパソコンへ命令を出すための窓口です。普段はアイコンをクリックしてフォルダを開いたり、ボタンを押してソフトを操作したりしますが、ターミナルでは命令文を入力します。
| OS | 画面・アプリの主な呼び方 | 命令を解釈する仕組み |
|---|---|---|
| macOS | ターミナル | zsh、bashなどのシェル |
| Linux | 端末、ターミナル、端末エミュレーター | bash、zshなどのシェル |
| Windows | Windows Terminal、PowerShell、コマンドプロンプト | PowerShell、cmd.exeなど |
厳密には、ターミナルとシェルは別物です。
- ターミナル:命令を入力し、結果を表示するための画面
- シェル:入力された命令を解釈して実行する仕組み
- コマンド:実際に入力する命令
昔のCUIがそのまま残っているのか
大まかなイメージとしては合っています。昔のパソコンは、画面に文字を表示し、キーボードから命令を入力するCUIが中心でした。その後、アイコンやウィンドウをマウスで操作するGUIが一般化しました。
ただし、現在のターミナルは単なる「昔の名残」ではありません。GUIよりもターミナルのほうが効率的な作業があるため、今も現役で使われています。
- 大量のファイルを一括処理する
- 同じ作業を自動化する
- FFmpegで動画や音声を変換する
- yt-dlpなどのコマンドラインツールを使う
- 開発環境やサーバーを管理する
- 複数のソフトをまとめて導入・更新する
1個のファイル名を変更するだけならGUIが簡単ですが、数千個のファイルを一定の規則で変更する場合は、コマンドやスクリプトのほうが圧倒的に楽です。
なぜインストール方法が複数あるのか
公式ストアから入れる
macOSではApp Store、WindowsではMicrosoft Store、Linuxではソフトウェアセンターなどを使います。審査や署名、更新管理がまとめられているため、初心者でも比較的安全に使えます。
一方で、配布側はストアの規則に従う必要があり、機能や課金方法、更新方法に制約が生じる場合があります。
公式サイトから入れる
開発元のWebサイトから、macOSならDMGやPKG、WindowsならEXEやMSIなどをダウンロードしてインストールします。ストア版より高機能だったり、最新版が早く配布されたりすることがあります。
パッケージ管理ツールから入れる
パッケージ管理ツールは、ソフトの検索、ダウンロード、インストール、更新、削除をまとめて行う仕組みです。
- macOS:Homebrew
- Windows:winget
- Ubuntu・Debian系Linux:apt
- Fedora系Linux:dnf
- Arch Linux系:pacman
ターミナル自体がソフトを配布しているわけではありません。ターミナルからパッケージ管理ツールへ命令し、パッケージ管理ツールが配布元を確認して必要なファイルを導入します。
Windows・macOS・Linuxの対応表
| 項目 | Windows | macOS | Ubuntu系Linux |
|---|---|---|---|
| 文字操作の画面 | Windows Terminal | ターミナル | 端末・ターミナル |
| 主な命令環境 | PowerShell | zsh | bash |
| 公式ストア | Microsoft Store | App Store | ソフトウェアセンター |
| 代表的な管理ツール | winget | Homebrew | apt |
| 運営上の位置づけ | Microsoft公式 | Apple非公式の第三者プロジェクト | OSの標準的な仕組み |
| インストール例 | winget install ... |
brew install ... |
sudo apt install ... |
| 一覧表示 | winget list |
brew list |
apt list --installed |
| 更新候補 | winget list --upgrade-available |
brew outdated |
apt list --upgradable |
macOSとHomebrewの実際の使い方
Homebrewとは
HomebrewはApple公式ではありませんが、macOSで広く使われているパッケージ管理ツールです。特にFFmpeg、yt-dlp、Python、Gitなど、ターミナルで使うソフトの導入に向いています。
Homebrewでは、ソフトを大きく2種類に分けて扱います。
- Formula:FFmpegやPythonなど、主にコマンドラインで使うもの
- Cask:Google ChromeやVisual Studio Codeなど、通常のGUIアプリ
Homebrewが使えるか確認する
brew --version
バージョン番号が表示されれば利用できます。command not foundと表示される場合は、Homebrewが未導入か、パスが通っていません。
ソフトを検索する
brew search ffmpeg
名前が正確に分からない場合は、まず検索してからインストールします。
macOSでよく使われるソフトの例
macOSでHomebrewを使う場合、次のようなソフトがよく導入されます。
- FFmpeg:動画・音声の変換、切り取り、結合、音声抽出など
- yt-dlp:対応サイトの動画・音声取得に使うコマンドラインツール
- x265:H.265/HEVC動画のエンコードに関係するライブラリ
brew listで確認してください。
FFmpegをインストールする
brew install ffmpeg
導入確認:
ffmpeg -version
音声をMP3として取り出す例:
ffmpeg -i input.mp4 -vn output.mp3
yt-dlpをインストールする
brew install yt-dlp
導入確認:
yt-dlp --version
yt-dlpはpipxで管理されることもあります。その場合、Homebrewの一覧には表示されません。
pipx list
このように、同じソフトでもHomebrew、pipx、公式配布など、導入経路によって確認方法が変わります。
Homebrewで入れたものを一覧表示する
すべて表示
brew list
コマンドライン系だけ表示
brew list --formula
GUIアプリ系だけ表示
brew list --cask
特定のソフトがあるか絞り込む
brew list --formula | grep ffmpeg
詳細を確認する
brew info ffmpeg
インストール済みのバージョン、最新版、依存関係、インストール先などを確認できます。
更新する
Homebrewのパッケージ情報を更新
brew update
更新可能なソフトを確認
brew outdated
すべて更新
brew upgrade
FFmpegだけ更新
brew upgrade ffmpeg
古いバージョンやキャッシュを整理
brew cleanup
brew updateは「ソフト一覧の情報更新」、brew upgradeは「実際のソフト更新」です。名前が似ていますが役割が違います。
削除する
brew uninstall ffmpeg
削除後も不要な依存パッケージが残っていないか確認する場合:
brew autoremove
Homebrew全体の状態を診断する
brew doctor
設定、権限、パス、古いファイルなどに問題がないかを確認します。警告が出ても必ずしも致命的とは限らないため、内容を読んで判断します。
FFmpegでライブラリエラーが出た場合
FFmpegが古いx265ライブラリ名を参照して起動できない場合は、FFmpeg本体と依存関係の更新・再インストールを試します。
brew update
brew upgrade
brew reinstall x265
brew reinstall ffmpeg
ffmpeg -version
どのライブラリを参照しているか確認する例:
otool -L "$(which ffmpeg)"
単純にファイル名だけを偽装するシンボリックリンクは、一時的に動いても互換性問題を起こす可能性があるため、基本は再インストールで整合性を直します。
Windowsとwingetの実際の使い方
Windows Terminal、PowerShell、コマンドプロンプトの違い
- Windows Terminal:複数の命令環境をタブで開ける表示アプリ
- PowerShell:現在のWindowsで主に使われる高機能な命令環境
- コマンドプロンプト:昔からあるcmd.exeの命令環境
wingetは通常、Windows TerminalまたはPowerShellから使います。
wingetが使えるか確認する
winget --version
バージョンが表示されれば利用できます。
ソフトを検索する
winget search ffmpeg
Windowsでは同名ソフトや類似パッケージが複数表示されることがあります。インストール時は名前だけでなく、パッケージIDも確認すると確実です。
一般的なインストール例
VLC media player
winget install --id VideoLAN.VLC -e
Visual Studio Code
winget install --id Microsoft.VisualStudioCode -e
Git
winget install --id Git.Git -e
7-Zip
winget install --id 7zip.7zip -e
--idはパッケージIDを指定し、-eは完全一致で探す指定です。似た名前の別ソフトを誤って選びにくくなります。
インストール済みソフトを確認する
winget list
wingetのlistは、wingetで入れたものだけでなく、ほかの方法で導入されたアプリも表示する場合があります。
特定ソフトだけ確認:
winget list ffmpeg
更新候補を確認する
winget list --upgrade-available
または:
winget upgrade
更新する
特定のソフトを更新
winget upgrade --id VideoLAN.VLC -e
更新可能なものをまとめて更新
winget upgrade --all
削除する
winget uninstall --id VideoLAN.VLC -e
新しいWindowsへ導入一覧を移す
現在の導入情報を書き出す:
winget export -o packages.json
別のWindowsで読み込む:
winget import -i packages.json
完全なバックアップではありませんが、新しいパソコンへの再セットアップを楽にできます。
Linuxとapt・dnf・pacmanの実際の使い方
Linuxは1種類のOSではなく、Ubuntu、Linux Mint、Fedora、Arch Linuxなど、多数のディストリビューションがあります。そのため、使うパッケージ管理ツールも異なります。
| 系統 | 主なディストリビューション | 管理ツール |
|---|---|---|
| Debian系 | Ubuntu、Linux Mint、Debian | apt |
| Red Hat系 | Fedora | dnf |
| Arch系 | Arch Linux、Manjaro | pacman |
Ubuntu・Linux Mintのapt
UbuntuやLinux Mintでは、基本的にaptを使います。
パッケージ情報を更新する
sudo apt update
これはソフト本体を更新する命令ではなく、「現在入手できるバージョンの一覧」を更新する命令です。
ソフトを検索する
apt search ffmpeg
インストールする
sudo apt install ffmpeg
複数をまとめて入れる例:
sudo apt install ffmpeg git curl
導入を確認する
ffmpeg -version
インストール済み一覧
apt list --installed
一覧が非常に長いため、絞り込む場合:
apt list --installed 2>/dev/null | grep ffmpeg
更新可能な一覧
apt list --upgradable
ソフトを更新する
sudo apt update
sudo apt upgrade
特定のソフトだけ更新する
sudo apt install --only-upgrade ffmpeg
削除する
設定を残して削除:
sudo apt remove ffmpeg
システム側の設定も含めて削除:
sudo apt purge ffmpeg
不要になった依存パッケージを削除:
sudo apt autoremove
Fedoraのdnf
検索
dnf search ffmpeg
インストール
sudo dnf install ffmpeg
インストール済み一覧
dnf list installed
更新
sudo dnf upgrade
削除
sudo dnf remove ffmpeg
Arch Linuxのpacman
検索
pacman -Ss ffmpeg
インストール
sudo pacman -S ffmpeg
インストール済み一覧
pacman -Q
自分で明示的に入れたものを表示
pacman -Qe
システム全体を更新
sudo pacman -Syu
削除
sudo pacman -R ffmpeg
Arch系では、パッケージ一覧だけ更新してシステム更新をしない「部分更新」を避けるのが基本です。通常はsudo pacman -Syuで全体の整合性を保ちます。
よくインストールされるソフトの例
| ソフト | 主な用途 | macOS | Windows | Ubuntu系Linux |
|---|---|---|---|---|
| FFmpeg | 動画・音声の変換、結合、切り取り、抽出 | brew install ffmpeg |
winget search ffmpegでID確認後に導入 |
sudo apt install ffmpeg |
| yt-dlp | 対応サイトの動画・音声取得 | brew install yt-dlpまたは pipx install yt-dlp |
winget search yt-dlpでID確認後に導入 |
pipx install yt-dlpなど |
| Git | ソースコードや変更履歴の管理 | brew install git |
winget install --id Git.Git -e |
sudo apt install git |
| Python | プログラミング、自動処理 | brew install python |
winget search Pythonで版を確認 |
sudo apt install python3 |
| Visual Studio Code | コード・テキスト編集 | brew install --cask visual-studio-code |
winget install --id Microsoft.VisualStudioCode -e |
公式リポジトリやdeb/Snapなど |
| VLC | 動画・音声再生 | brew install --cask vlc |
winget install --id VideoLAN.VLC -e |
sudo apt install vlc |
| curl | URLからデータ取得、通信確認 | 標準搭載の場合あり | 標準搭載の場合あり | sudo apt install curl |
| tree | フォルダ構造を文字で表示 | brew install tree |
winget search treeで候補確認 |
sudo apt install tree |
winget search ソフト名を実行し、発行元とIDを確認する方法が安全です。
よくあるトラブルと確認方法
「command not found」と表示される
主な原因は次のいずれかです。
- ソフトがインストールされていない
- インストール先がPATHに登録されていない
- コマンド名を間違えている
- ターミナルを開き直す必要がある
- 別の管理方法で導入したため、想定した場所にない
コマンドの場所を確認:
macOS・Linux
which ffmpeg
command -v ffmpeg
Windows PowerShell
Get-Command ffmpeg
同じソフトが複数入っている
公式サイト版、Homebrew版、pipx版などを重ねて入れると、どの実行ファイルが使われているか分かりにくくなります。
macOSでFFmpegの場所を確認:
which -a ffmpeg
複数の場所が表示された場合は、PATHの上にあるものが優先されます。
バージョンを確認する
ffmpeg -version
yt-dlp --version
python3 --version
git --version
「入っているか」だけでなく、「どのバージョンが動いているか」まで確認すると、トラブル原因を切り分けやすくなります。
管理ツールで入れたはずなのに一覧にない
別の仕組みで入れた可能性があります。
| 導入方法 | 主な確認方法 |
|---|---|
| Homebrew | brew list |
| pipx | pipx list |
| Pythonのpip | python3 -m pip list |
| Mac App Store | App Storeの購入済み・アップデート画面 |
| 公式サイト | アプリケーションフォルダや各ソフトの設定画面 |
| winget | winget list |
| apt | apt list --installed |
sudoとは
Linuxでよく使うsudoは、その命令だけを管理者権限で実行するための仕組みです。パスワード入力中は画面に文字や記号が表示されないことがありますが、入力自体は受け付けています。
sudo付きでコピー実行しないでください。管理者権限では、システムの重要ファイルも変更・削除できます。
どの方法でインストールするべきか
| 目的 | 向いている方法 |
|---|---|
| 一般的なアプリを安全かつ簡単に使いたい | 公式ストア |
| ストアにないGUIアプリや、開発元の最新版を使いたい | 開発元の公式サイト |
| FFmpeg、Git、Pythonなどを管理したい | Homebrew、winget、aptなど |
| 複数ソフトをまとめて導入・更新したい | パッケージ管理ツール |
| 特殊な追加機能や独自ビルドが必要 | 公式配布やソースからの導入。ただし上級者向け |
パッケージ管理ツールは便利ですが、すべてのソフトを無理に一本化する必要はありません。App Store版が扱いやすいソフトはApp Store、公式サイト版のほうが機能が揃うソフトは公式サイト、FFmpegのようなコマンドラインツールはHomebrew、というように使い分けるのが現実的です。
インストール経路が分かれば、更新、削除、再インストール、不具合修正の方法も判断しやすくなります。
まとめ
- ターミナルは文字で命令を入力するための窓口
- 昔のCUIの流れを受け継いでいるが、現在も自動化や一括処理で活躍している
- Windows TerminalやmacOSのターミナルは「画面」、PowerShellやzshは「命令を解釈する仕組み」
- 公式ストア、公式サイト、パッケージ管理ツールには、それぞれ安全性・自由度・管理方法の違いがある
- macOSではHomebrew、Windowsではwinget、Ubuntu系Linuxではaptが代表的
- macOSではFFmpeg、yt-dlp、x265などが代表的な管理・確認対象になる
- 導入後は、一覧表示、バージョン確認、更新方法まで把握しておくとトラブルに強くなる
参考資料
- Homebrew公式ドキュメント:brew manpage
- Homebrew公式ドキュメント:FAQ
- Microsoft Learn:WinGetを使用したアプリケーションのインストールと管理
- Microsoft Learn:winget list
- Microsoft Learn:winget upgrade
- Ubuntu公式:パッケージのインストールと管理
- ArchWiki:pacman
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