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室内でペパーミントの水耕栽培|育て方・注意点・ミントティーの作り方

ペパーミントは、清涼感のある強い香りで知られるシソ科のハーブです。 丈夫で生育が早く、土を使った栽培だけでなく、水耕栽培でも比較的育てやすいため、 家庭で少量のハーブを収穫したい場合にも向いています。

この記事では、ペパーミントの植物学的な特徴を確認したうえで、 家庭で行いやすい水耕栽培の方法、栽培中の注意点、 収穫した葉を使ったミントティーの作り方を紹介します。

ペパーミント

ペパーミント

ペパーミントとは

ペパーミントの学名は
Mentha × piperita L.
です。 シソ科(Lamiaceae)ハッカ属(Mentha)に属する多年草で、 ウォーターミント(Mentha aquatica)と スペアミント(Mentha spicata)の交雑によって生じた雑種とされています。

「×」の記号が学名に含まれているのは、ペパーミントが交雑由来の植物であることを示しています。 Kew GardensのPlants of the World Onlineでは、 ペパーミントは現在も受容されている雑種(accepted hybrid)として扱われています。

和名・一般名 ペパーミント、セイヨウハッカなど
学名 Mentha × piperita
L.
シソ科(Lamiaceae)
ハッカ属(Mentha)
生活型 多年草
交雑親 ウォーターミント(
M. aquatica
)×スペアミント(
M. spicata
主な利用部位 葉・茎・花
主な利用 ハーブティー、飲料、菓子、料理、香料など

強い香りとメントール

ペパーミントの大きな特徴は、葉を触ったり揉んだりしたときに感じる強い清涼感です。 ペパーミントの精油にはメントールをはじめとする芳香成分が含まれており、 この特徴的な香りが食品、飲料、菓子、歯磨き製品など幅広い用途に利用されています。

地下茎で広がる性質

ペパーミントは地下茎を伸ばして広がる性質があります。 土に植えると周囲へ勢いよく広がることがあるため、地植えでは管理が必要です。 一方、水耕栽培では容器の中に生育範囲を限定できるため、 増えすぎを管理しやすいという利点があります。

ポイント

ミント類は生育力が強いため、収穫しながら育てるハーブと相性が良い植物です。 茎の先端を適度に摘むと枝分かれしやすくなり、葉数を増やすこともできます。

ペパーミントを水耕栽培する方法

本記事では、ペパーミントを
室内で水耕栽培
します。土を使わず、基本的に屋外へ出さずに育てる理由は、室内へ虫を持ち込む機会をできるだけ減らすためです。室内栽培でもアブラムシやハダニなどが発生する可能性はあるため、虫が一切発生しないわけではありませんが、屋外へ頻繁に出し入れするよりも害虫の侵入機会を減らしやすくなります。

使用するもの

ステンレス製の容器を使う理由

水耕栽培自体は、プラスチック製のザルやボウルでも問題なく行えます。本記事でステンレス製のパンチングザルとキッチンポットを使用している主な理由は、
紫外線などによる劣化が少なく、長期間繰り返し使用しやすいから
です。

  • 紫外線などによる劣化が少なく、長期間使用できる。
  • 定期的に磨けば光沢を戻しやすい。
  • キッチンポットが遮光するため、培養液に光が当たりにくい。
  • 培養液へ光が当たらなければ、藻の発生もかなり抑えやすい。

一方、デメリットは
プラスチック製より価格が高いこと
と、ザルや容器の形状・サイズのバリエーションが少ないことです。

プラスチック製のザルとボウルでも同じように栽培できますが、長期間使用すると経年劣化や紫外線などの影響で割れたり、もろくなったりすることがあります。短期間の栽培や、まず試してみたい場合にはプラスチック製でも十分です。

ボウルではなくキッチンポットを使う理由

プラスチック製・ステンレス製を問わず、一般的なボウルでも水耕栽培は可能です。 ただし、本記事ではボウルではなく、ある程度の深さがあるキッチンポットを使用しています。

理由は、
キッチンポットの方が多くの水を入れられ、根が下方向へ伸びるためのスペースも確保しやすいから
です。 浅いボウルでは入れられる水の量が少なく、水位の変化が大きくなりやすいほか、 ペパーミントが成長して根が長くなると、根が伸びる空間も不足しやすくなります。

深さのあるキッチンポットであれば、ザルの穴から出た根が下へ伸びる空間を確保しやすく、 ある程度の量の水・培養液を保持できるため、本記事の栽培方法には扱いやすいと感じています。

1.ペパーミントを水に挿して発根させる

元気なペパーミントの茎を切り、水に挿して発根させます。実際に栽培したところ、最初の発根までには数日程度かかりました。条件が良ければ、その後は比較的早く根が増えていきます。

水に浸かる部分の葉は腐敗を防ぐため取り除き、茎の下部だけを水へ入れて管理します。

発根させる段階では、
水道水だけで十分です。
この段階で液体肥料や培養液を加える必要はありません。 まずは清潔な水で発根させ、根が伸びてハイドロカルチャーへ移植してから培養液を使用します。

2.発根したらハイドロカルチャーへ植え替える

ペパーミント植え替え直後

写真:ペパーミント植え替え直後。ステンレスのザルをキッチンポットにのせています。 ジャストフィットさせる方が見栄えはいいですが、下に空間を確保するという意味では、 このくらい余裕がある方が扱いやすいかもしれません。

根が伸びてきたら、パンチングザルに入れたハイドロカルチャーへ移植します。植え付け直後は根がまだザルの下まで伸びておらず、ハイドロカルチャーの中にあります。

そのため、生育初期は
ハイドロカルチャーの下部が水に浸る程度まで
キッチンポットへ水または培養液を入れ、根が水分を利用できる状態にします。

発根した苗をハイドロカルチャーへ植え替えた直後は、
1~2日程度、葉や茎が弱って垂れたような状態になることがあります。
実際に栽培した範囲では、このような状態になっても多くの場合はその後に回復しました。 植え替え直後に少し萎れても、すぐに枯れたと判断せず、水切れさせないようにして数日様子を見ます。

3.根がザルの穴から伸びたら水位を下げる

移植後に生育が進むと、根はパンチングザルの穴から外へ出て、キッチンポットの下方向へ伸びていきます。実際に栽培した範囲では、根は乾燥している方向にはあまり伸びず、水分のある下方向へ集中して伸びていくように見えました。

根が十分に下へ伸びた後は、
根の先端が培養液に浸る程度
の水位にします。根全体を常に水没させるのではなく、上部には空気に触れる部分を残します。

4.水・培養液は最低でも1日1回交換する

本記事の栽培方法では、キッチンポット内の水または培養液を
最低でも1日1回
交換します。特に室温が高い時期は水温も上がりやすいため、古い培養液を長期間そのままにしないようにします。

交換時には根の状態も確認し、黒く変色している部分、軟らかくなった部分、腐敗している部分などがないか確認します。

5.培養液はキッチンポットへ入れ、ハイドロカルチャーには水だけをかける

水交換や水やりを行う際、
培養液はキッチンポットの中へ入れます。
一方、ハイドロカルチャーの上から培養液を直接かけないようにしています。

ハイドロカルチャー表面に肥料分を含んだ水分が残り、さらに光が当たると藻が発生しやすくなるためです。ハイドロカルチャーを上から湿らせる必要がある場合には、
培養液ではなく水のみ
をかけるようにします。

6.室内では植物育成用LEDで育てる

本記事では植物育成用LEDライトを使用し、基本的にペパーミントを屋外へ出しません。屋外へ出すとアブラムシなどの害虫が付着し、それを室内へ持ち込む原因になるためです。

また、LEDで十分な光を確保できる場合は、直射日光へ積極的に当てる必要はありません。特に窓辺の強い直射日光ではキッチンポットや培養液の温度が上昇することがあるため、
水温を上げすぎないこと
を優先して管理します。

7.移植後1か月程度を目安に収穫する

栽培条件によって差はありますが、実際に育てた株では、ハイドロカルチャーへ移植してから
およそ1か月程度
で葉を収穫できるほどまで大きくなりました。

ペパーミントは条件が良いと発根、生育ともに速く、水を切らさず根の状態を管理していれば比較的丈夫に育ちます。

ペパーミント植え替え1か月後

写真:ペパーミント植え替え約1か月後。水切れさえしなければ、かなり元気に育ちます。

8.根が増えすぎたら定期的に植え替える

長期間育てていると、遅かれ早かれハイドロカルチャー内部に大量の根が入り込みます。根が密集すると傷んだ根や根腐れ気味の部分も増えてくるため、定期的に植え替えて根を整理します。

植え替えといっても、新しい容器を毎回用意する必要はありません。本記事で使用している
パンチングザル、キッチンポット、ハイドロカルチャーはいずれも洗浄して再利用できます。
腐った根や傷んだ根を取り除き、容器とハイドロカルチャーを洗浄して再び植え直します。

実際に栽培してわかったこと

  • 最初の発根には数日程度かかる。
  • ハイドロカルチャーへ移植すると、根はザルの穴から下へ伸びる。
  • この栽培方法では、根は乾燥した方向より水のある下方向へ伸びやすかった。
  • 移植後およそ1か月で収穫できる程度まで生育した。
  • 水を切らさなければ比較的枯れにくい。
  • 条件が良いと発根・生育はかなり速い。
  • 長期間育てると根が密集するため、定期的な植え替えと根の整理が必要になる。
  • ハイドロカルチャーへ移植した直後は1~2日程度萎れることがあるが、多くの場合はその後回復した。
  • まとまった量を収穫した後、再び十分に収穫できる状態へ戻るまでの目安は約1か月だった。
  • 株を大きく育てておけば、場所を変えながら複数回連続して収穫できた。

水耕栽培での注意点

水や培養液を汚れたまま放置しない

水耕栽培では根が常に水の近くにあるため、 水の汚れや酸素不足が根の状態に直接影響します。 水が濁る、悪臭がする、根が茶色く軟らかくなるなどの変化が見られた場合は、 根腐れや微生物の増殖を疑います。

本記事の方法では、培養液は最低でも1日1回交換します。長期間育てる場合は、容器の洗浄に加えて、根が密集してきた段階で植え替えと根の整理も行います。

透明な容器は藻が発生しやすい

本記事では遮光性の高いステンレス製キッチンポットを使用しているため、培養液へ光が当たりにくく、藻の発生を抑えやすくなっています。プラスチック製の透明容器などを使用する場合は、容器の周囲を遮光する方法もあります。

葉には光が必要ですが、培養液そのものに強い光を当てる必要はありません。

水温の上がりすぎに注意する

室内で植物育成用LEDを使用する場合は、強い直射日光へ積極的に当てる必要はありません。直射日光でキッチンポットや培養液の温度が上がりすぎないように管理します。

特に透明な容器を直射日光の当たる窓辺に置く場合は、 容器だけを遮光したり、強い西日を避けたりするなどの工夫が有効です。

肥料を濃くしすぎない

「早く育てたいから」と液体肥料を多く入れても、 必ずしも生育が良くなるわけではありません。 肥料濃度が高すぎると根に負担がかかるため、 基本的には使用する水耕栽培用肥料の規定濃度を守ります。

pHにも注意する

水耕栽培では培養液のpHによって養分の吸収しやすさが変化します。 University of Minnesota Extensionでは、 一般的な水耕栽培用水についてpH5.4~7の範囲を目安として紹介しています。

家庭で少量栽培する場合は毎日測定する必要まではありませんが、 生育が悪い状態が続く場合や長期間同じシステムで育てる場合には、 pH試験紙やpHメーターで確認すると原因を判断しやすくなります。

害虫が発生したら、まず水で物理的に洗い流す

注意:
強すぎる水圧は若い茎や葉を傷めることがあるため、 植物を傷つけない程度の水圧で洗います。 また、害虫が大量発生して水洗いだけで対応できない場合に薬剤を使用するなら、 ミントティーなど食用にすることを前提に、 食用ハーブへ使用可能な製品か必ず確認してください。

洗浄後はキッチンポット内にたまった水を捨て、 必要に応じて新しい培養液へ交換します。 一度で取り切れない場合は、数日おきに葉の表裏を確認して再び水で洗い流します。

ペパーミントの葉や茎に水を当て、特に
葉の裏側
まで しっかり確認しながら虫を洗い流します。 水耕栽培では土が流出する心配がなく、パンチングザルとハイドロカルチャーを使用しているため、 多めの水をかけても不要な水はザルの穴からそのまま排水されます。

室内で水耕栽培していても、アブラムシやハダニなどの害虫が まったく発生しないわけではありません。 もし害虫が付いた場合は、まず
シャワーなどの流水で物理的に洗い流す方法
がおすすめです。

食用にする場合は農薬の表示を確認する

ミントティーなどにして葉を食用利用する予定がある場合、 害虫対策に使用する薬剤は
食用ハーブに使用できるものか
を必ず確認します。 観賞植物専用の薬剤を使用した株を、そのまま飲食用に利用するのは避けます。

水耕栽培で特に確認したいポイント

  • 水が濁ったり悪臭がしたりしていないか
  • 根がすべて水没して酸素不足になっていないか
  • 培養液に強い光が当たって藻が増えていないか
  • 夏場に水温が上がりすぎていないか
  • 肥料を規定より濃くしていないか
  • 葉の裏に害虫が付いていないか

水耕栽培したペパーミントの収穫

葉が十分に増えたら、必要な分だけ茎の先端から切って収穫できます。 葉だけを何枚もむしるよりも、 節の少し上で茎ごと切ると、その下にある芽が伸びて枝分かれしやすくなります。

一度に株全体を丸坊主にせず、 ある程度の葉を残しながら収穫すると、その後も生育を続けやすくなります。

収穫したペパーミントは、水でよく洗い、 葉の表裏に虫や汚れが付着していないことを確認してから利用します。

なお、最初に株を十分大きく育てておけば、 一度の収穫ですべてを切らず、場所を変えながら剪定することで
複数回連続して収穫することもできます。
収穫できる茎が少なくなってきたら、一度収穫を控えて株を回復させます。

実際に栽培した範囲では、まとまった量を収穫した後、
再び十分な量を収穫できる状態まで回復するのに、およそ1か月程度
かかりました。 生育速度は気温、照明、株の状態、収穫量などによって変わるため、 1か月はあくまで目安です。

収穫後は約1か月で再び収穫できる大きさまで育つ

一方、茎や葉が混み合っている部分は、 一部を
根元付近からカットして間引く
ようにします。 株の内部まで風が通りやすくなり、蒸れや傷みを減らせるため、 株全体が弱ったり枯れたりするリスクを抑えやすくなります。

収穫するときは、長く伸びた茎をすべて根元から切るのではなく、
株元から数センチ程度を残して切る
ようにします。 残った節から新しい芽が伸びやすくなり、その後の再生につなげることができます。

収穫するときの剪定方法

フレッシュペパーミントで作るミントティー

水耕栽培で育てたペパーミントは、 収穫したばかりの葉を使ってフレッシュミントティーにできます。 乾燥させたミントとは少し異なり、 青々しい香りを楽しめるのが特徴です。

材料(1杯分の目安)

  • ペパーミントの葉:5~10枚程度
  • 熱湯:200~250mL程度
  • 好みに応じて、はちみつ・砂糖・レモンなど

※葉の大きさや香りの強さには差があるため、使用量は好みに合わせて調整してください。

作り方

  1. 収穫したペパーミントを流水でよく洗います。
  2. 水気を切り、香りが出やすいよう葉を軽く手で叩くか、少しちぎります。
  3. ティーポットまたは耐熱カップにペパーミントを入れます。
  4. 沸騰させたお湯を注ぎます。
  5. ふたをして3~5分程度蒸らします。
  6. 葉を取り除き、好みの濃さになったら飲みます。

香りを逃がさないために、ふたをする

ミントの香り成分には揮発しやすいものが含まれています。 抽出中にティーポットやカップへふたをしておくと、 立ち上る香りを逃がしにくくなります。

アイスミントティーにもできる

少し濃いめに抽出したミントティーを氷の入ったグラスへ注げば、 アイスミントティーとして楽しめます。 紅茶や緑茶と組み合わせたり、 レモンを加えたりする方法もあります。

飲用時の注意

ペパーミントは食品として広く利用されるハーブですが、 体質や健康状態によって合わない場合があります。 特定の病気で治療中の場合、妊娠・授乳中の場合、 薬を服用している場合などにハーブを大量・継続的に摂取する際は、 必要に応じて医師や薬剤師へ相談してください。

まとめ

ペパーミントは、ウォーターミントとスペアミントを起源とする シソ科ハッカ属の多年草です。 生育力が強く、挿し穂からも発根しやすいため、 家庭で始める水耕栽培用ハーブとして扱いやすい植物の一つです。

水耕栽培では、単に茎を水へ入れておくだけでなく、 発根後は水耕栽培用肥料を使用し、 根への酸素供給、水温、培養液の汚れ、藻の発生などを確認しながら育てることが大切です。

葉が増えてきたら少しずつ収穫し、 フレッシュミントティーや料理、飲み物などに利用できます。 栽培と収穫を繰り返しながら、自宅で新鮮なペパーミントを楽しんでみてください。

参考資料