Park 公園管理

公園・緑地の年間維持管理計画の作り方|草刈り・集草・剪定・伐採の班編成とスケジュール例

自治体が管理する公園や緑地では、年間を通して草刈り、集草、低木・生垣の剪定、高木剪定、伐採、落ち葉清掃、危険木の点検など、さまざまな維持管理作業が必要になります。

しかし、管理対象となる公園が数十か所、数百か所と増えてくると、「草が伸びた場所から順番に刈る」という方法だけでは効率的に管理できません。

公園ごとに優先順位を決め、年間の巡回計画を作成し、草刈り班、集草班、剪定班などの役割を整理して運用することが重要です。

この記事では、公園・緑地の維持管理を実際に運用することを想定して、年間スケジュール、草刈りと集草の進め方、班編成、巡回方法、剪定・伐採を業者へ依頼する判断などを具体的に解説します。

公園・緑地の維持管理は「年間計画」と「随時対応」を組み合わせる

公園・緑地の維持管理では、年間予定を決めて順番に作業することが基本となります。

ただし、年間計画だけですべての作業を固定してしまうと、草の生育状況、台風、倒木、住民からの要望、イベントなどに対応できません。

そのため実際の運用では、次の2種類を組み合わせて管理すると扱いやすくなります。

  • 定期作業:草刈り、集草、通常剪定、定期点検など
  • 随時作業:支障枝、倒木、枯木、台風被害、苦情対応、イベント前整備など

年間予定を100%埋めるのではなく、雨天や緊急対応を想定して一定の予備日を確保しておくことが重要です。

草刈りの回数はすべての公園で同じにしない

公園によって利用状況や草の伸び方は異なります。

駅前や住宅地の公園、遊具のある公園、利用者が少ない緑地、法面などをすべて同じ回数で管理すると、必要以上に作業する場所と、逆に管理が追いつかない場所が出てきます。

そこで、公園・緑地を管理ランクに分けておく方法が使いやすくなります。

管理ランク 対象例 草刈り回数の目安 巡回の目安
A 駅前、公園中心部、遊具広場、利用者が多い場所 年4~6回程度 週1~2回程度
B 一般的な街区公園・緑地 年3~4回程度 2週間に1回程度
C 利用頻度の低い緑地、法面、周辺部 年2~3回程度 月1回程度

これは法律で定められた回数ではなく、年間計画を作るための一例です。

実際には草丈、景観、利用状況、見通し、安全性、予算などを考慮して回数を設定します。

草刈り時期の基本的な考え方

自治体の公園維持管理仕様でも、年3回の場合に春から初夏、夏、秋に草刈りを行う例があります。

関東地方などを想定すると、次のような年間配置が考えられます。

時期 主な草刈り
4~6月 第1回草刈り
7~8月 第2回草刈り
9~11月 第3回草刈り

利用頻度の高い公園では、この間に追加の草刈りを行います。

草刈りと集草は同時に行わなくてもよい

草刈りを行った直後に、その場ですべての刈草を集めて作業を完了させる方法もあります。

しかし、実際の維持管理では、草刈りと集草の間に時間を空ける方法が効率的な場合があります。

刈った直後の草は水分を多く含んでいるため重く、熊手やフォークなどで集める際にも扱いにくくなります。

晴天時であれば、刈草をしばらく乾燥させることで重量が軽くなり、集草、積込み、運搬がしやすくなります。

例えば午前中に草刈りを行い、午後から集草を行う方法があります。

さらに広い公園や緑地では、前日に草刈りを行い、翌日に集草する方法も考えられます。

草刈班と集草班を時間差で動かす

管理する公園が多い場合には、草刈班と集草班を完全に同時行動させる必要はありません。

草刈班を先行させ、集草班が半日から1日程度遅れて追いかける方式にすると、刈草を乾燥させながら作業できます。

例えば次のように運用します。

時間 草刈班 集草班
月曜午前 A公園・B公園を草刈り 前週作業分を集草
月曜午後 C公園を草刈り A公園・B公園を集草
火曜午前 D公園・E公園を草刈り C公園を集草
火曜午後 F公園を草刈り D公園・E公園を集草

公園の規模や刈草量によっては、半日ではなく翌日以降に集草してもよいでしょう。

刈草を長期間放置すると、公園利用者の通行を妨げたり、風で飛散したりする可能性があります。乾燥時間は現場の利用状況や天候を考慮して決定します。

雨天前には刈りっぱなしにしない

草を乾かしてから集草する運用にはメリットがありますが、天候には注意が必要です。

草刈り後に雨が降ると、刈草が再び水分を含んで重くなり、集草しにくくなります。

そのため、翌日が雨予報の場合には、草刈り範囲を減らして当日中に集草できる量に調整するなどの対応が必要です。

週間天気を確認しながら草刈りと集草の量を調整することが、実際の運用では重要になります。

草刈り作業の基本的な流れ

公園で草刈りを行う場合には、単純に刈払機を動かすだけではありません。

  1. 作業場所・作業範囲の確認
  2. 利用者・車両・周辺施設の確認
  3. 空き缶、石、枝など飛散物の除去
  4. カラーコーンや作業表示の設置
  5. 刈払機・自走式草刈機による草刈り
  6. 遊具、樹木、フェンス周辺などの際刈り
  7. 必要に応じて刈草を乾燥
  8. 集草
  9. 積込み・搬出
  10. 園路・道路などの清掃
  11. 作業後確認

公園では飛石対策を特に重視する

公園には子ども、自転車、犬の散歩をしている人など、不特定多数の利用者がいます。

刈払機の作業では、石、空き缶、枝などを刃が弾いて飛散させる危険があります。

そのため、草刈りを開始する前に異物を確認し、必要に応じて飛散防止ネット、カラーコーン、監視員などを配置します。

駐車車両、建物のガラス、道路などが近い場所では、作業方向にも注意します。

草刈班の基本編成

一般的な公園で刈払機を使用する場合には、2~4人程度の班が運用しやすくなります。

3人班の例

担当 主な役割
班長・刈払機 作業範囲確認、作業指示、草刈り
刈払機 草刈り、際刈り
補助 安全確認、利用者誘導、飛石対策、障害物除去

作業範囲が広ければ、補助者が集草・清掃を兼ねることもできます。

4人班の例

担当 人数
班長・安全確認 1人
刈払機 2人
補助・清掃 1人

利用者の多い公園では、安全確認を行う人員を確保した方が作業しやすくなります。

広い緑地では機械を使い分ける

広い平坦地をすべて刈払機だけで作業すると、多くの時間と人員が必要になります。

場所によって次のように機械を使い分けます。

場所 適した機械の例
広い平坦地 乗用草刈機
比較的広い場所 自走式草刈機
樹木・遊具周辺 刈払機
狭い場所 刈払機・手作業
法面 法面対応機械・刈払機など

機械化できる場所と、人力でなければ作業できない場所を事前に分けておくことで、必要人工を予測しやすくなります。

集草班の編成

集草は草刈りとは別工程として考えると、計画を立てやすくなります。

2~3人程度を基本として、次のような作業を行います。

  • 熊手などによる刈草の集積
  • ブロワーによる園路・縁石周辺の清掃
  • 袋詰めまたは車両への積込み
  • 搬出
  • 最終清掃

乾燥した草であれば重量が減るため、集草や積込み作業の負担を減らしやすくなります。

剪定は日常作業と専門作業を分ける

剪定については、すべてを同じ班で行う必要はありません。

低木、生垣、地上から安全に作業できる枝などは、通常の維持管理班で対応できます。

一方、高木や道路上に張り出した枝、大径木などは、使用する機械や安全管理が大きく異なります。

作業 対応例
低木剪定 通常維持管理班
生垣刈込み 通常維持管理班
地上から届く支障枝 通常維持管理班
高木剪定 専門班または業者委託
大径木伐採 専門業者への委託を検討
クレーンを使用する伐採 専門業者への委託を検討

高所作業車が必要な剪定・伐採は外注も選択肢

公園・緑地の維持管理だからといって、高木剪定や伐採まですべて自前で行う必要はありません。

高所作業車を必要とする剪定・伐採では、車両だけでなく、運転資格、作業者、安全管理、交通誘導などが必要になることがあります。

年間の使用頻度が少ない場合には、高所作業車を保有している造園業者や樹木管理業者などへ依頼する方が効率的な場合があります。

高木剪定や伐採を委託する場合には、単純に高所作業車を所有しているかだけでなく、必要な資格・教育を受けた作業者がいるか、樹木作業の経験があるかなども確認します。

伐採は通常維持管理とは分けて計画する

伐採作業は草刈りや低木剪定と比較して危険性が高く、作業時間も予測しにくいため、通常の年間巡回とは別枠で管理すると扱いやすくなります。

例えば次のように分類します。

  • 枯木
  • 倒木のおそれがある木
  • 道路や住宅へ大きく張り出した木
  • 強風で折損した木
  • 施設を損傷するおそれがある木
  • 計画的に樹高を下げる必要がある木

危険度の高いものから優先順位を付け、必要に応じて専門業者へ発注します。

自治体全体では「地区別巡回」にすると管理しやすい

管理対象が多数ある場合には、公園を一つずつ無作為に回るのではなく、地区ごとにまとめます。

60か所の公園・緑地を管理する場合:

  • 北地区:20か所
  • 中央地区:20か所
  • 南地区:20か所

それぞれを一定の順番で巡回します。

近隣の公園を連続して作業することで、車両や機械の移動時間を短縮できます。

ただし巡回順を絶対固定にはしない

年間計画は必要ですが、「次の順番になるまで作業しない」という運用ではありません。

次のような場所は優先順位を上げます。

  • 草丈が急激に高くなった場所
  • 遊具周辺
  • 交差点や道路の見通しを妨げる場所
  • イベント開催予定の公園
  • 住民から要望があった場所
  • 台風や強風後の公園
  • 倒木・枯木のおそれがある場所
  • ハチなど危険生物が確認された場所

通常巡回とは別に、緊急・臨時作業を組み込める余裕を持たせます。

実際に使いやすい1週間の作業予定表

草刈りと集草を時間差で進める場合には、次のような週間予定が考えられます。

曜日 午前 午後
月曜日 A・B公園 草刈り 前週作業分の集草・清掃
火曜日 C・D公園 草刈り A・B公園 集草
水曜日 E・F公園 草刈り C・D公園 集草
木曜日 G・H公園 草刈り E・F公園 集草
金曜日 予備・剪定・苦情対応 G・H公園集草・機械整備

金曜日などに予備時間を設けておくと、雨天による延期、機械故障、想定以上の草量、住民要望、倒木などに対応しやすくなります。

年間維持管理スケジュールの例

月 草刈り・集草 剪定 伐採・点検など
1月 原則少ない 落葉樹剪定 枯木・危険木伐採
2月 原則少ない 冬季剪定 伐採・設備点検
3月 必要箇所のみ 春前調整 年度切替前点検
4月 第1巡回開始 軽剪定 危険木点検
5月 第1回草刈り本格化 生垣・低木 随時対応
6月 第1回完了・次巡回 低木剪定 梅雨前後点検
7月 第2回草刈り 必要箇所のみ 熱中症対策
8月 第2回草刈り継続 必要箇所のみ 台風前点検
9月 第3回草刈り開始 生垣・低木 台風後点検
10月 第3回草刈り 秋季剪定 危険木調査
11月 最終草刈り・必要箇所 剪定本格化 伐採
12月 原則少ない 冬季剪定 枯木・危険木伐採

これは一例であり、地域の気候や植生、公園の利用状況によって調整します。

公園ごとの管理台帳を作る

年間予定を管理する場合には、公園名と作業日だけではなく、面積や作業量も登録します。

公園 面積 管理ランク 草刈回数 前回実施 次回予定 標準人工 備考
A公園 2,500㎡ A 5回 5月15日 6月25日 1.5人工 遊具周辺注意
B公園 6,000㎡ B 3回 5月20日 7月20日 3人工 一部法面あり
C緑地 12,000㎡ C 2回 6月1日 9月10日 5人工 利用者少

必要人工を記録すると翌年の計画が作りやすい

最初から「1人が1日に何㎡刈れる」と固定するより、実際の作業実績を記録していく方法が適しています。

同じ1,000㎡でも、平坦な芝地と、樹木・遊具・フェンスが多い公園では必要時間が大きく異なります。

次のような情報を記録します。

  • 作業面積
  • 作業人数
  • 草刈り時間
  • 集草時間
  • 使用機械
  • 草丈
  • 法面の有無
  • 遊具・樹木など障害物の量
  • 刈草の量

これを1年間記録すると、翌年度から公園ごとの標準人工を設定できます。

作業前・作業後の写真を残す

自治体の維持管理では、作業実績を確認できるように写真を残しておくと管理しやすくなります。

特に業務委託の場合には、作業前、作業中、作業後の写真を求められることがあります。

写真には次の内容を記録しておくと便利です。

  • 公園名
  • 作業日
  • 作業箇所
  • 作業内容
  • 作業前
  • 作業後

横浜市でも、公園緑地等維持業務について巡視点検チェックシートや写真管理基準を公開しています。

横浜市|公園緑地維持委託・仕様書関連

高木剪定・伐採は事前に一覧化しておく

高木剪定や伐採を専門業者へ依頼する場合には、その都度1本ずつ依頼するより、定期巡回時に対象木を記録しておくと効率的です。

例えば管理台帳に次の項目を設けます。

  • 公園名
  • 樹種
  • 対象木の位置
  • おおよその樹高
  • 剪定・伐採の必要性
  • 危険度
  • 高所作業車進入可否
  • 道路規制の必要性
  • 写真

緊急性のないものは一定数まとめて発注することで、高所作業車などの移動費用を抑えられる可能性があります。

班編成のモデル

班 人数目安 主な作業
草刈班 2~3人 刈払機、自走式草刈機、乗用草刈機
集草・清掃班 2~3人 集草、積込み、ブロワー、清掃
通常剪定班 2~3人 低木、生垣、地上から対応できる支障枝
巡回・点検 1~2人 危険箇所、草の状態、倒木、住民要望確認
高木剪定・伐採 作業内容による 専門業者への委託を含めて対応

年間予定は「草刈り中心の季節」と「剪定・伐採中心の季節」に分ける

年間の仕事量を平準化するためには、作業内容を季節によって分けます。

春から秋までは草の生育が早いため、草刈り・集草を中心にします。

草の生育が落ち着く晩秋から冬にかけては、剪定、枯木処理、伐採などを進めます。

4~10月:草刈り・集草中心

11~3月:剪定・伐採・危険木処理中心

このように年間の作業内容を切り替えることで、人員を年間を通して有効に配置しやすくなります。

年間計画を作るときのポイント

  • 公園・緑地を地区別に分ける
  • 管理ランクを設定する
  • 草刈り回数を公園ごとに決める
  • 草刈りと集草は必要に応じて時間を空ける
  • 雨天予備日を確保する
  • 通常剪定と高木剪定を分ける
  • 高木剪定・伐採は専門業者への委託も検討する
  • 危険木や苦情対応のための余裕を残す
  • 作業人工を毎回記録する
  • 翌年度の計画に実績を反映する

まとめ

公園・緑地の維持管理では、単純に公園を順番に回って草を刈るだけでは、効率的な運用は難しくなります。

管理する公園を地区や管理ランクで分類し、年間の草刈り回数と巡回ルートを決めたうえで、天候や草の生育状況に応じて予定を調整する方法が実用的です。

草刈りについては、刈った直後に集草するだけでなく、午前に草刈りを行って午後に集草したり、翌日に集草したりする方法があります。刈草を適度に乾燥させることで軽くなり、集草や積込みを行いやすくなります。

また、低木剪定や通常の草刈りは日常維持管理班で対応し、高所作業車が必要となる高木剪定や大型樹木の伐採については、設備や資格を持つ専門業者へ委託する方法も現実的です。

年間予定を100%固定するのではなく、雨天、台風、倒木、住民要望などに対応できる予備日を設け、作業実績を毎年記録して翌年度の計画へ反映することで、より効率的な公園・緑地管理につながります。