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偏光の考察例|マリュスの法則・消光角・光強度・誤差原因

偏光実験は、光が進行方向に垂直な方向へ振動する横波であることを確認する代表的な物理実験です。

自然光では、電場の振動方向は時間とともにさまざまな向きをとります。一方、偏光板を通過した光では、特定方向の振動成分が選ばれ、主に一方向へ振動する直線偏光が得られます。

2枚の偏光板を用い、1枚目を偏光子、2枚目を検光子として相対角度を変えると、透過光の強度が周期的に変化します。この変化はマリュスの法則によって説明できます。

この記事では、光源、偏光子、検光子、光センサーを用いた偏光実験を想定し、導入、注意書き、結果項目、参考実験値、計算、誤差原因、結果文、考察例の順にまとめます。

注意:

この記事は、大学などの物理実験で得られた結果を考察するための学習用参考資料です。掲載している実験値は説明用の例であり、実際の測定結果ではありません。

レーザーを使用する場合は、光を直接目で見たり、人の目や反射物へ向けたりしないでください。強い光源や電源装置の取り扱いを含め、装置の操作は必ず所属大学の実験書、担当教員、TAの指示に従ってください。

偏光とは

光は電場と磁場の振動が進行方向に対して垂直な電磁波です。自然光では電場の振動方向がさまざまですが、特定方向の振動成分だけを取り出した光を偏光といいます。

電場の振動方向が一定の光を直線偏光、振動方向が時間とともに回転する光を円偏光または楕円偏光といいます。

偏光子と検光子

自然光から直線偏光をつくる偏光板を偏光子といいます。直線偏光の振動方向を調べるために用いる2枚目の偏光板を検光子といいます。

偏光板には光を通しやすい方向があり、これを透過軸といいます。偏光子と検光子の透過軸が平行なとき透過光は最大となり、直交すると最小になります。

自然光が偏光板を通る場合

理想的な偏光板へ自然光が入射すると、平均的には入射光強度の半分が透過します。

I1 = I自然光 / 2

マリュスの法則

偏光子を通過した直線偏光の強度を I0、偏光方向と検光子の透過軸のなす角を θ とすると、検光子を通過した光の強度 I は次の式で表されます。

I = I0 cos2θ

透過軸が平行な θ = 0°では最大強度となり、直交する θ = 90°では理想的に強度が0になります。

実際の装置における透過光

実際には周囲光、偏光板の性能、散乱光、光センサーの暗電流などがあるため、90°でも完全に0にならないことがあります。その場合は、次のような形で整理できます。

I = Imin + (Imax − Imin)cos2θ

結果に記録する主な項目

  • 使用した光源の種類
  • 光源の波長または色
  • 偏光子と検光子の種類
  • 偏光板の透過軸の基準位置
  • 偏光子と検光子の相対角度
  • 各角度における光センサーの測定値
  • 周囲光を含む暗測定値
  • 暗測定値を補正した光強度
  • 最大透過強度
  • 最小透過強度
  • 最大強度となる角度
  • 消光する角度
  • 理論値 I/I0 = cos2θ
  • 実験値と理論値の差
  • 消光比
  • 角度を増加させた場合と減少させた場合の差
  • 偏光板やセンサーの位置ずれ

参考実験条件

項目 参考条件
光源 赤色LED光源
光の中心波長 約630 nm
偏光板 直線偏光板2枚
測定器 光センサー
角度範囲 0~180°
角度間隔 15°
暗測定値 0.02 V
最大補正強度 2.00 V

参考実験値

角度と透過光強度

相対角度 θ 測定値(V) 暗補正後 I(V) 実験値 I/I0 理論値 cos2θ
2.02 2.00 1.000 1.000
15° 1.89 1.87 0.935 0.933
30° 1.52 1.50 0.750 0.750
45° 1.03 1.01 0.505 0.500
60° 0.53 0.51 0.255 0.250
75° 0.16 0.14 0.070 0.067
90° 0.03 0.01 0.005 0.000
105° 0.16 0.14 0.070 0.067
120° 0.52 0.50 0.250 0.250
135° 1.02 1.00 0.500 0.500
150° 1.51 1.49 0.745 0.750
165° 1.88 1.86 0.930 0.933
180° 2.01 1.99 0.995 1.000

透過光強度は0°と180°付近で最大、90°付近で最小となり、180°周期で同じ変化を繰り返しています。

繰り返し測定例

角度 1回目(V) 2回目(V) 3回目(V) 平均(V)
2.00 1.99 2.01 2.00
30° 1.50 1.49 1.51 1.50
45° 1.01 0.99 1.00 1.00
60° 0.51 0.49 0.50 0.50
90° 0.01 0.02 0.01 0.013

偏光子1枚と2枚の比較

条件 補正後強度(V) 自然光に対する比
偏光板なし 4.05 1.000
偏光子1枚 2.00 0.494
偏光子と検光子が平行 1.82 0.449
偏光子と検光子が直交 0.01 0.002

自然光が理想的な偏光子を通過した場合、強度は約半分になると予想されます。参考値でも約0.49となり、理論とほぼ一致しています。

計算方法

暗測定値の補正

45°における測定値が1.03 V、暗測定値が0.02 Vの場合は、次のようになります。

I = 1.03 − 0.02

= 1.01 V

規格化した光強度

最大補正強度が2.00 V、45°の補正強度が1.01 Vの場合は、次のようになります。

I/I0 = 1.01 / 2.00

= 0.505

マリュスの法則による理論値

検光子の相対角度が45°の場合は、次のようになります。

I = I0 cos245°

= I0 × (1/√2)2

= 0.500I0

最大強度が2.00 Vなら、理論上の透過強度は1.00 Vです。

60°における理論強度

I = 2.00 × cos260°

= 2.00 × 0.25

= 0.50 V

実験値と理論値の相対誤差

60°における実験値が0.51 V、理論値が0.50 Vの場合は、次のようになります。

相対誤差(%) = |実験値 − 理論値| / 理論値 × 100

= |0.51 − 0.50| / 0.50 × 100

= 2.0%

消光比

消光比は、最大透過強度と最小透過強度の比として表せます。

消光比 = Imax / Imin

最大強度2.00 V、最小強度0.01 Vの場合は、次のようになります。

消光比 = 2.00 / 0.01

= 200

自然光が偏光子を通過したときの比

I1/I自然光 = 2.00 / 4.05

= 0.494

理論値0.500に近い値となっています。

グラフによる確認

横軸をcos2θ、縦軸を暗補正後の光強度 I としてグラフを作成すると、理想的には原点付近を通る直線になります。

I = I0 cos2θ

直線の傾きは最大透過強度 I0 に対応します。切片が0からずれる場合は、暗電流、周囲光、散乱光などの影響が考えられます。

主な誤差原因

誤差原因 測定への影響 結果に現れやすい傾向 改善方法
偏光板の角度読み取り誤差 実際の相対角度と目盛値がずれる 最大・最小位置が0°や90°からずれる 基準角を確認し、細かい角度で最大・最小を探索する
偏光板の透過軸表示のずれ 目盛の0°と実際の透過軸が一致しない グラフ全体が角度方向へ移動する 最大透過位置を実験上の0°として補正する
周囲光 検光子が直交しても光センサー値が残る 最小強度が0にならない 遮光し、光源を消した暗測定値を差し引く
光センサーの暗電流 光がなくても出力が生じる 全測定値に一定値が加わる 暗測定値を測り、各値から差し引く
偏光板の消光性能 直交時にも一部の光が透過する 消光比が有限になる 高性能な偏光板を用い、傷や劣化を確認する
光源強度の時間変化 角度以外の原因で測定値が変化する 同じ角度でも繰り返し値が異なる 光源を安定させ、測定順を工夫し複数回測る
光軸のずれ 検光子を回すとセンサーへ入る光量が変わる cos²θ以外の変化が加わる 光源、偏光板、センサーの中心を一直線に合わせる
偏光板の傾き 回転時に透過面積や反射率が変化する 0°と180°の最大値が一致しない 偏光板面を光軸に垂直に固定する
散乱光と反射光 偏光状態が乱れた光がセンサーへ入る 直交時の強度が増加する 黒い遮光板を使い、周囲の反射物を除く
光源が完全な自然光でない 偏光子1枚後の強度が厳密に半分にならない 入射光の向きによって透過率が変わる 光源の偏光特性を確認し、装置を回転させて比較する
センサーの非線形性 光強度と出力電圧が比例しない 高強度または低強度で理論から外れる 測定範囲を確認し、飽和しない光量に調整する
偏光板の波長依存性 色によって透過率や消光比が異なる 光源を変えると測定曲線が変化する 使用波長に適した偏光板を用いる

検光子を回すと明るさが変化する理由

偏光子を通過した光の電場は、偏光子の透過軸方向へ振動しています。検光子は、その透過軸方向の電場成分だけを通します。

検光子の透過軸が偏光方向となす角を θ とすると、通過する電場振幅はcosθ倍になります。光強度は電場振幅の2乗に比例するため、透過光強度はcos2θに比例します。

45°で光強度が半分になる理由

45°ではcos45° = 1/√2であり、その2乗は1/2です。そのため、検光子を通過する光強度は最大強度の半分になります。

90°で暗くなる理由

偏光方向と検光子の透過軸が直交すると、透過軸方向の電場成分は0になります。そのため、理想的には光は検光子を通過できず、消光状態になります。

90°でも完全に0にならない理由

実際の偏光板は、透過軸と直交する成分を完全には遮断できません。また、周囲光、装置内の散乱光、偏光板表面での反射、センサーの暗電流などが測定値へ加わります。

そのため、直交状態でも小さな出力が残り、消光比は有限となります。

0°と180°で同じ明るさになる理由

偏光板の透過軸には矢印の向きの区別がなく、0°と180°は同じ軸方向を表します。さらにcos2θは180°周期であるため、0°と180°では同じ透過強度になります。

自然光が偏光板1枚で約半分になる理由

自然光には、偏光板の透過軸に対してさまざまな角度をもつ振動成分が均等に含まれています。これらにマリュスの法則を適用して平均すると、cos2θの平均値は1/2になります。

したがって、吸収などを無視した理想的な偏光板では、自然光の強度は約半分になります。

偏光は光が横波であることを示す理由

偏光は、波の振動方向を特定方向へ制限する現象です。進行方向と平行にしか振動しない縦波では、このような方向の選別はできません。

光で偏光が観察されることは、光の電場が進行方向に垂直に振動する横波であることを示しています。

結果の書き方の例

赤色LED光を偏光子へ通して直線偏光とし、検光子の角度を0°から180°まで15°ずつ変化させて透過光強度を測定した。

暗測定値0.02 Vを補正した結果、透過光強度は0°で2.00 Vと最大となり、90°で0.01 Vと最小となった。また、180°では1.99 Vとなり、0°付近とほぼ同じ値を示した。

規格化した透過光強度はcos2θの理論値とほぼ一致した。最大強度と最小強度から求めた消光比は200であった。

考察につなげるポイント

  • 透過光強度はcos2θに従ったか。
  • 最大強度はどの角度で得られたか。
  • 最小強度はどの角度で得られたか。
  • 0°と180°の測定値は一致したか。
  • 45°で最大強度の約半分になったか。
  • 90°で完全に0にならなかった原因は何か。
  • 暗測定値の補正は結果へどう影響したか。
  • 偏光子1枚で自然光の強度が約半分になったか。
  • 測定結果から光が横波であることをどう説明できるか。
  • 偏光板の角度、光軸、光源の安定性は結果へどう影響したか。
  • 消光比から偏光板の性能をどのように評価できるか。

考察例

本実験では、偏光子を通過した直線偏光に対して検光子を回転させ、透過光強度と相対角度の関係を調べた。

透過光強度は、偏光子と検光子の透過軸が平行な0°で最大となり、直交する90°で最小となった。また、180°では再び最大となり、測定曲線は180°周期を示した。

暗測定値を補正した最大強度は2.00 Vであった。45°では1.01 Vとなり、最大強度の0.505倍であった。マリュスの法則による理論値はcos245° = 0.500であるため、実験値は理論値とよく一致した。

60°では実験値0.51 V、理論値0.50 Vとなり、相対誤差は2.0%であった。ほかの角度でも規格化した透過強度はcos2θに近い変化を示したことから、マリュスの法則を確認できた。

この法則が成り立つ理由は、検光子を通過する電場振幅が、入射する直線偏光の電場のうち検光子の透過軸方向の成分に等しいためである。電場振幅はcosθ倍となり、光強度は振幅の2乗に比例するためcos2θとなる。

90°における補正後の強度は0.01 Vであり、完全な0にはならなかった。これは、偏光板が直交成分を完全には遮断できないこと、装置内の散乱光や反射光がセンサーへ入ったこと、暗測定値が時間的に変動したことなどが原因として考えられる。

最大強度2.00 Vと最小強度0.01 Vから求めた消光比は200であった。消光比が無限大でないことは、実際の偏光板には有限の遮光性能があることを示している。

偏光板なしの自然光の強度は4.05 V、偏光子1枚を通過した後の強度は2.00 Vであり、その比は0.494であった。これは、理想的な偏光子を通過した自然光の強度が半分になるという理論値0.500に近い。

測定値に誤差が生じる原因として、偏光板の角度目盛と実際の透過軸のずれ、光源強度の変動、光軸のずれ、周囲光、センサーの非線形性などが考えられる。

特に、偏光板の回転軸と光軸が一致していない場合、検光子を回転させるだけでセンサーへ入る光の位置や面積が変化し、偏光以外の要因で測定値が変動する可能性がある。

また、0°と180°の最大値にはわずかな差が見られた。これは、光源強度が測定中に変化したこと、偏光板面が光軸に対してわずかに傾いていたこと、回転時に光軸がずれたことなどが原因として考えられる。

測定精度を高めるには、光源、偏光板、センサーの中心を一直線上に配置し、偏光板面を光軸へ垂直に固定する必要がある。また、光源を十分に安定させ、暗測定を測定前後に行い、角度を増加させる場合と減少させる場合の両方で測定することが有効である。

偏光板の角度によって光強度が変化したことは、光に特定の振動方向が存在することを示している。偏光は横波に特有の現象であるため、本実験の結果は光が横波であることを示す結果でもある。

以上より、直線偏光を検光子へ通したときの透過光強度がマリュスの法則に従うこと、偏光子と検光子が直交すると消光が起こること、さらに偏光が光の横波としての性質を示すことを確認できた。

最大透過角が0°からずれた場合の考察例

最大透過強度が目盛の0°からずれた原因として、偏光板に表示された基準線と実際の透過軸が一致していなかったこと、偏光子自体の取り付け角度がずれていたことが考えられる。この場合は、実測した最大透過位置を相対角度0°として補正する必要がある。

理論曲線から大きく外れた場合の考察例

透過光強度がcos2θの理論曲線から大きく外れた原因として、光源強度の時間変化、光センサーの飽和、偏光板回転時の光軸ずれ、暗測定値の補正不足などが考えられる。特に最大強度付近でのみずれが大きい場合は、センサーの測定上限を超えていないか確認する必要がある。

偏光子1枚で強度が半分にならなかった場合の考察例

偏光子1枚を通過した光強度が自然光の半分にならなかった原因として、偏光板による吸収や表面反射、光源が初めから部分的に偏光していたこと、偏光板の波長依存性などが考えられる。理論上の1/2は、完全な自然光と損失のない理想的な偏光板を仮定した値である。

まとめ

偏光実験では、偏光子と検光子の相対角度を変えることで、透過光強度が周期的に変化することを観察できます。

直線偏光が検光子を通過したときの光強度は、理想的にはマリュスの法則 I = I0cos2θ に従います。透過軸が平行なとき最大、直交すると最小になります。

考察では、電場の振動方向、マリュスの法則、自然光の平均強度、消光比、暗測定、偏光板の性能、光軸と角度の誤差などを関連づけて説明することが重要です。