資産運用では、「利益がどれくらい期待できるか」と同時に、「どのようなリスクがあるか」を理解することが重要です。
投資における「リスク」は、単純に「危険」「損をする」という意味だけではありません。
株価、金利、為替、企業の信用などが変化することによって、将来得られる収益や資産価値がどの程度変動する可能性があるかという「不確実性」を表す言葉として使われます。
同じ10万円を運用する場合でも、預金、国債、株式、投資信託、FX、CFDでは、損失が発生する原因や値動きの大きさが異なります。
この記事では、資産運用を勉強するための基礎として、投資におけるリスクとは何か、代表的なリスクにはどのようなものがあるのか、それぞれどの金融商品と関係が深いのかを整理します。
注意:
この記事は、資産運用や投資におけるリスクについて学習するための備忘録です。
特定の金融商品、株式、通貨、証券会社などへの投資を推奨するものではありません。
実際に投資する場合は、最新の商品内容、価格、金利、手数料、税金、リスクなどを確認したうえで判断してください。
- 投資における「リスク」とは?
- リスクが高い=必ず損をするという意味ではない
- リスクとリターンの関係
- 価格変動リスク
- 信用リスク
- 金利変動リスク
- 為替変動リスク
- 流動性リスク
- レバレッジリスク
- ロスカットのリスク
- インフレリスク
- 再投資リスク
- 機会損失も考える
- 預金にもリスクはある
- 国債にもリスクはある
- 株式の主なリスク
- 投資信託・ETFの主なリスク
- FXの主なリスク
- CFDの主なリスク
- 金融商品ごとにリスクの種類は異なる
- 同じ商品でもリスクの大きさは変わる
- リスクを完全になくすことは難しい
- 分散によってリスクを抑える
- 投資する時期を分散する
- 生活資金と投資資金を分ける
- 「どのくらい儲かるか」だけでなく「どのくらい損をする可能性があるか」を考える
- 自分が許容できるリスクを考える
- まとめ
- 参考情報
投資における「リスク」とは?
一般的な会話では、「リスク」という言葉は「危険」や「損失が発生する可能性」という意味で使われることがあります。
一方、投資や資産運用では、リスクは将来の収益や価格がどの程度変動するか分からないという「不確実性」を表す意味でも使われます。
たとえば、10万円で株式を購入した場合、1年後に12万円になっている可能性もあれば、8万円になっている可能性もあります。
このように将来の結果に幅があることが、投資におけるリスクの基本的な考え方です。
例:
Aという金融商品は、1年後もほぼ10万円のままになると予想されます。
Bという金融商品は、1年後に7万円から13万円程度まで変動する可能性があります。
この場合、一般的にはBの方が価格や収益の変動幅が大きいため、「リスクが高い」と考えられます。
リスクが高い=必ず損をするという意味ではない
リスクが高い金融商品だからといって、必ず損失が発生するわけではありません。
価格が大きく下落する可能性がある一方で、大きく上昇する可能性もあります。
反対に、値動きが小さい金融商品では大きな損失が発生しにくい一方、大きな利益も得にくい傾向があります。
そのため、資産運用では単純に「リスクが低い商品だけを選べばよい」「リスクが高い商品は避ければよい」というわけではありません。
どの程度の利益を求め、そのためにどの程度の価格変動や損失を許容できるのかを考える必要があります。
リスクとリターンの関係
投資では、一般的に高い収益を期待できる金融商品ほど、価格や収益の変動も大きくなる傾向があります。
この関係を「リスクとリターンの関係」と呼びます。
| 金融商品の例 | 期待できる収益 | 価格変動 |
|---|---|---|
| 普通預金 | 小さい | ほぼない |
| 国債 | 比較的小さい | 商品によって異なる |
| 株式 | 比較的大きい場合がある | 大きい場合がある |
| FX | 大きくなる場合がある | 大きい場合がある |
| CFD | 大きくなる場合がある | 大きい場合がある |
ただし、リスクが高ければ必ず高い利益が得られるという意味ではありません。
高い利益を得られる「可能性」がある一方で、大きな損失が発生する可能性もあるという意味です。
価格変動リスク
価格変動リスクとは、購入した金融商品の市場価格が変動することによって損失が発生するリスクです。
株式、ETF、REIT、債券など、市場で価格が決まる多くの金融商品に存在します。
例:
10万円で購入した株式の市場価格が8万円まで下落した場合、2万円の含み損が発生します。
その状態で売却すれば、損失が確定します。
価格が下落しても売却しなければ損失が確定しない場合がありますが、その後価格が元に戻る保証はありません。
信用リスク
信用リスクとは、株式や債券などを発行している企業や国などが、予定していた支払いを行えなくなるリスクです。
債券の場合、発行体の財政状態が悪化すると、利子の支払いや元本の償還が行われない可能性があります。
株式の場合は、企業が倒産すると株式の価値が大幅に低下したり、ほとんど価値がなくなったりする可能性があります。
| 商品 | 信用リスクの例 |
|---|---|
| 国債 | 発行国が元本や利子を支払えなくなる |
| 社債 | 発行企業が利子や元本を支払えなくなる |
| 株式 | 企業の経営悪化や倒産 |
金利変動リスク
金利変動リスクとは、市場金利が変化することによって、債券などの価格や収益性が変化するリスクです。
特に固定金利の債券では、市場金利と債券価格が反対方向に動く傾向があります。
一般的には、市場金利が上昇すると既に発行されている固定金利債券の価格は下がり、市場金利が低下すると既発債券の価格は上がりやすくなります。
例:
年2%の固定金利国債を保有しているとします。
その後、新しく発行される国債の利回りが4%になれば、年2%しか利子を受け取れない既存の国債の魅力は相対的に低下します。
そのため、市場で売却する場合の価格が下落する可能性があります。
反対に、新しく発行される国債の利回りが1%まで低下すれば、年2%を受け取れる既存国債の価値が相対的に高くなり、市場価格が上昇する可能性があります。
為替変動リスク
為替変動リスクとは、外国通貨と日本円の交換レートが変化することによって、円換算した資産価値や利益が変動するリスクです。
外国株式、外国債券、外国資産へ投資する投資信託、FXなどで重要になります。
例:
1ドル150円のときに1,000ドル分の資産を購入すると、円換算では15万円です。
資産価格そのものが変わらなくても、円高が進んで1ドル130円になれば、円換算では13万円になります。
この場合、ドル建ての価格が変化していなくても、円換算では2万円減少します。
反対に円安になれば、円換算した資産価値が増加する場合があります。
流動性リスク
流動性リスクとは、金融商品を売却したいときに、すぐに希望する価格で売却できないリスクです。
売買が活発な大型株などでは比較的小さい場合がありますが、取引量の少ない株式や債券などでは問題になることがあります。
買い手が少ない場合、売却するために価格を大きく下げなければならない可能性があります。
レバレッジリスク
レバレッジとは、少ない自己資金をもとに、より大きな金額の取引を行う仕組みです。
FXやCFDなどの証拠金取引では、預けた証拠金より大きな金額を取引できます。
レバレッジを使うことで資金効率を高められる一方、価格が不利な方向へ動いた場合の損失も大きくなります。
例:
10万円の自己資金で10万円分の商品を購入した場合、価格が10%下落すると損失は約1万円です。
一方、10万円の自己資金でレバレッジを利用して100万円分を取引した場合、取引対象が10%下落すると約10万円の損失になる可能性があります。
レバレッジが高いほど、わずかな価格変動でも自己資金に対する影響が大きくなります。
ロスカットのリスク
FXやCFDなどでは、損失が拡大して証拠金維持率などが一定水準を下回ると、金融機関によってポジションが強制的に決済されることがあります。
この仕組みをロスカットといいます。
ロスカットは損失の拡大を一定程度抑えるための仕組みですが、相場が急激に変動した場合には、想定した価格で決済されない可能性もあります。
証拠金取引では、単純に「価格が元に戻るまで待つ」という方法を取れない場合があるため、証拠金維持率やレバレッジの管理が重要になります。
インフレリスク
インフレリスクとは、物価が上昇することで、お金の実質的な購買力が低下するリスクです。
預金残高が100万円のまま変わらなくても、物価が大きく上昇すれば、100万円で購入できる商品やサービスの量は少なくなります。
例:
現在100円の商品が、物価上昇によって将来120円になった場合、同じ1万円で購入できる数量は少なくなります。
そのため、預金のように元本の数字が減りにくい資産でも、実質的な価値が低下する可能性があります。
再投資リスク
再投資リスクとは、金融商品が満期を迎えたり利子を受け取ったりしたときに、同じ条件で再び運用できない可能性があることです。
たとえば年3%の債券が満期を迎えたとき、市場金利が1%まで低下していれば、戻ってきた資金を同じ年3%で再投資できない可能性があります。
定期預金や債券など、一定期間ごとに資金が戻ってくる商品では意識しておきたいリスクです。
機会損失も考える
金融商品そのものから損失が発生していなくても、別の商品を選んでいればより大きな利益が得られたという場合があります。
これを機会損失として考えることがあります。
例:
年2%固定の10年国債を購入した後、市場金利が4%まで上昇したとします。
満期まで保有すれば元本と決められた利子を受け取れる場合でも、より高い4%の金利で運用する機会を逃していると考えることができます。
ただし、将来の金利や価格を事前に正確に予測することはできません。
預金にもリスクはある
預金は株式やFXのように市場価格が大きく変動しないため、一般的にはリスクの低い資産と考えられます。
しかし、預金にもインフレによる実質価値の低下や、金融機関の信用に関するリスクがあります。
日本では預金保険制度によって、一定の条件のもとで預金者の資産が保護される仕組みがありますが、すべての金融商品やすべての金額が無条件に保護されるわけではありません。
国債にもリスクはある
国債は国が発行する債券であり、一般的には信用力の高い金融商品として扱われます。
しかし、まったくリスクがないわけではありません。
- 発行国の信用リスク
- 市場金利の変化による価格変動
- 途中売却による損失
- インフレによる実質価値の低下
- 固定金利による機会損失
特に市場で売買できる国債では、満期まで保有する場合と途中で売却する場合でリスクの性質が異なります。
株式の主なリスク
株式は企業の成長による値上がり益や配当を期待できる一方、さまざまな要因で価格が大きく変動します。
- 企業業績の悪化
- 景気悪化
- 金利変動
- 減配・無配
- 企業の不祥事
- 倒産
- 市場全体の下落
株価は企業自身の業績だけでなく、経済全体や市場心理によっても変動します。
投資信託・ETFの主なリスク
投資信託やETFのリスクは、その商品が何に投資しているかによって異なります。
株式中心の商品であれば株価変動の影響を受け、債券中心の商品であれば金利変動の影響を受けます。
外国資産を含む場合は、さらに為替変動リスクも加わります。
「投資信託だから安全」「ETFだから安全」というわけではなく、投資対象を確認する必要があります。
FXの主なリスク
FXでは、主に為替変動とレバレッジによるリスクを考える必要があります。
- 為替変動リスク
- レバレッジリスク
- ロスカット
- スワップポイントの変化
- 金利政策の変更
- 急激な相場変動
- スプレッド拡大
FXでは、スワップポイントを受け取る目的で長期保有する場合でも、通貨価格そのものが下落すれば大きな評価損が発生する可能性があります。
CFDの主なリスク
CFDもFXと同様に証拠金を利用するため、レバレッジによる損失拡大に注意する必要があります。
また、株価指数、原油、金、個別株など、取引対象によって値動きの特徴が異なります。
- 価格変動リスク
- レバレッジリスク
- ロスカット
- 金利調整額などの保有コスト
- 外国市場の場合の為替変動
金融商品ごとにリスクの種類は異なる
代表的な金融商品と主なリスクを整理すると、次のようになります。
| 金融商品 | 主なリスク |
|---|---|
| 普通預金・定期預金 | インフレ、金融機関の信用など |
| 国債 | 信用、金利、価格、インフレなど |
| 社債 | 企業の信用、金利、価格など |
| 株式 | 価格変動、企業業績、信用、流動性など |
| 投資信託 | 投資対象によって異なる |
| ETF | 投資対象によって異なる |
| REIT | 不動産価格、金利、災害、流動性など |
| FX | 為替、レバレッジ、金利、ロスカットなど |
| CFD | 価格変動、レバレッジ、ロスカットなど |
同じ商品でもリスクの大きさは変わる
同じ種類の金融商品だからといって、すべて同じリスクになるわけではありません。
株式であれば企業によって財務状態や値動きが異なります。
国債でも、発行国、満期までの期間、固定金利か変動金利かなどによって性質が異なります。
FXでも、通貨ペア、レバレッジ、保有量、証拠金の大きさによってリスクは大きく変わります。
そのため、金融商品の名称だけではなく、実際の取引条件まで確認する必要があります。
リスクを完全になくすことは難しい
資産運用では、すべてのリスクを完全になくすことは困難です。
現金や預金だけを保有すれば市場価格の変動は避けやすくなりますが、インフレによる実質価値低下のリスクがあります。
株式へ投資すればインフレ以上の成長を期待できる場合がありますが、価格変動リスクが大きくなります。
国債は比較的安定した運用を検討しやすい一方、金利やインフレの影響を受けます。
重要なのはリスクをゼロにすることではなく、どのリスクをどの程度受け入れるかを理解することです。
分散によってリスクを抑える
リスクを管理する方法の一つに「分散」があります。
すべての資金を一つの商品に集中させるのではなく、異なる性質を持つ複数の資産へ分ける方法です。
例:
すべての資金を一つの株式だけに投資すると、その企業の株価が大幅に下落した場合、資産全体が大きな影響を受けます。
一方、預金、国債、複数の株式などに分けていれば、一つの資産の値下がりが全体へ与える影響を小さくできる可能性があります。
ただし、分散すれば必ず損失を防げるわけではありません。
市場全体が大きく下落した場合などには、複数の資産が同時に値下がりすることもあります。
投資する時期を分散する
投資対象だけでなく、購入する時期を分ける方法もあります。
一度にすべての資金を投資するのではなく、毎月など複数回に分けて購入することで、特定の時点の価格に資金を集中させることを避けられます。
ただし、価格が一方向に上昇し続けた場合には、一括投資の方が大きな利益になる場合もあります。
生活資金と投資資金を分ける
投資のリスクを管理するうえでは、生活に必要なお金と投資に使用するお金を分けることも重要です。
近いうちに必要になる資金まで価格変動のある商品へ投資すると、価格が下落しているときでも現金化しなければならない場合があります。
そのため、日常生活費、近い将来必要になる資金、緊急時に備える資金などを確保したうえで、当面使用する予定のない資金について投資を検討するという考え方があります。
「どのくらい儲かるか」だけでなく「どのくらい損をする可能性があるか」を考える
金融商品を比較するとき、高い利回りや大きな利益に目が向きやすくなります。
しかし、高い収益を期待できる商品ほど、大きな損失が発生する可能性も考える必要があります。
そのため、投資前には次のような点を確認しておくことが重要です。
- 最大でどの程度価格が下落する可能性があるのか
- 元本割れする可能性があるのか
- 途中で売却できるのか
- 満期まで保有すればどうなるのか
- 為替の影響を受けるのか
- レバレッジを使用しているのか
- ロスカットがあるのか
- 利子や配当が減少する可能性があるのか
- 発行企業や国が支払い不能になる可能性があるのか
「利益が発生する仕組み」と同じくらい、「損失が発生する仕組み」を理解することが重要です。
自分が許容できるリスクを考える
同じ金融商品でも、適しているかどうかは人によって異なります。
10万円の評価損が発生しても長期間保有できる人と、1万円の損失でも生活に影響が出る人では、取ることができるリスクが異なります。
また、投資期間によっても許容できるリスクは変わります。
数か月後に必要になる資金と、10年以上使用する予定のない資金では、選択できる金融商品も異なります。
資産運用では、自分がどの程度の価格変動や損失を許容できるのかを考えたうえで、投資方法を選ぶ必要があります。
まとめ
投資におけるリスクとは、単純に「損をする可能性」だけではなく、将来の価格や収益がどの程度変動するか分からないという不確実性を含む考え方です。
金融商品には、それぞれ異なるリスクがあります。
| リスク | 主な内容 |
|---|---|
| 価格変動リスク | 市場価格が上下する |
| 信用リスク | 国や企業が支払い不能になる |
| 金利変動リスク | 市場金利によって債券価格などが変動する |
| 為替変動リスク | 為替レートによって円換算価値が変動する |
| 流動性リスク | 希望する価格で売却できない場合がある |
| レバレッジリスク | 少ない資金に対して損益が大きくなる |
| インフレリスク | 物価上昇によって実質的なお金の価値が下がる |
| 再投資リスク | 満期後などに同じ条件で運用できない |
預金、国債、株式、投資信託、FX、CFDなど、どの金融商品にも何らかのリスクがあります。
大切なのは、リスクを完全になくすことではなく、どのような場合に損失が発生するのか、その損失を自分が許容できるのかを理解することです。
金融商品を選ぶときは、「どのくらい利益が出る可能性があるか」だけでなく、「どのような原因で、どの程度損をする可能性があるか」を一緒に確認する必要があります。
