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ばね定数(フックの法則)の考察例|計算・グラフ・誤差原因・レポートの書き方

ばね定数の測定実験は、ばねに加えた力とばねの伸びの関係を調べ、フックの法則が成り立つことを確認するとともに、ばねの硬さを表すばね定数を求める物理実験です。

ばねに分銅をつるすと、分銅にはたらく重力によってばねが伸びます。弾性限界を超えない範囲では、ばねに加えた力と伸びは比例し、その比例定数がばね定数です。

実験レポートでは、各荷重に対するばねの長さや伸びを記録するだけでなく、力と伸びのグラフ、近似直線の傾き、フックの法則からのずれ、初期長さの読み取り、ばねの振動、弾性限界などを考察することが重要です。

この記事では、鉛直につるしたばねに分銅を順に加える実験を想定し、結果に記録する項目、参考実験値、計算方法、誤差原因、結果文、レポートで使える考察例をまとめます。

注意:

この記事は、大学などの物理実験で得られた結果を考察するための学習用参考資料です。掲載している実験値は説明用の例であり、実際の測定結果ではありません。

ばね、分銅、スタンド、定規などの使用方法と安全上の注意については、必ず所属大学の実験書、担当教員、TAの指示に従ってください。ばねの弾性限界を超える荷重を加えないでください。

ばね定数とフックの法則

ばねを自然長から伸ばすと、ばねには元の長さへ戻ろうとする復元力が働きます。伸びを x、ばね定数を k とすると、復元力 F は次の式で表されます。

F = -kx

負号は、復元力が変位と反対向きに働くことを表します。力の大きさだけを扱う場合は、次のように表せます。

F = kx

この関係をフックの法則といいます。ばね定数 k の単位はN/mであり、値が大きいほど硬く、同じ力を加えても伸びにくいばねです。

質量 m の分銅をばねにつるして静止した場合、分銅には下向きの重力 mg と上向きのばねの復元力が働き、両者がつり合います。

mg = kx

したがって、ばね定数は次の式で求められます。

k = mg / x

結果に記録する主な項目

  • 使用したばねの種類
  • ばねの自然長または基準位置
  • 分銅受けの質量
  • 各分銅の質量
  • 分銅受けを含めた総質量
  • 各条件でばねに加わる力
  • 各荷重におけるばねの長さ
  • 自然長からの伸び
  • 荷重を増加させた場合の測定値
  • 荷重を減少させた場合の測定値
  • 力と伸びのグラフ
  • 近似直線の傾き
  • 計算で求めたばね定数
  • 複数回測定したばね定数の平均値
  • グラフの切片
  • 比例関係から外れ始めた荷重

力と伸びのグラフを作成する場合は、横軸を伸び、縦軸を力とすると、近似直線の傾きがばね定数になります。

参考実験条件

項目 参考条件
測定方法 鉛直につるしたばねへ分銅を順に追加
ばねの自然長 0.150 m
分銅受けの質量 0.050 kg
追加する分銅 0.050 kgずつ
総質量の範囲 0.050~0.300 kg
長さの測定 ばね下端の指標を定規で読み取る
重力加速度 9.80 m/s2
測定回数 各荷重1回以上、必要に応じて増加時と減少時を測定

参考実験値

以下は、ばねの自然長を0.150 mとして測定した学習用参考値です。

総質量 m(kg) 力 F = mg(N) ばねの長さ L(m) 伸び x(m) k = F/x(N/m)
0.050 0.490 0.170 0.020 24.5
0.100 0.980 0.190 0.040 24.5
0.150 1.47 0.210 0.060 24.5
0.200 1.96 0.230 0.080 24.5
0.250 2.45 0.250 0.100 24.5
0.300 2.94 0.271 0.121 24.3

参考値では、力が増えるにつれて伸びもほぼ比例して増加しています。0.300 kgの条件では、読み取り誤差などによって計算値がわずかに小さくなっています。

荷重増加時と減少時の参考値

力(N) 荷重増加時の伸び(m) 荷重減少時の伸び(m)
0.490 0.020 0.021
0.980 0.040 0.040
1.47 0.060 0.061
1.96 0.080 0.080
2.45 0.100 0.101

荷重増加時と減少時の値はほぼ一致しています。このことから、参考範囲内ではばねがおおむね弾性的に変形していたと考えられます。

計算方法

ばねに加わる力

総質量が0.200 kgの場合、ばねに加わる力は分銅にはたらく重力に等しいため、次のように求めます。

F = mg

= 0.200 × 9.80

= 1.96 N

ばねの伸び

自然長が0.150 m、荷重を加えたときの長さが0.230 mの場合、伸びは次のようになります。

x = L − L0

= 0.230 − 0.150

= 0.080 m

各測定値からばね定数を求める

k = F / x

= 1.96 / 0.080

= 24.5 N/m

平均ばね定数

0.050~0.250 kgの5条件で、すべて24.5 N/mとなった場合、平均値は次のようになります。

平均ばね定数 = (24.5 + 24.5 + 24.5 + 24.5 + 24.5) / 5

= 24.5 N/m

グラフの傾きから求める方法

力を縦軸、伸びを横軸としてグラフを作成すると、フックの法則は次の直線式として表せます。

F = kx

したがって、近似直線の傾きがばね定数です。例えば、近似直線が次の式で表された場合を考えます。

F = 24.4x + 0.01

このとき、ばね定数は24.4 N/mです。切片0.01 Nは、自然長や力の基準点の読み取り誤差、分銅受けの扱いなどによるずれを表す可能性があります。

伸びを縦軸にした場合

伸びを縦軸、力を横軸とした場合、グラフの傾きはばね定数そのものではなく、ばね定数の逆数になります。

x = (1/k)F

例えば、近似直線の傾きが0.0410 m/Nであれば、ばね定数は次のようになります。

k = 1 / 0.0410

= 24.4 N/m

主な誤差原因

誤差原因 測定への影響 結果に現れやすい傾向 改善・確認方法
ばねが振動した状態で読み取った ばね下端の位置が一定しない 伸びの値が不規則にばらつく 振動が十分に収まってから読む
定規を斜めから読んだ 視差によって位置を誤って読む ばねの長さが大きくまたは小さくずれる 目線を指標と同じ高さにする
自然長の測定誤差 すべての伸びに同じずれが加わる グラフの切片が0からずれる 無荷重時の基準位置を複数回測定する
分銅受けの質量を含めなかった 実際より小さい力で計算する ばね定数を小さく求める 分銅受けを含む総質量を使用する
分銅の質量誤差 力の計算値がずれる ばね定数が系統的にずれる 必要に応じて質量を実測する
ばねが鉛直でない 力がばねの軸方向だけに働かない 伸びが小さくなったり横揺れが生じたりする スタンドとばねの位置を調整する
荷重を急に加えた ばねが大きく振動する 安定位置の読み取りが難しくなる 分銅を静かに追加する
弾性限界を超えた 荷重を除いても元の長さに戻らない 力と伸びが比例しなくなる 指定された荷重範囲を守る
ばね自身の質量 ばねの各部分が自重で伸びる 単純な質点モデルとわずかにずれる 自然長を基準にし、必要なら補正を検討する
目盛の最小単位が大きい 小さい伸びを細かく読めない 低荷重側で相対誤差が大きくなる 細かい目盛の定規や変位センサーを使う

グラフが原点を通らない理由

理想的には、ばねに加える力が0のとき伸びも0となるため、力と伸びのグラフは原点を通ります。しかし実際には、自然長の読み取り誤差、分銅受けの質量の扱い、ばね下端の指標位置、装置のゼロ点などによって切片が0からずれることがあります。

切片が小さく、測定値がおおむね直線上に並んでいる場合は、ゼロ点のずれが主な原因と考えられます。一方、荷重が大きい部分だけ直線から外れる場合は、弾性限界への接近やばねの非線形性を疑う必要があります。

低荷重側でばね定数がばらつく理由

荷重が小さいとばねの伸びも小さいため、定規の読み取り誤差が伸びに占める割合が大きくなります。例えば、伸びが0.020 mのときに1 mmの誤差がある場合、相対誤差は5%です。

このため、各点ごとに k = F/x を計算するよりも、複数の測定点を用いた近似直線の傾きからばね定数を求める方が、偶然誤差の影響を小さくできます。

荷重増加時と減少時の値が異なる理由

荷重を増やした場合と減らした場合で伸びが異なる現象をヒステリシスといいます。ばね内部の摩擦、材料の性質、取り付け部のずれなどによって生じることがあります。

差が大きい場合や、荷重を除いても自然長へ戻らない場合は、弾性限界を超えて永久変形が生じた可能性があります。

結果の書き方の例

鉛直につるしたばねに分銅を0.050 kgずつ加え、ばねの長さを測定した。ばねの自然長は0.150 mであり、総質量0.050~0.300 kgの範囲で測定を行った。

総質量を増やすと、ばねに加わる力と伸びはいずれも増加した。力を縦軸、伸びを横軸としてプロットすると、測定点はおおむね直線上に並んだ。

近似直線の傾きから求めたばね定数は24.4 N/mであった。また、各測定値から求めたばね定数は約24.3~24.5 N/mとなり、ほぼ一定であった。

考察につなげるポイント

  • 力と伸びに比例関係が見られたか。
  • 近似直線の傾きから求めたばね定数はいくらか。
  • 各測定点から求めたばね定数は一定であったか。
  • グラフは原点を通ったか。
  • 切片が0からずれた原因は何か。
  • 低荷重側と高荷重側でばらつきに違いがあったか。
  • 弾性限界を超えた兆候はなかったか。
  • 荷重増加時と減少時の値は一致したか。
  • 分銅受けの質量を含めて計算したか。
  • ばねの振動や視差は測定に影響しなかったか。
  • ばね定数の大きさがばねの硬さとどう関係するか。

考察例

本実験では、鉛直につるしたばねに分銅を加え、ばねに加わる力と自然長からの伸びの関係を調べた。

測定の結果、分銅の総質量を増加させると、ばねに加わる力と伸びはともに増加した。力を縦軸、伸びを横軸としてグラフを作成すると、測定点はおおむね一直線上に並んだ。このことから、測定した荷重範囲では力と伸びが比例し、フックの法則が成立したと考えられる。

近似直線の傾きから求めたばね定数は24.4 N/mであった。また、各測定値について k = F/x を計算すると、約24.3~24.5 N/mとなり、ほぼ一定の値が得られた。したがって、ばね定数は荷重によらず一定であるという結果が得られた。

ばね定数24.4 N/mは、ばねを1.00 m伸ばすために理論上24.4 Nの力が必要であることを表す。実際の測定範囲では、0.100 m伸ばすために約2.44 Nの力が必要となり、参考実験値と一致する。

測定値が完全な直線上に並ばなかった原因として、ばねの振動、定規の読み取り誤差、自然長の測定誤差、分銅の質量誤差、ばねが完全に鉛直でなかったことなどが考えられる。

特に、分銅を追加した直後はばねが上下に振動するため、安定する前に長さを読んだ場合、伸びを大きくまたは小さく測定する可能性がある。また、ばね下端の指標と目線の高さが一致していない場合、視差による読み取り誤差が生じる。

グラフの切片がわずかに0からずれた場合、その原因として、自然長や基準位置の読み取り誤差、分銅受けの質量の扱い、力または変位のゼロ点のずれが考えられる。切片のずれが小さく、測定点が直線上に並んでいれば、ばね自体の比例関係よりも装置の基準設定による影響が大きいと考えられる。

荷重増加時と減少時の伸びはほぼ一致し、荷重を除いた後もばねは自然長付近へ戻った。このことから、今回の荷重範囲ではばねは弾性限界を超えておらず、永久変形は生じなかったと考えられる。

測定精度を高めるには、分銅を静かに追加し、振動が収まってから目線を指標と同じ高さにして読み取る必要がある。また、各点の比からばね定数を求めるだけでなく、複数の測定点を用いた近似直線の傾きを使用することで、個々の読み取り誤差の影響を小さくできる。

以上より、弾性限界内ではばねに加わる力と伸びは比例し、その比例定数としてばね定数を求められることを確認できた。

ばね定数が大きく求められた場合の考察例

ばね定数が想定より大きく求められた原因として、ばねの伸びを実際より小さく読み取った可能性が考えられる。自然長を大きく測定した場合や、視差によって荷重時の長さを小さく読んだ場合、計算に用いる伸びが小さくなり、k = F/x からばね定数は大きく求められる。

ばね定数が小さく求められた場合の考察例

ばね定数が想定より小さく求められた原因として、分銅受けの質量を力の計算に含めなかった可能性や、ばねの伸びを実際より大きく読み取った可能性が考えられる。また、大きな荷重によってばねが弾性限界に近づき、力と伸びの比例関係から外れ始めていた可能性もある。

まとめ

ばね定数の測定では、ばねに加える力と自然長からの伸びを測定し、フックの法則 F = kx を用いてばね定数を求めます。

力を縦軸、伸びを横軸としたグラフでは、近似直線の傾きがばね定数になります。弾性限界内であれば、力と伸びはほぼ比例し、ばね定数は荷重によらず一定になります。

考察では、グラフの直線性、切片、弾性限界、ばねの振動、自然長、分銅受けの質量、視差、荷重増加時と減少時の違いなどを関連づけて説明することが重要です。