informationpark

労働安全衛生法|公園維持管理作業で必要な安全管理

公園の維持管理では、草刈り、樹木剪定、伐採、清掃、遊具点検、側溝清掃、薬剤散布、車両運転など、さまざまな作業を行います。作業場所には一般利用者や子ども、ペットも立ち入るため、作業員自身の安全だけでなく、第三者災害の防止も欠かせません。

労働安全衛生法は、事業者に対して労働災害を防止するための措置、安全衛生管理体制、安全衛生教育、健康管理などを求めています。公園管理を自治体が委託している場合でも、受託事業者は雇用する労働者に対する安全衛生上の責任を負い、発注者側も作業条件や公園利用との調整を適切に行う必要があります。

この記事の対象:自治体の公園担当者、指定管理者、公園管理事務所、造園会社、草刈り・剪定・清掃受託者などを対象にしています。
注意:必要な資格・教育・作業主任者・届出などは、使用する機械、作業方法、高さ、樹木の状態、事業場規模によって異なります。実際の作業では、労働基準監督署、労働局、専門機関などの最新情報を確認してください。

労働安全衛生法とは

労働安全衛生法は、労働災害を防止するための危害防止基準を定め、事業者の責任体制、安全衛生教育、健康管理、自主的な安全衛生活動などを通じて、労働者の安全と健康を確保するための法律です。

公園維持管理では、労働安全衛生法のほか、労働安全衛生規則、機械ごとの安全衛生教育や特別教育に関する規定、道路交通法、農薬取締法、消防関係法令なども関係します。

公園維持管理に多い労働災害

  • 刈払機の刃や飛散物による切創・眼障害
  • チェーンソーによる切創や伐倒木への激突
  • 脚立、はしご、樹上、高所作業車からの墜落
  • 傾斜地や濡れた園路での転倒
  • 車両、重機、草刈機との接触
  • 枝、石、工具などの飛来・落下
  • 夏季作業中の熱中症
  • ハチ、毛虫、マダニ、ヘビなどによる被害
  • 農薬、燃料、洗浄剤などへのばく露
  • 側溝、マンホール、池、水路での転落・酸素欠乏
  • 重量物の運搬による腰痛
  • 一般利用者を巻き込む第三者災害

事業者が行う基本的な安全管理

安全管理は、作業員に「気を付けるように」と伝えるだけでは不十分です。作業前に危険を把握し、設備、作業方法、教育、保護具、監視体制などを組み合わせて対策します。

  1. 作業内容と現場条件を確認する
  2. 危険性・有害性を洗い出す
  3. 危険な作業や方法を可能な限りなくす
  4. 機械的・設備的な対策を行う
  5. 作業手順、立入禁止、合図方法を決める
  6. 必要な教育・資格を確認する
  7. 適切な保護具を使用する
  8. 作業中に巡視し、状況変化へ対応する
  9. 作業後に記録と振り返りを行う

リスクアセスメントの考え方

リスクアセスメントとは、作業に伴う危険性や有害性を特定し、災害が起きる可能性と被害の大きさを見積もり、優先順位を付けて対策する取組です。

作業 主な危険 対策例
草刈り 飛石、刃との接触、利用者の進入 事前除石、防護ネット、監視員、作業区域閉鎖
樹木剪定 墜落、枝の落下、工具落下 高所作業設備、立入禁止、落下防止、合図統一
伐採 倒木、キックバック、かかり木 伐倒方向確認、退避路確保、特別教育、複数人作業
薬剤散布 吸入、皮膚付着、飛散 代替方法、保護具、立入規制、風向確認
側溝・池清掃 転落、溺水、酸素欠乏 柵、救命具、換気・測定、監視、単独作業禁止
夏季作業 熱中症 WBGT確認、休憩、飲料、報告体制、救急手順

作業計画と作業前ミーティング

作業開始前に、当日の作業範囲、役割、危険箇所、利用者動線、緊急連絡先を確認します。天候、風、降雨、地面の状態、イベント開催などによって、前日に作成した計画が使えない場合もあります。

作業前に確認する事項は次のとおりです。

  • 作業責任者と作業員の役割
  • 作業範囲と立入禁止範囲
  • 利用者・車両の迂回経路
  • 使用する機械・工具
  • 必要な資格・教育
  • 保護具
  • 作業員同士の合図
  • 天候・気温・風向き
  • 救急箱、AED、救急搬送先
  • 事故時の連絡先
KY活動:短時間でも「どこで、何が起きそうか」「誰が、どう防ぐか」を具体的に共有します。「安全第一」の掛け声だけで終わらせないことが重要です。

刈払機作業の安全管理

刈払機は、公園維持管理で使用頻度が高い一方、刃への接触、飛石、キックバック、転倒などの危険があります。

作業前には次の点を確認します。

  • 刃、取付部、飛散防護カバーに異常がないか
  • 肩掛けバンドや緊急離脱装置が機能するか
  • スロットル、停止スイッチが正常か
  • 作業区域に石、缶、針金、ガラスがないか
  • 斜面、段差、穴、切株がないか
  • 利用者や車両を十分に遠ざけられるか

保護帽、保護眼鏡またはフェイスシールド、防振手袋、長袖・長ズボン、安全靴などを使用します。騒音が大きい場合は耳栓やイヤーマフも検討します。

業務で刈払機を使用する労働者には、厚生労働省の通達に基づく「刈払機取扱作業者に対する安全衛生教育」を受けさせることが推奨されます。これはチェーンソー作業に必要となる法令上の特別教育とは区別して扱います。

飛石と第三者災害の防止

刈払機の飛石は、作業員だけでなく、利用者、車両、住宅の窓ガラスなどへ被害を与えることがあります。

  • 作業前に石や金属片を除去する
  • 防護ネットを設置する
  • 監視員・誘導員を配置する
  • 利用者が近づいたら刃を停止する
  • 駐車車両付近では作業方法を変更する
  • 人の多い時間帯を避ける
  • 必要に応じて区域を閉鎖する
公園特有の注意:コーンや看板だけでは、子どもが作業区域へ入ることがあります。視界が悪い場所や利用者が多い場所では、監視員を配置します。

チェーンソー作業の安全管理

チェーンソーを用いて立木の伐木、かかり木処理、造材などの業務を行わせる場合は、対象となる業務に応じた「伐木等の業務に係る特別教育」が必要です。

作業時には次の事項を確認します。

  • 作業者が必要な特別教育を修了しているか
  • チェーンブレーキ、ガイドバー、ソーチェーンの状態
  • 防護ズボン、保護帽、顔面・眼の保護具、安全靴
  • 樹木の傾き、腐朽、空洞、枯枝
  • 電線、建物、園路、遊具との位置関係
  • 伐倒方向と退避路
  • 立入禁止区域
  • 作業員間の合図

チェーンソー作業では、キックバック、切創、倒木・落枝への激突が重大災害につながります。小型や充電式であっても、刃が高速回転する危険な機械であることに変わりはありません。

樹木の伐採・剪定

樹木作業では、作業員の墜落、枝や幹の落下、ロープ切断、倒木方向のずれなどを想定します。

腐朽木、枯損木、傾斜木、台風後の損傷木は、外見だけでは強度を判断できない場合があります。必要に応じて樹木医、造園技能者、伐採専門業者などへ依頼します。

作業前には次の事項を決めます。

  • 樹木の状態と作業方法
  • 枝や幹を下ろす順序
  • ロープ・滑車・重機の使用方法
  • 立入禁止区域
  • 作業員の配置
  • 合図の方法
  • 強風時の中止基準
  • 緊急時の救助方法

高所作業の安全管理

脚立、はしご、樹上、高所作業車などからの墜落は、重大災害につながります。可能であれば地上から作業できる長柄工具や機械を使い、高所作業そのものを減らします。

高さ2メートル以上の作業場所では、作業床や手すりなどの墜落防止措置が原則として必要です。作業床の設置が困難な場合には、墜落制止用器具など、法令に応じた措置を講じます。

墜落制止用器具を用いて行う一定の高所作業では、特別教育が必要です。作業方法、高さ、設備条件を確認して判断します。

脚立・はしごの注意点

  • 変形、破損、滑り止めを点検する
  • 平坦で安定した場所へ設置する
  • 開き止め金具を確実に使用する
  • 天板に乗らない
  • 身を乗り出さない
  • 工具を持ったまま昇降しない
  • 通行者が接触しないよう区画する
  • 強風、雨、ぬかるみ時は使用を見直す

高所作業車の注意点

高所作業車は機種や作業床の高さに応じて、技能講習または特別教育が必要です。アウトリガー、地盤、傾斜、架空電線、通行者、作業床の積載荷重を確認します。

熱中症対策

公園作業は、直射日光、照り返し、高湿度、保護具の着用、重い機械の使用などにより、熱中症リスクが高くなります。

2025年6月1日から、熱中症のおそれがある作業を行う場合に、報告体制の整備、重篤化を防ぐための手順作成、関係作業者への周知が事業者に義務付けられました。

基本的な対策は次のとおりです。

  • WBGT値や気温・湿度を確認する
  • 暑い時間帯を避ける
  • 休憩場所と休憩時間を確保する
  • 水分・塩分を補給する
  • 空調服、通気性のよい作業着などを使用する
  • 暑さに慣れるための順化期間を設ける
  • 単独作業を避け、相互に体調確認する
  • 体調不良を申告しやすい体制を作る
  • 異常時の連絡先・搬送先を周知する
初期症状を軽視しない:めまい、立ちくらみ、筋肉痛、大量の発汗、頭痛、吐き気、反応の鈍化などがあれば作業を中止し、涼しい場所へ移動させます。意識障害などがある場合は、ためらわず救急要請します。

薬剤散布作業の安全管理

農薬、除草剤、殺虫剤などを使用する場合は、農薬取締法上の適正使用に加え、労働者の吸入、皮膚付着、眼への飛入を防ぐ必要があります。

  • ラベルと安全データシートを確認する
  • 必要な保護手袋、眼鏡、マスク、防護衣を使用する
  • 風向きと風速を確認する
  • 利用者を立ち入らせない
  • 飲食用容器へ移し替えない
  • 調製・洗浄場所を決める
  • 体調不良時の応急処置を共有する

燃料・可燃物の管理

刈払機やチェーンソーの燃料は、火災や蒸気吸入の危険があります。

  • 火気のない場所で給油する
  • エンジンを停止し、温度が下がってから給油する
  • 専用の容器を使用する
  • 燃料をこぼした場合は拭き取る
  • 車内や直射日光下へ長時間放置しない
  • 喫煙場所と分離する
  • 消火器の配置を検討する

車両・重機による災害防止

軽トラック、ダンプ、乗用草刈機、高所作業車、バックホウなどを使用する場合は、作業員や利用者との接触を防ぎます。

  • 歩行者動線と車両動線を分ける
  • 後退時に誘導員を配置する
  • 死角を確認する
  • 制限速度を定める
  • 駐車時は逸走防止措置を行う
  • 資格が必要な機械は有資格者が運転する
  • 鍵を付けたまま離れない

水辺・側溝・マンホール作業

池、水路、深い側溝、マンホールなどでは、転落、溺水、酸素欠乏、有毒ガスの危険があります。

深い槽やマンホール内部へ入る作業では、酸素欠乏危険場所に該当する可能性があります。酸素濃度等の測定、換気、作業主任者、特別教育、監視人、救出用具などが必要になる場合があります。

単独で入らない:「短時間だから」とマンホールや深い槽へ一人で入ることは危険です。内部へ入る前に、酸素欠乏危険作業への該当性を確認します。

ハチ・毛虫・マダニなどへの対応

公園の植栽管理では、スズメバチ、チャドクガ、マダニ、ヘビなどへ遭遇することがあります。

  • 作業前に巣や発生状況を確認する
  • 肌の露出を減らす
  • ハチの巣を刺激しない
  • 毒針毛がある枝葉を素手で扱わない
  • 刺傷・咬傷時の連絡手順を決める
  • アレルギー歴を本人の同意のもと適切に把握する
  • 必要に応じて専門業者へ依頼する

重量物・反復作業と腰痛対策

剪定枝、土のう、肥料、機械などの運搬は、腰痛や転倒の原因になります。

  • 重量と持ち手を確認する
  • 台車や運搬車を使用する
  • 無理な重量は複数人で運ぶ
  • 腰をひねった姿勢で持ち上げない
  • 長時間の同一姿勢を避ける
  • 作業を交代する

保護具は作業に合わせて選ぶ

作業 主な保護具の例
刈払機 保護帽、眼・顔面保護具、手袋、安全靴、耳栓等
チェーンソー 保護帽、顔面保護具、防護ズボン、安全靴、手袋、耳栓等
高所作業 保護帽、墜落制止用器具、滑りにくい履物
薬剤散布 保護手袋、保護眼鏡、呼吸用保護具、防護衣
清掃・汚物処理 手袋、保護眼鏡、マスク、長靴等

保護具は配布するだけでなく、正しい装着方法、点検、交換時期、保管方法を教育します。

機械・工具の点検

機械は使用前点検と定期点検を行い、異常がある場合は使用を中止します。

  • 刃、ボルト、カバー、ガード
  • ブレーキ、停止装置
  • 電源コード、バッテリー
  • 燃料漏れ
  • ハンドル、バンド
  • 脚立、はしごの変形
  • ロープ、カラビナ、墜落制止用器具
  • 車両のブレーキ、タイヤ、警報装置

安全装置を外したまま使用したり、故障を応急処置だけで放置したりしてはいけません。

安全衛生教育

事業者は、新たに労働者を雇い入れたときや作業内容を変更したときに、必要な安全衛生教育を行います。また、危険・有害な業務には特別教育や技能講習が必要となる場合があります。

公園維持管理で確認したい教育・資格の例は次のとおりです。

  • 雇入れ時・作業内容変更時の安全衛生教育
  • 刈払機取扱作業者に対する安全衛生教育
  • 伐木等の業務に係る特別教育
  • 墜落制止用器具を用いて行う業務の特別教育
  • 高所作業車の技能講習または特別教育
  • 小型車両系建設機械の特別教育
  • 酸素欠乏危険作業の特別教育
  • 職長等に対する安全衛生教育

必要な教育は作業内容によって判断します。「経験が長い」「以前から使っている」という理由で教育を省略できるとは限りません。

委託・請負作業の安全管理

公園維持管理を委託する場合、受託者が自社の労働者に対する安全衛生責任を負います。一方、発注者や公園管理者も、公園の利用状況、危険設備、埋設物、イベント予定など、作業の安全に必要な情報を提供することが重要です。

仕様書や施工計画書では、次の事項を明確にします。

  • 作業区域と利用者動線
  • 作業時間と区域閉鎖の可否
  • 必要な資格・教育
  • 作業責任者
  • 誘導員・監視員の配置
  • 安全施設と保護具
  • 緊急連絡体制
  • 事故・ヒヤリハットの報告
  • 再委託時の安全管理
  • 作業中止基準
発注価格への配慮:誘導員、防護ネット、交通規制、休憩設備などが必要な作業では、安全対策費を見込んだ発注条件にします。安全対策を受託者の持ち出しにすると、省略を招くおそれがあります。

一人作業を避けるべき場面

公園は広く、作業場所が人目につかない場合があります。次のような作業は、単独作業を避けるか、定時連絡や位置確認の仕組みを設けます。

  • チェーンソーによる伐採
  • 高所作業
  • 猛暑時の屋外作業
  • 池、水路、マンホール付近の作業
  • ハチや危険動物が確認されている場所
  • 夜間・早朝作業
  • 携帯電話がつながりにくい場所

事故発生時の対応

  1. 機械を停止し、二次災害を防ぐ
  2. 周囲を立入禁止にする
  3. 負傷者の状態を確認する
  4. 必要に応じて119番通報する
  5. 応急手当を行う
  6. 公園管理者、事業者責任者へ連絡する
  7. 現場、機械、作業条件を記録する
  8. 法令上必要な労働災害報告を確認する
  9. 原因を調査し、再発防止策を実施する

重大事故だけでなく、飛石が利用者の近くへ飛んだ、枝が予定外の方向へ落ちた、作業員が一時的に意識を失いかけたといったヒヤリハットも記録します。

公園管理担当者向けチェックリスト

  • 作業前にリスクアセスメントを行ったか
  • 作業責任者と役割を決めたか
  • 必要な資格・特別教育・安全衛生教育を確認したか
  • 機械と安全装置を点検したか
  • 作業に合った保護具を用意したか
  • 利用者の立入禁止範囲を決めたか
  • 監視員・誘導員が必要か検討したか
  • 天候、風、暑さ、地面の状態を確認したか
  • 熱中症の報告体制と対応手順を周知したか
  • 単独作業を避ける基準があるか
  • 救急箱、AED、緊急連絡先を確認したか
  • 委託先の安全管理計画を確認したか
  • 事故・ヒヤリハットを記録しているか
  • 作業後に改善点を共有したか

まとめ

公園維持管理では、刈払機、チェーンソー、高所作業、薬剤、車両、水辺、猛暑など、多様な危険があります。さらに一般利用者が近くにいるため、作業員の安全と第三者災害の防止を同時に考える必要があります。

安全管理の基本は、作業前に危険を洗い出し、危険な作業を減らしたうえで、設備、作業手順、立入規制、教育、保護具を組み合わせることです。機械を扱えることと、必要な教育・資格を修了していることは別であるため、作業ごとに確認します。

また、2025年6月から強化された熱中症対策を踏まえ、報告体制、重篤化防止の手順、関係作業者への周知を整備する必要があります。委託作業では、発注者と受託者が作業条件や安全対策を共有し、安全に必要な人員・設備・費用を確保することが重要です。

参考資料・公的情報

内容確認日:2026年7月19日