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単振り子の考察例|周期・重力加速度の計算・誤差原因・レポートの書き方

単振り子の実験は、糸の先に取り付けたおもりを小さく振動させ、振り子の長さと周期の関係を調べる物理実験です。

振れ角が十分に小さく、糸の質量や空気抵抗を無視できる場合、単振り子の周期は振り子の長さの平方根に比例します。この関係を利用すると、測定した周期と振り子の長さから重力加速度を求めることができます。

実験レポートでは、周期を計算するだけでなく、振り子の長さの測定位置、振れ角、計時方法、空気抵抗、支点の摩擦などが結果に与えた影響を考察することが重要です。

この記事では、単振り子の実験について、結果に記録する項目、参考実験値、計算方法、誤差原因、結果文、レポートで使える考察例をまとめます。

注意:

この記事は、大学などの物理実験で得られた結果を考察するための学習用参考資料です。掲載している実験値は説明用の例であり、実際の測定結果ではありません。

実験装置の組み立て、振り子の固定、測定範囲、安全上の注意については、必ず所属大学の実験書、担当教員、TAの指示に従ってください。

単振り子の実験とは

単振り子は、軽く伸びない糸の先に小さなおもりを取り付け、一定の支点からつるしたものです。おもりをわずかに横へ動かして静かに放すと、重力によって往復運動を行います。

振れ角が十分に小さい場合、単振り子の周期 T は次の式で表されます。

T = 2π√(L / g)

ここで、T は周期、L は支点からおもりの重心までの長さ、g は重力加速度です。

この式を重力加速度 g について整理すると、次のようになります。

g = 4π2L / T2

したがって、振り子の長さと周期を測定することで、重力加速度を求めることができます。

結果に記録する主な項目

実験結果には、計算した重力加速度だけでなく、計算の根拠となる測定条件と生データも記録します。

  • 振り子の長さ
  • 糸の長さとおもりの半径
  • 支点からおもりの重心までの距離
  • 初期の振れ角
  • 測定した往復回数
  • 複数回分の振動時間
  • 1周期あたりの時間
  • 周期の二乗
  • 各条件から求めた重力加速度
  • 重力加速度の平均値
  • 比較に用いた基準値
  • 基準値との差および相対誤差
  • 測定中に見られた振れの乱れや装置の状態

複数の振り子の長さで測定した場合は、振り子の長さ L と周期の二乗 T2 の関係を表やグラフに整理すると、単振り子の理論式との一致を確認しやすくなります。

参考実験条件

項目 参考条件
振り子 細い糸の先に金属球を取り付けた単振り子
振り子の長さ 0.30、0.40、0.50、0.60、0.70 m
振れ角 5度以下
測定回数 各長さにつき10往復を3回測定
周期の求め方 10往復の時間を10で割る
計算式 g = 4π2L / T2
比較値 9.80 m/s2

振り子の長さは、支点からおもりの下端までではなく、支点からおもりの重心までの距離として測定します。球形のおもりを使用する場合は、支点から球の上端までの糸の長さに球の半径を加えます。

参考実験値

以下は、単振り子の周期から重力加速度を求める場合の学習用参考値です。

振り子の長さ L(m) 10往復 1回目(s) 10往復 2回目(s) 10往復 3回目(s) 平均時間(s) 周期 T(s) T2(s2 g(m/s2
0.30 11.01 10.98 11.00 11.00 1.100 1.210 9.79
0.40 12.70 12.67 12.69 12.69 1.269 1.610 9.81
0.50 14.21 14.18 14.20 14.20 1.420 2.016 9.79
0.60 15.56 15.53 15.55 15.55 1.555 2.418 9.80
0.70 16.80 16.77 16.79 16.79 1.679 2.819 9.80

この参考例では、各振り子の長さから求めた重力加速度は9.79~9.81 m/s2となり、比較値9.80 m/s2に近い結果となっています。

重力加速度の平均値

平均値 = (9.79 + 9.81 + 9.79 + 9.80 + 9.80) / 5

= 9.798 m/s2

有効数字を考慮すると、重力加速度は9.80 m/s2と表せます。実際のレポートでは、振り子の長さと時間の測定精度に合わせて有効数字を決めます。

周期と重力加速度の計算方法

周期の求め方

10往復に要した平均時間が14.20 sであった場合、1周期は次のように求めます。

T = 10往復の時間 / 10

= 14.20 / 10

= 1.420 s

1往復だけを測定するよりも、10往復や20往復をまとめて測定した方が、ストップウォッチを押す反応時間の影響を相対的に小さくできます。

1つの測定値から重力加速度を求める場合

振り子の長さが0.50 m、周期が1.420 sであった場合、重力加速度は次のように計算します。

g = 4π2L / T2

= 4 × 3.14162 × 0.50 / 1.4202

= 19.739 / 2.016

= 9.79 m/s2

相対誤差の計算

実験値を9.80 m/s2、比較値を9.80 m/s2とした場合、相対誤差は次の式で求めます。

相対誤差(%) = |実験値 − 比較値| / 比較値 × 100

= |9.80 − 9.80| / 9.80 × 100

= 0.00%

実際の測定では完全に一致するとは限らないため、測定値に応じて相対誤差を計算します。

グラフの傾きから求める場合

単振り子の周期の式を二乗すると、次のようになります。

T2 = (4π2 / g)L

横軸を振り子の長さ L、縦軸を周期の二乗 T2としてグラフを作成すると、原点を通る直線関係が期待されます。

グラフの傾き = 4π2 / g

g = 4π2 / グラフの傾き

たとえば、近似直線の傾きが4.03 s2/mであれば、重力加速度は次のようになります。

g = 4π2 / 4.03

= 39.478 / 4.03

= 9.80 m/s2

複数の振り子の長さを用いて近似直線を求める方法は、1つの測定値だけから計算するよりも、偶然誤差の影響を小さくできる利点があります。

主な誤差原因

誤差原因 測定への影響 結果に現れやすい傾向 改善・確認方法
振り子の長さの測定誤差 支点からおもりの重心までの距離と記録値が一致しない 長さを大きく測るとgは大きく、短く測るとgは小さくなる 支点からおもりの中心までを測定する
振れ角が大きい 小角近似が成立しにくくなる 周期が長くなり、gを小さく求めやすい 初期角度を5度以下にする
手で押して放した 余分な初速度や横方向の運動が生じる 周期のばらつきが大きくなる おもりを静かに放す
反応時間 ストップウォッチの開始・停止が実際の通過時刻とずれる 周期が長くも短くも測定される 多数回の往復をまとめて測定する
往復回数の数え間違い 周期の計算に大きな誤差が生じる gが大きくずれる 基準位置を決め、通過回数を一定の方法で数える
空気抵抗 振幅が徐々に小さくなる 理想的な単振り子からわずかにずれる 小さく密度の高いおもりを使用する
支点の摩擦 振動が減衰し、運動が理想状態から外れる 周期や振幅にわずかな変化が生じる 支点を滑らかにし、糸が擦れないようにする
振動面が一定でない おもりが楕円や円を描くように動く 周期のばらつきが大きくなる 一定の鉛直面内で振動させる
糸の伸び 振動中の実際の長さが変化する 周期が長くなり、gを小さく求めやすい 細く伸びにくい糸を使用する

振れ角が大きいと誤差が生じる理由

単振り子の周期の式は、振れ角が小さい場合に成り立つ近似式です。振れ角が大きくなると、周期は理論式から求めた値より長くなります。

周期が長く測定されると、重力加速度の計算式では分母の T2 が大きくなるため、重力加速度は小さく求められます。

振り子の長さの測定位置が重要な理由

単振り子の長さは、支点からおもりの重心までの距離です。糸の長さだけを用いたり、おもりの下端までを測定したりすると、実際の振り子の長さと異なる値になります。

長さを実際より大きく見積もると重力加速度は大きく、実際より小さく見積もると重力加速度は小さく計算されます。

多数回の往復を測定する理由

1周期だけをストップウォッチで測定すると、開始と停止の反応時間が測定値に対して大きな割合を占めます。

10往復や20往復分をまとめて測定し、その時間を往復回数で割ることで、反応時間の影響を相対的に小さくできます。ただし、振動が長く続くと振幅が減少するため、測定回数は実験書の指定に従います。

結果の書き方の例

振り子の長さを0.30~0.70 mまで変化させ、それぞれについて10往復に要する時間を3回測定した。各測定値の平均から周期を求め、単振り子の周期の式を用いて重力加速度を計算した。

各条件から求めた重力加速度は9.79~9.81 m/s2となり、平均値は9.80 m/s2であった。この値は比較値9.80 m/s2とよく一致した。

また、振り子の長さ L を横軸、周期の二乗 T2を縦軸としてプロットすると、両者にはおおむね直線関係が見られた。この結果は、単振り子の周期の二乗が振り子の長さに比例することと一致した。

考察につなげるポイント

  • 測定した重力加速度が比較値にどの程度近かったか。
  • 相対誤差は何%であったか。
  • 振り子の長さと周期の二乗に直線関係が見られたか。
  • グラフの切片が0に近かったか。
  • 振れ角は十分に小さかったか。
  • 振り子の長さを支点から重心まで測定したか。
  • ストップウォッチの反応時間が結果に影響しなかったか。
  • おもりを押さずに静かに放したか。
  • おもりが一定の鉛直面内で振動していたか。
  • 空気抵抗、支点の摩擦、糸の伸びが影響しなかったか。
  • 複数回測定とグラフ解析によって偶然誤差を減らせたか。

考察例

本実験では、振り子の長さと周期の関係を測定し、単振り子の周期の式から重力加速度を求めた。各振り子の長さから求めた重力加速度は9.79~9.81 m/s2であり、その平均値は9.80 m/s2となった。この値は比較値9.80 m/s2とよく一致したため、実験結果は単振り子の理論式をおおむね支持していると考えられる。

また、振り子の長さ L と周期の二乗 T2の関係をグラフにすると、測定点はおおむね直線上に並んだ。単振り子では、振れ角が十分に小さい場合、周期の二乗は振り子の長さに比例する。したがって、今回の結果はこの比例関係と一致している。

実験値が比較値と完全には一致しなかった原因として、振り子の長さの測定誤差、ストップウォッチを操作する際の反応時間、初期の振れ角、空気抵抗、支点の摩擦などが考えられる。

特に、単振り子の長さは支点からおもりの重心までの距離であるため、糸の長さだけを測定した場合には系統的な誤差が生じる。振り子の長さを実際より大きく測定すると、計算される重力加速度は大きくなり、実際より短く測定すると小さくなる。

また、振れ角が大きい場合には小角近似が十分に成立せず、周期は理論式から求められる値より長くなる。その結果、周期の二乗を分母に含む計算式から求めた重力加速度は、比較値より小さくなると考えられる。

時間測定では、ストップウォッチの開始と停止に人の反応時間が含まれる。1周期だけを測定すると、この誤差の割合が大きくなるため、今回は10往復分の時間を測定し、1周期あたりの時間に換算した。この方法により、反応時間による相対的な誤差を小さくできたと考えられる。

測定精度を高めるには、振れ角を5度以下に保ち、支点からおもりの重心までの距離を正確に測定する必要がある。また、おもりを押さずに静かに放し、一定の鉛直面内で振動させることも重要である。さらに、光電センサーなどを用いて周期を自動測定すれば、ストップウォッチ操作による反応時間の影響を減らすことができる。

実験値が比較値より大きかった場合の考察例

実験値が比較値より大きくなった原因として、振り子の長さを実際より大きく測定した可能性、または周期を実際より短く測定した可能性が考えられる。単振り子から重力加速度を求める式では、振り子の長さが分子、周期の二乗が分母にあるため、長さの過大評価や周期の過小評価によって重力加速度は大きく計算される。

実験値が比較値より小さかった場合の考察例

実験値が比較値より小さくなった原因として、振り子の長さを実際より短く測定した可能性、周期を実際より長く測定した可能性が考えられる。特に振れ角が大きかった場合には周期が理論値より長くなるため、計算される重力加速度は小さくなる。また、支点の摩擦や空気抵抗による振動の乱れも、周期測定に影響した可能性がある。

まとめ

単振り子の実験では、振り子の長さと周期を測定し、g = 4π2L / T2を用いて重力加速度を求めます。

考察では、実験値と比較値の差だけでなく、振り子の長さと周期の二乗の関係、相対誤差、長さの測定位置、振れ角、反応時間、空気抵抗、支点の摩擦などを関連づけて説明することが重要です。

複数の振り子の長さで繰り返し測定し、周期の二乗と振り子の長さのグラフから重力加速度を求めることで、単独の測定値だけを用いる場合よりも信頼性の高い結果を得やすくなります。