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外来生物法と公園管理

都市公園、緑地、池、水路、樹林地などでは、外来植物、外来昆虫、外来魚、カメ、ザリガニなどが確認されることがあります。外来生物のすべてが法律で規制されているわけではありませんが、国が「特定外来生物」に指定した生物については、飼養、栽培、保管、運搬、放出などが原則として規制されます。

公園管理の現場では、草刈りや浚渫、池干し、樹木管理、資材運搬などの通常業務が、結果的に特定外来生物を別の場所へ拡散させることがあります。そのため、発見後の捕獲だけでなく、種の確認、作業計画、運搬方法、処分、機械や靴の洗浄まで含めて対応することが重要です。

この記事の対象:自治体の公園担当者、指定管理者、公園管理事務所、造園会社、清掃・草刈り受託者、池や水路の維持管理担当者などを対象にしています。
注意:規制対象種や取扱条件は改正されることがあります。実際の防除や運搬を行う前に、環境省の最新情報、地方環境事務所、都道府県の自然環境担当部署などへ確認してください。

外来生物法とは

外来生物法の正式名称は「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」です。

この法律は、生態系、人の生命・身体、農林水産業へ被害を及ぼし、または及ぼすおそれがある外来生物を特定外来生物として指定し、その飼養、栽培、保管、運搬、輸入、放出などを規制するとともに、防除を進めることを目的としています。

外来種と特定外来生物は同じではない

外来種とは、人の活動によって本来の分布域の外へ持ち込まれた生物を広く指す言葉です。一方、特定外来生物は、外来種のうち、法律に基づいて国が指定した生物です。

区分 概要 公園管理での注意点
外来種 人の活動によって本来の分布域外へ導入された生物 すべてが外来生物法の規制対象とは限らない
特定外来生物 生態系などへ被害を及ぼすおそれがあるとして法律で指定された生物 飼養、保管、運搬、放出などが原則として規制される
条件付特定外来生物 特定外来生物のうち、一部の規制が適用除外される生物 一般的な特定外来生物と同じ扱いではないため個別確認が必要
生態系被害防止外来種 対策の必要性が高い外来種として国のリストに掲載された生物 リスト掲載だけで直ちに外来生物法の禁止行為が適用されるとは限らない

特定外来生物に対する主な規制

特定外来生物については、許可なく次のような行為を行うことが原則として禁止されています。

  • 飼育や栽培をすること
  • 一時的に保管すること
  • 生きたまま運搬すること
  • 輸入すること
  • 販売、譲渡、引渡しをすること
  • 野外へ放つ、植える、まくこと

公園内で見つけた個体を「別の池へ移す」「空き地へ持っていく」「持ち帰って後で処分する」といった行為は、種類や状況によって法律上の問題になる可能性があります。

最も避けたい対応:捕獲した生物を判断せずに別の公園、池、川、空き地へ移すことです。善意の移動でも、外来生物の拡散や違法な放出・運搬につながることがあります。

公園で見つかりやすい外来生物

地域によって分布は異なりますが、公園や緑地では次のような外来生物が問題になることがあります。

  • オオキンケイギク
  • ナガエツルノゲイトウ
  • オオハンゴンソウ
  • アレチウリ
  • ボタンウキクサ
  • ウシガエル
  • ブルーギル
  • オオクチバス
  • カダヤシ
  • アライグマ
  • ヌートリア
  • ヒアリ類
  • アカミミガメ
  • アメリカザリガニ

ただし、見た目が似た在来種もあります。現場担当者だけで断定せず、写真、確認地点、日時、大きさ、生育・生息状況を記録し、図鑑や行政機関、専門家によって同定します。

条件付特定外来生物とは

アカミミガメとアメリカザリガニは、2023年6月1日から条件付特定外来生物に指定されています。

一般家庭で現在飼っている個体をそのまま飼育することなど、一部の行為には通常の特定外来生物とは異なる扱いがあります。一方、野外へ放すこと、逃がすこと、販売や購入などは規制されています。

公園の池で捕獲した個体の取扱いは、家庭で飼育中の個体とは状況が異なります。池干しや防除を行う場合は、自治体の自然環境担当部署や地方環境事務所へ事前に確認します。

公園で発見したときの基本対応

  1. 利用者や作業員の安全を確保する
  2. むやみに触る、捕まえる、移動させることを避ける
  3. 写真、日時、場所、個体数、範囲を記録する
  4. 種名を確認する
  5. 特定外来生物への指定状況を確認する
  6. 自治体の公園担当・自然環境担当へ報告する
  7. 必要に応じて地方環境事務所へ相談する
  8. 防除、運搬、処分方法を決めてから作業する
記録のコツ:植物は花、葉、茎、群落全体を撮影し、動物は特徴が分かる角度から撮影します。位置情報、周辺環境、面積や個体数も記録すると、その後の防除計画に役立ちます。

外来植物の刈取りで注意すること

特定外来植物を通常の雑草と同じように刈り、その場から別の集積場所へ運ぶと、種子や茎、根の断片を拡散させることがあります。

外来植物の防除では、次の点を確認します。

  • 開花・結実前など、適切な作業時期を選ぶ
  • 種子、根、地下茎から再生するか確認する
  • 刈払いだけでよいか、抜取りが必要か判断する
  • 刈草を現場外へ運べるか確認する
  • 袋詰め、乾燥、焼却など適切な処分方法を決める
  • 刈払機、車両、靴に付着した種子や泥を除去する
  • 翌年以降も再発状況を確認する

一度の刈取りで根絶できない種類も多く、数年間にわたる継続的な防除が必要になる場合があります。

生きたままの運搬に注意する

特定外来生物は、生きたままの運搬が原則として規制されています。捕獲した魚、カメ、ザリガニ、昆虫などを別の場所へ持っていく前に、法令上の手続や防除計画を確認する必要があります。

植物についても、種子、根、地下茎などが生きた状態で運搬対象になる場合があります。刈草や土砂に混入した状態でも、拡散のおそれがあるため注意が必要です。

防除とは

外来生物法における防除は、特定外来生物の捕獲、採取、排除などによって被害を防ぐ取組です。

国、地方公共団体、民間団体などが計画的に防除を行う場合には、対象種、区域、期間、方法、実施体制などを整理し、法令に基づく手続が必要になることがあります。

自治体が公園で継続的な防除を行う場合は、単発の駆除ではなく、次の内容を含む計画を作成すると管理しやすくなります。

  • 対象種
  • 対象区域
  • 防除目的
  • 実施時期と頻度
  • 捕獲・採取方法
  • 運搬・保管・処分方法
  • 安全対策
  • 記録・効果検証の方法

池干し・浚渫を行う場合

公園池の池干しや浚渫では、外来魚、カメ、ザリガニ、水草などが一度に確認されることがあります。

作業前に、生物の選別場所、在来種の一時保護、特定外来生物の扱い、排水先、泥や水草の処分、作業後の再侵入防止まで決めておきます。

特に確認したい事項は次のとおりです。

  • 捕獲個体を生きたまま移動させる必要があるか
  • 在来種と外来種を誰が識別するか
  • 処分方法が法令や動物福祉に配慮されているか
  • 排水によって卵、幼生、種子が流出しないか
  • 泥や水草を別の場所へ運ぶことで拡散しないか
  • 池干し後のモニタリングを行うか

ヒアリなど危険性の高い生物を見つけた場合

ヒアリ類のように、人の生命・身体へ被害を及ぼすおそれがあり、緊急対応が必要な外来生物もあります。

疑わしいアリを見つけた場合は、素手で触らず、周辺への立入りや資材移動を必要に応じて制限し、環境省や自治体の担当部署へ連絡します。現場判断で巣を崩すと、個体が拡散することがあります。

アライグマ・ヌートリアなどへの対応

公園でアライグマやヌートリアなどを見つけても、許可や計画なしに捕獲器を設置してよいとは限りません。外来生物法だけでなく、鳥獣保護管理法などの手続も関係します。

餌付けを防ぎ、ごみ箱、落果、ペットフードなどの誘引物を減らすことも重要です。利用者へは、近づかない、触らない、餌を与えないよう周知します。

指定管理者や受託者の責任

指定管理者や草刈り・清掃受託者が外来生物を発見した場合、独断で捕獲・運搬・処分せず、仕様書や緊急連絡基準に従って自治体へ報告します。

自治体は、仕様書や協定書に次の内容を定めておくと対応が明確になります。

  • 発見時の報告先
  • 写真・位置情報の記録方法
  • 作業を一時停止する基準
  • 捕獲や刈取りを行える範囲
  • 運搬・処分前の承認手続
  • 防除作業の費用負担
  • 専門業者や行政機関との連絡方法
管理上のポイント:「外来種を見つけたら除去する」とだけ仕様書に書くのは不十分です。種類の確認、運搬、処分、記録まで具体的に定めます。

利用者による放流・遺棄を防ぐ

公園の池では、飼えなくなったカメ、魚、ザリガニなどが放されることがあります。放流は生態系への影響だけでなく、種類によっては法律違反になる可能性があります。

公園管理者は、次のような対策を検討します。

  • 生き物を放さないよう看板で周知する
  • 放流が多い場所を巡回する
  • 利用者からの通報窓口を明確にする
  • 学校や地域団体と普及啓発を行う
  • 池の生態系や外来種問題を分かりやすく説明する

単に「禁止」と表示するだけでなく、放流された生物が在来種を捕食したり、餌や生息場所を奪ったりする理由を説明すると理解を得やすくなります。

防除後のモニタリング

外来生物は、一度除去しても、残った種子、地下茎、卵、幼生、周辺地域からの再侵入などによって再び増えることがあります。

防除後は、次の内容を継続的に確認します。

  • 再発・再侵入の有無
  • 個体数や分布範囲の変化
  • 在来種の回復状況
  • 防除方法の効果
  • 周辺地域からの侵入経路
  • 作業による地面、水質、他の生物への影響

公園管理担当者向けチェックリスト

  • 対象生物の種名を確認したか
  • 最新の特定外来生物一覧を確認したか
  • 条件付特定外来生物か確認したか
  • 捕獲・採取前に必要な手続を確認したか
  • 生きたままの運搬可否を確認したか
  • 保管・処分方法を決めたか
  • 作業員へ識別方法と禁止事項を説明したか
  • 機械、靴、車両による拡散防止策があるか
  • 池干しや浚渫時の生物選別計画があるか
  • 利用者による放流防止の周知を行っているか
  • 防除後のモニタリング計画があるか
  • 自治体、指定管理者、受託者の役割が明確か

まとめ

外来生物法は、生態系、人の生命・身体、農林水産業へ被害を及ぼすおそれのある外来生物を特定外来生物として指定し、飼養、保管、運搬、放出などを規制する法律です。

公園管理では、特定外来生物を見つけたからといって、すぐに捕まえて別の場所へ移してはいけません。まず種を確認し、法令上の規制、運搬方法、処分方法、防除手続を確認する必要があります。

外来植物の刈草、池の泥、水草、作業機械に付着した種子なども、拡散の原因になります。発見、同定、防除、運搬、処分、洗浄、モニタリングを一連の管理として実施し、自治体、指定管理者、受託者の役割を明確にすることが重要です。

参考資料・公的情報

内容確認日:2026年7月19日