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犬のフン問題への対応

公園内に放置された犬のフンは、景観や臭いの問題だけでなく、利用者が踏む、子どもが触れる、芝生や遊具周辺が不衛生になる、寄生虫や病原体への不安が生じるなど、公園の快適性と衛生管理に関わる問題です。

対応では、放置されたフンを安全に回収するだけでなく、発生場所・時間帯・頻度を記録し、飼い主への啓発、巡回、掲示、関係部署との連携を組み合わせます。犬の飼育者全体を一括して非難するのではなく、適正に処理している利用者にも配慮した対応が必要です。

重要:血液が混じる、異常な色・形状がある、大量に散乱している、動物の死骸や嘔吐物がある、注射針など危険物が混在している場合は、通常の犬のフンと決めつけず、周囲を規制して保健所・動物愛護担当・管理責任者へ相談します。

犬のフン放置による主な問題

問題 具体的な影響 主な対応
衛生問題 手・靴・遊具への付着、悪臭 早期回収、洗浄、手洗い案内
利用上の支障 芝生広場や園路を安心して使えない 重点清掃、巡回、注意表示
景観悪化 管理不良との印象 早期除去、発生地点の把握
苦情・対立 犬利用者と他の利用者の対立 中立的な掲示、ルール周知
再発 同じ場所へ繰り返し放置される 時間帯別巡回、啓発、条例運用

苦情受付時の基本姿勢

  • 場所、日時、量、頻度を具体的に聞く
  • 利用者が踏んだ、子どもが触れたなどの被害を確認する
  • 犬の飼い主全体を非難する表現を避ける
  • 現地確認と清掃予定を伝える
  • 犯人の特定や処罰を安易に約束しない
  • 受付内容と対応結果を記録する
聞き取りのポイント:「いつも同じ場所にある」という申出は、巡回時間を調整する重要な情報です。曜日、時間帯、犬や飼い主の特徴、進行方向などを、無理のない範囲で確認します。

受付時に確認する項目

  • 公園名・発生場所
  • 発見日時
  • 個数・範囲
  • 園路、芝生、砂場、遊具周辺などの区分
  • 繰り返し発生しているか
  • 飼い主を目撃したか
  • 利用者への付着・接触があったか
  • 写真の有無
  • 過去の相談・対応歴

現地確認の流れ

  1. 発生場所を特定する
  2. 利用者が触れる危険を確認する
  3. フンの個数・範囲を記録する
  4. 写真を撮影する
  5. 手袋等を使用して回収する
  6. 必要に応じて汚染面を洗浄する
  7. 発生地点と対応日時を記録する

優先して清掃する場所

  • 砂場
  • 幼児用遊具の周辺
  • 芝生広場
  • ベンチ・休憩所周辺
  • 主要園路・出入口
  • 水飲み場・トイレ周辺
  • スポーツ施設・運動広場
  • 視覚障害者誘導用ブロック上

回収作業の基本

  • 使い捨て手袋を着用する
  • スコップ、トング、袋を使用する
  • 直接手で触れない
  • 周囲の土・落葉を必要最小限一緒に回収する
  • 袋を確実に閉じる
  • 作業後に手洗い・消毒を行う
  • 使用器具を洗浄する
清掃時の注意:高圧の水だけでフンを側溝、排水口、池、河川へ流してはいけません。固形物を先に回収し、必要な範囲を洗浄します。

砂場で発見した場合

  • 周辺を一時的に利用禁止にする
  • フンと接触した砂を広めに除去する
  • 残存物がないか目視確認する
  • 必要に応じて砂の補充・入替えを行う
  • 砂場柵・カバー・周辺掲示を確認する
  • 清掃後に管理責任者が再開判断する

遊具・ベンチ等に付着した場合

  • 対象施設を一時使用禁止にする
  • 固形物を除去する
  • 材質に適した方法で洗浄する
  • 洗浄剤が残らないようにする
  • 乾燥・安全確認後に再開する
  • 清掃前後の写真を保存する

感染症・寄生虫への配慮

犬のフンには、細菌や寄生虫等が含まれる可能性があります。ただし、見ただけで病原体の有無を判断することはできません。過度に不安をあおらず、直接接触を避け、適切な回収・手洗いを徹底します。

  • 素手で触らない
  • 飲食物の近くで作業しない
  • 傷のある手で触れない
  • 作業後に石けんで手を洗う
  • 子どもが触れた場合は手洗いを案内する
  • 体調異常がある場合は医療機関へ相談する

飼い主を現認した場合

  • 安全な距離から穏やかに声をかける
  • フンの回収を具体的に依頼する
  • 自治体条例や公園ルールを説明する
  • 相手の氏名・住所を無理に聞き出さない
  • 暴言・威嚇がある場合は対応を中止する
  • 繰り返し・悪質な場合は関係部署や警察へ相談する

声かけの例

「公園内では、犬のフンは飼い主の方に持ち帰っていただいています。恐れ入りますが、回収をお願いします。」

最初から「違反だ」「罰金だ」と強く責めるよりも、まずルールと必要な行動を明確に伝えます。条例に基づく指導・命令・過料等を行う場合は、権限のある部署と手続を確認します。

飼い主が立ち去った場合

  • 職員が無理に追跡しない
  • 犬・飼い主の特徴を記録する
  • 日時・場所・進行方向を記録する
  • 防犯カメラの有無を確認する
  • 繰り返す時間帯に巡回する
  • 個人を特定する画像をSNSへ公開しない

掲示による啓発

  • 「フンは必ず持ち帰る」と具体的に示す
  • 袋・回収用具の携帯を案内する
  • 禁止だけでなく衛生上の理由を示す
  • 子どもにも分かる図や表現を使う
  • 発生地点の近くに設置する
  • 威圧的・差別的な表現を避ける

効果的な掲示例

犬のフンは飼い主が持ち帰りましょう
この公園は子どもを含む多くの方が利用します。散歩の際は回収袋を携帯し、フンは必ず持ち帰って適正に処理してください。

避けるべき掲示

  • 犬の利用自体を敵視する表現
  • 根拠なく高額な罰金を記載する
  • 特定人物・犬の写真を掲示する
  • 「監視中」だけで行動を示さない
  • 小さすぎて読めない掲示
  • 条例と異なる内容を記載する

巡回の工夫

  • 苦情が多い時間帯へ巡回を合わせる
  • 早朝・夕方の散歩時間を確認する
  • 発生地点を地図化する
  • 出入口・園路・芝生を重点確認する
  • 週ごとの発生件数を記録する
  • 注意掲示設置後の変化を確認する

防犯カメラの利用

  • 設置目的を明確にする
  • 撮影範囲を必要最小限にする
  • 住宅・私有地を過度に撮影しない
  • 撮影中であることを表示する
  • 閲覧者・保存期間を定める
  • 映像をSNSや一般掲示へ公開しない
  • 条例執行や警察提供は所定手続で行う

チョーク等による発生地点表示

自治体によっては、放置されたフンの周囲をチョークで囲み、発見日時などを記す啓発活動を行っています。放置状況を可視化し、飼い主へ地域が見ていることを伝える方法です。

  • 自治体の実施要領を定める
  • 道路・施設を恒久的に汚さない材料を使う
  • 個人を追跡・特定する目的にしない
  • 回収の時期と担当を明確にする
  • 雨天や舗装材への影響を確認する

フン回収袋やごみ箱の設置

回収袋や専用ごみ箱は、適正処理を促す場合がある一方、家庭ごみの持込み、臭い、害虫、管理費の増加につながることがあります。

  • 設置目的と利用対象を明確にする
  • 回収頻度・臭気対策を決める
  • 一般ごみの混入を想定する
  • 破損・放火・いたずらを考慮する
  • 持ち帰り方式との効果を比較する
  • 試行期間を設けて評価する

ドッグランでの対応

  • 入場時に回収袋の携帯を案内する
  • 飼い主が直ちに回収するルールを明示する
  • 清掃用具・専用容器の管理方法を定める
  • 定期巡回と場内清掃を行う
  • 利用者同士で過度に監視・対立しないよう案内する
  • ルール違反が続く場合の利用制限手続を定める

犬の尿への対応

尿はフンと異なり、完全な回収が難しいため、自治体条例や公園ルールに基づき、場所への配慮や水で流すことを案内する場合があります。ただし、少量の水をかけるだけで衛生上の問題がすべて解消するとは限りません。

  • 遊具・ベンチ・水飲み場付近を避けるよう案内する
  • 樹木や植栽への繰り返し排尿に注意する
  • 施設への腐食・臭いを確認する
  • 必要に応じて管理者が洗浄する
  • 自治体の具体的ルールを掲示する

放し飼い・ノーリードを伴う場合

  • 犬へ不用意に近づかない
  • 飼い主へリード装着を求める
  • 咬傷・追いかけ等の危険を確認する
  • 自治体の動物愛護条例を確認する
  • 飼い主不明犬は保健所・動物愛護担当へ連絡する
  • 人へ危害が迫る場合は警察へ通報する

捨て犬・迷い犬が疑われる場合

  • 無理に捕獲しない
  • 犬の特徴・首輪・鑑札の有無を確認する
  • 人や犬への危険を避ける
  • 保健所・動物愛護センター・警察へ連絡する
  • 一時的に周辺を立入規制する
  • フン問題だけでなく動物の保護案件として扱う

清掃委託業者との役割分担

  • 発見時の回収範囲を定める
  • 砂場・遊具付着時の報告基準を定める
  • 異常便・血液・危険物混在時の連絡手順を定める
  • 回収物の処理方法を統一する
  • 写真・件数・位置の記録方法を決める
  • 苦情多発地点を共有する

やってはいけない対応

  • 素手で回収する
  • フンを側溝・排水口へ流す
  • 芝生や植込みへ移動させるだけで済ませる
  • 飼い主と思われる人物をSNSで公開する
  • 根拠なく犬の公園利用を全面禁止する
  • 条例上の権限がない職員が罰金を徴収する
  • 動物へ危害を与える忌避剤・薬品を使用する

再発防止の基本

  • 放置されたフンを早期に回収する
  • 発生時間帯に巡回する
  • 出入口と多発地点へ掲示する
  • 飼い主向けに回収袋携帯を周知する
  • 地域・動物愛護担当と啓発を行う
  • 条例に基づく指導体制を整理する
  • 記録を分析し、対策効果を確認する
早期回収の効果:放置物を長く残すと、他の飼い主にも「ここでは放置されている」という印象を与え、再発を招くことがあります。記録後は速やかに回収します。

対応記録に残す項目

  • 受付日時・受付者
  • 申出者・連絡先
  • 公園名・発生地点
  • 発見日時・個数
  • 砂場・遊具等への付着状況
  • 清掃・洗浄内容
  • 飼い主への声かけ内容
  • 掲示・巡回・関係部署への連絡
  • 写真・位置図
  • 再確認予定

対応記録の例

項目 記入例
受付 2026年9月14日 8時20分、利用者から電話
場所 中央公園 幼児遊具南側芝生
状況 犬のフンと思われるもの2か所
危険 幼児が利用する区域のため優先対応
清掃 手袋・スコップで回収し、汚染範囲を洗浄
再発防止 出入口へ掲示、7時台の巡回を追加
再確認 2週間、発生件数を記録

関連する主な法令

法令確認の注意:犬のフン放置を直接禁止し、指導・命令・過料等を定める規定は、自治体のふん害防止条例、環境美化条例、動物愛護条例、都市公園条例に置かれていることが多く、地域ごとに内容が異なります。

動物の愛護及び管理に関する法律

動物愛護管理法は、動物の所有者・占有者に対し、動物の健康と安全を保持するとともに、人の生命・身体・財産への侵害や生活環境の保全上の支障を防止するよう努めることを求めています。

犬のフン処理方法を全国一律に細かく定める法律ではありませんが、飼い主の適正飼養と周辺生活環境への配慮の基本となります。

自治体のふん害防止条例・環境美化条例

多くの自治体では、公共の場所に犬のフンを放置する行為を禁止し、飼い主に回収用具の携帯、持ち帰り、適正処理を求めています。

  • 犬のフン放置の禁止
  • 回収用具の携帯
  • 飼い主による原状回復
  • 指導・勧告・命令
  • 氏名公表・過料・罰金等

適用する場合は、条例の対象区域、飼い主・管理者の定義、現認要件、指導手続、過料等の要件を確認します。

都市公園法・都市公園条例

都市公園法は都市公園の設置・管理に関する基本事項を定めています。具体的な犬の利用、フン放置、動物の持込み、迷惑行為については、自治体の都市公園条例・管理規則で定められている場合があります。

  • 公園の適正管理
  • 他の利用者へ迷惑を及ぼす行為の禁止
  • 利用制限・退去要請
  • ドッグラン等の利用規則

廃棄物処理法

回収された犬のフンや、清掃に使用した汚染物の処理には、廃棄物処理法と自治体のごみ分別・処理基準が関係します。

  • 自治体が定める方法で適正に処理する
  • 水路・公園内へ投棄しない
  • 管理業務で回収した物の区分を確認する
  • 清掃委託時の保管・収集方法を定める

狂犬病予防法

狂犬病予防法は、犬の登録、鑑札、狂犬病予防注射、注射済票等を定めています。犬のフン放置を直接規制する法律ではありませんが、飼い主不明犬・迷い犬への対応や所有者確認に関係します。

軽犯罪法

軽犯罪法には、公共の場所の清潔や秩序を害する一定の行為に関する規定があります。ただし、犬のフン放置への適用は具体的な事実関係によるため、通常は自治体のふん害防止条例・環境美化条例を優先して確認します。

民法

犬のフン放置によって衣服・靴・施設等が汚損し、具体的な損害が生じた場合は、飼い主の故意・過失や因果関係に応じて、民法上の不法行為責任が問題となる可能性があります。

国家賠償法

地方公共団体等が管理する公園で、管理者が著しい汚染や危険を把握しながら合理的な清掃・規制を行わず、利用者に損害が発生した場合は、国家賠償法上の管理責任が問題となる可能性があります。

フンが一つ存在しただけで直ちに管理瑕疵となるわけではなく、発生頻度、予見可能性、清掃頻度、場所、利用者層、管理者の対応などが総合的に検討されます。

個人情報保護法・自治体の個人情報保護制度

苦情申出者、飼い主とみられる人物、防犯カメラ映像、車両番号等の情報は、業務上必要な範囲で取り扱います。本人を特定できる写真や情報を公園掲示・SNSへ公開しません。

自治体の動物愛護条例

都道府県・市区町村の動物愛護条例では、犬の係留、公共の場所での管理、フンの処理、周辺環境への迷惑防止、飼い主への指導等を定めている場合があります。

法令確認の実務手順

  1. 発生場所の自治体を確認する
  2. ふん害防止条例・環境美化条例を確認する
  3. 都市公園条例と動物愛護条例を確認する
  4. 指導・命令・過料を行う所管部署を確認する
  5. 現認・証拠・記録の要件を確認する
  6. 公園管理者、環境美化、動物愛護担当で連携する
  7. 対応経過と再発防止策を記録する

苦情受付チェックリスト

  • 公園名・発生地点を確認したか
  • 日時・個数・頻度を確認したか
  • 砂場・遊具等への付着を確認したか
  • 利用者の接触・被害を確認したか
  • 現地確認予定を伝えたか
  • 受付記録を残したか

清掃チェックリスト

  • 手袋・回収用具を使用したか
  • 固形物を先に回収したか
  • 排水口へ流していないか
  • 必要な範囲を洗浄したか
  • 砂場・遊具の再開を確認したか
  • 回収物を適正処理したか

再発防止チェックリスト

  • 発生時間帯へ巡回を合わせたか
  • 多発地点へ適切な掲示をしたか
  • 条例の所管部署と連携したか
  • 個人を特定する情報を公開していないか
  • 発生件数を継続記録したか
  • 対策の効果を再確認したか

関連法令・資料の確認先

まとめ

犬のフン問題への対応では、まず砂場、遊具、芝生、園路などの発生場所と衛生上の危険を確認し、手袋・回収用具を使用して早期に除去します。水で側溝へ流したり、植込みへ移したりしてはいけません。

再発防止では、発生する曜日・時間帯を記録し、巡回、分かりやすい掲示、飼い主への声かけ、地域や動物愛護担当との啓発を組み合わせます。適正に利用している犬の飼い主を含め、公園利用者同士の対立を招かない表現が重要です。

法令上は、動物愛護管理法、都市公園法、廃棄物処理法、狂犬病予防法、民法、国家賠償法などが関係します。ただし、犬のフン放置を直接禁止し、指導・命令・過料等を定める中心的な規定は、自治体のふん害防止条例、環境美化条例、動物愛護条例、都市公園条例です。

実務では、発生場所の自治体条例と所管部署を確認し、清掃記録、写真、巡回結果、声かけ内容を残しながら、継続的に対策の効果を確認します。