informationpark

指定管理者制度の概要

指定管理者制度とは、地方公共団体が設置する「公の施設」の管理運営を、株式会社、NPO法人、社会福祉法人、地域団体などの法人その他の団体に行わせる制度です。

2003年の地方自治法改正によって創設され、従来の管理委託制度では対象が地方公共団体の出資法人や公共的団体などに限られていたのに対し、民間事業者を含む幅広い団体が公の施設を管理できるようになりました。

重要:指定管理者制度は、単なる清掃・受付・設備管理の業務委託ではありません。条例と議会の議決に基づき、公の施設の利用許可などを含む管理権限を指定管理者へ委ねる制度です。
  1. 指定管理者制度の目的
  2. 「公の施設」とは
    1. 指定管理者制度の対象となる施設の例
    2. 一般に公の施設に当たらないもの
  3. 制度の法的根拠
  4. 指定管理者になれる者
  5. 指定管理者制度と業務委託の違い
  6. 指定管理者と地方独立行政法人・PFIの違い
  7. 指定管理者制度を導入する流れ
  8. 条例で定める主な事項
  9. 公募と非公募
    1. 公募が適する例
    2. 非公募が検討される例
  10. 募集要項に記載する主な内容
  11. 指定管理者の選定基準
  12. 指定期間
    1. 指定期間を決める際の視点
  13. 議会の議決
  14. 基本協定と年度協定
    1. 基本協定の主な内容
    2. 年度協定の主な内容
  15. 指定管理料
  16. 利用料金制度
    1. 利用料金制度の特徴
    2. 使用料方式との違い
  17. 利用許可と行政処分
  18. 住民の平等利用
  19. 指定管理者の主な業務
  20. 自主事業
    1. 自主事業で定める事項
  21. 修繕と施設更新
  22. 再委託
  23. 事業報告書
    1. 事業報告書の主な内容
  24. モニタリングと評価
    1. モニタリングの方法
    2. 評価項目の例
  25. 地方公共団体の監督権限
  26. 指定取消し・業務停止となる例
  27. 事故・災害への対応
  28. 責任分担と損害賠償
  29. 個人情報保護
  30. 情報公開
  31. 労務管理
  32. 消費税・インボイスへの対応
  33. 施設の設置者として自治体に残る責任
  34. 指定期間終了時の引継ぎ
  35. 指定管理者制度のメリット
    1. 地方公共団体側
    2. 利用者側
  36. 指定管理者制度のデメリット・課題
  37. 制度運用を改善するポイント
  38. 関連する主な法令
    1. 地方自治法
    2. 地方自治法施行令
    3. 地方財政法
    4. 行政手続法・行政手続条例
    5. 行政不服審査法
    6. 個人情報の保護に関する法律
    7. 労働基準法
    8. 労働安全衛生法
    9. 最低賃金法
    10. 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律
    11. 国家賠償法
    12. 民法
    13. 消防法
    14. 建築基準法
    15. 都市公園法
  39. 法令・公的資料の確認先
  40. 自治体担当者向けチェックリスト
  41. 指定管理者向けチェックリスト
  42. まとめ

指定管理者制度の目的

  • 民間事業者等の知識・経験・経営手法を活用する
  • 住民サービスを向上させる
  • 施設の利用促進を図る
  • 管理運営を効率化する
  • 地域団体・NPO等の能力を公共サービスへ生かす
  • 利用者ニーズに柔軟に対応する
  • 施設の魅力や収益性を高める

経費削減だけが制度の目的ではありません。施設の設置目的を達成しながら、サービスの質、利用者満足度、安全性、継続性を高めることが重要です。

「公の施設」とは

公の施設とは、地方公共団体が住民の福祉を増進する目的で、住民の利用に供するために設置する施設です。

指定管理者制度の対象となる施設の例

  • 都市公園
  • 体育館・運動場・プール
  • 文化会館・市民ホール
  • 図書館
  • 博物館・美術館
  • 公民館・コミュニティセンター
  • 福祉施設
  • 児童館
  • 保養施設・観光施設
  • 駐車場・駐輪場
  • 市営住宅

一般に公の施設に当たらないもの

  • 地方公共団体の庁舎
  • 職員だけが利用する事務所
  • 試験研究施設など住民利用を目的としない施設
  • 地方公共団体の内部事務を行う施設
公の施設に該当するかどうかは、施設の名称ではなく、「住民の福祉を増進する目的で住民の利用に供されているか」によって判断します。

制度の法的根拠

指定管理者制度の中心となる規定は、地方自治法第244条の2です。

地方公共団体は、条例の定めるところにより、公の施設の管理を法人その他の団体で地方公共団体が指定するものに行わせることができます。

指定管理者を指定する場合には、指定の期間などについて議会の議決が必要です。また、指定管理者は毎年度終了後に事業報告書を提出しなければなりません。

指定管理者になれる者

指定管理者になれるのは「法人その他の団体」です。

  • 株式会社
  • 一般社団法人・一般財団法人
  • 公益社団法人・公益財団法人
  • NPO法人
  • 社会福祉法人
  • 医療法人
  • 学校法人
  • 協同組合
  • 自治会・地域団体
  • 複数の事業者で構成する共同事業体
注意:個人を指定管理者として指定することはできません。法人格を持たない団体であっても、規約、代表者、組織、財産管理などが明確な団体であれば候補となる場合があります。

指定管理者制度と業務委託の違い

項目 指定管理者制度 業務委託
法的根拠 地方自治法第244条の2 民法、地方自治法上の契約制度等
対象 公の施設の管理 清掃、警備、受付、点検など個別業務
選定方法 公募・選定審査等 入札・随意契約等
議会議決 指定に必要 通常は個々の委託契約には不要
利用許可 条例の範囲で行わせることが可能 原則として行政が行う
料金収受 利用料金制度を採用可能 自治体収入の収納事務等として扱う
法的関係 行政処分としての指定と協定 契約関係

施設の清掃だけを民間業者へ依頼する場合は業務委託です。施設全体の管理運営、利用承認、事業実施などを包括的に行わせる場合は指定管理者制度が検討されます。

指定管理者と地方独立行政法人・PFIの違い

制度 主な特徴
指定管理者制度 既存の公の施設を含め、管理運営を団体に行わせる
地方独立行政法人 地方公共団体とは別の法人を設立し、業務を担わせる
PFI 民間資金や経営能力を活用し、施設整備と運営を長期的に実施する
包括的業務委託 複数の維持管理業務を一括契約するが、管理権限は自治体に残る

指定管理者制度を導入する流れ

  1. 対象施設に制度を導入するか検討する
  2. 施設の設置目的・課題を整理する
  3. 条例を制定または改正する
  4. 業務範囲・指定期間・管理基準を決める
  5. 募集要項・仕様書・選定基準を作成する
  6. 候補者を公募する
  7. 申請書・事業計画書を審査する
  8. 指定管理者候補者を選定する
  9. 議会の議決を得る
  10. 指定処分を行う
  11. 基本協定・年度協定を締結する
  12. 管理運営を開始する
  13. モニタリング・評価を行う

条例で定める主な事項

指定管理者制度を導入する公の施設については、条例に必要事項を定めます。

  • 指定管理者に管理を行わせること
  • 指定の手続き
  • 指定管理者が行う管理の基準
  • 指定管理者が行う業務の範囲
  • 利用時間・休館日
  • 利用許可・利用制限
  • 使用料または利用料金
  • 指定取消し等に関する事項

公募と非公募

指定管理者は公募によって選定することが一般的ですが、地方自治法が必ず公募を義務付けているわけではありません。

公募が適する例

  • 複数の団体から提案を受けることでサービス向上が期待できる
  • 民間事業者の経営能力・企画力を活用できる
  • 公平性・透明性を確保する必要が高い
  • 競争によって管理経費の適正化が期待できる

非公募が検討される例

  • 地域団体との継続的な協働が施設の目的に不可欠
  • 高度な専門性・特殊性があり、候補者が限定される
  • 緊急に指定する必要がある
  • 施設の性質上、特定団体による管理が合理的
注意:非公募とする場合は、条例、指針、選定理由等に基づき、合理的な理由を明確にしておく必要があります。

募集要項に記載する主な内容

  • 施設の名称・所在地・設置目的
  • 施設の規模・設備
  • 指定期間
  • 指定管理者が行う業務
  • 管理基準・要求水準
  • 開館日・開館時間
  • 利用者数・収支等の過去実績
  • 指定管理料の上限額
  • 利用料金制度の有無
  • 自主事業の取扱い
  • 応募資格
  • 申請書類
  • 選定方法・選定基準
  • リスク分担
  • 引継ぎ条件

指定管理者の選定基準

  • 施設の設置目的を理解しているか
  • 住民の平等利用を確保できるか
  • 事業計画が実現可能か
  • サービス向上が期待できるか
  • 適切な人員配置が可能か
  • 安全管理・危機管理体制があるか
  • 収支計画が適正か
  • 団体の経営が安定しているか
  • 個人情報保護・情報公開に対応できるか
  • 労働法令を遵守できるか
  • 地域との連携が期待できるか
  • 環境負荷の軽減に取り組めるか
価格だけで指定管理者を選ぶと、必要な人員、安全管理、修繕、利用者対応などが不足するおそれがあります。サービス品質と持続可能性を含めて総合評価します。

指定期間

地方自治法は、指定管理者の指定に期間を設けることを求めていますが、全国一律の年数は定めていません。

自治体や施設によって異なりますが、3年から5年程度とする例が多く、長期的な事業や大規模施設では、それより長い期間を設定する場合もあります。

指定期間を決める際の視点

  • 安定した人材確保が可能か
  • 設備投資を回収できる期間か
  • 競争性を確保できるか
  • 施設の更新計画と整合するか
  • 事業評価を反映する機会を確保できるか
  • 利用者・地域との関係を継続できるか

議会の議決

指定管理者を指定するときは、次の事項について議会の議決を経る必要があります。

  • 指定管理者となる団体
  • 管理を行わせる公の施設
  • 指定の期間

議会の議決後、地方公共団体が指定処分を行い、指定管理者として正式に管理を開始します。

基本協定と年度協定

指定管理者の指定は行政処分ですが、実際の管理運営条件は協定書で具体化することが一般的です。

基本協定の主な内容

  • 指定期間全体の基本事項
  • 管理業務の範囲
  • 管理基準・要求水準
  • 責任分担・リスク分担
  • 個人情報保護
  • 情報公開
  • 事故・災害時の対応
  • 修繕・備品の取扱い
  • 事業報告・モニタリング
  • 指定取消し・業務停止
  • 引継ぎ・原状回復

年度協定の主な内容

  • 年度ごとの指定管理料
  • 年度事業計画
  • 年間目標
  • 修繕計画
  • 収支計画
  • 年度ごとの特記事項

指定管理料

指定管理料とは、施設の管理運営に必要な経費として、地方公共団体が指定管理者へ支払う費用です。

施設によっては、指定管理料、利用料金、自主事業収入などを組み合わせて運営します。

  • 人件費
  • 光熱水費
  • 清掃・警備・点検費
  • 消耗品費
  • 小規模修繕費
  • 広報・事業実施費
  • 保険料
  • 一般管理費
注意:光熱費や物価、人件費が大きく変動した場合に備え、協議方法や指定管理料の見直し条件をリスク分担表に定めておくことが重要です。

利用料金制度

地方公共団体は、条例で定めることにより、公の施設の利用料金を指定管理者自身の収入として収受させることができます。これを利用料金制度といいます。

利用料金制度の特徴

  • 利用料金が指定管理者の収入となる
  • 利用者増加やサービス改善の動機となる
  • 施設の特性に応じた経営努力を促しやすい
  • 料金額は条例の範囲内で設定する
  • 原則として地方公共団体の承認が必要

使用料方式との違い

項目 利用料金制度 使用料方式
料金の帰属 指定管理者の収入 地方公共団体の収入
徴収者 指定管理者 自治体または収納事務を行う者
経営上の効果 利用促進が収入増につながる 指定管理者の収入へ直接反映しにくい

利用許可と行政処分

条例で定めた範囲内で、指定管理者に施設の利用許可を行わせることができます。

  • 施設利用の承認・不承認
  • 利用条件の付与
  • 利用承認の取消し
  • 利用制限

ただし、法令上地方公共団体の長だけが行うこととされている権限や、使用料の強制徴収、不服申立てへの裁決などを指定管理者へ行わせることはできません。

重要:指定管理者が利用許可を行う場合でも、判断基準は条例、規則、審査基準等に基づき、公平・公正に運用する必要があります。

住民の平等利用

地方自治法第244条は、公の施設について正当な理由なく住民の利用を拒んだり、不当な差別的取扱いをしたりすることを禁止しています。

  • 利用者によって恣意的に条件を変えない
  • 政治・宗教・思想等だけを理由に不当に排除しない
  • 障害者や高齢者への合理的配慮を検討する
  • 利用許可基準を明確にする
  • 利用拒否や取消しの理由を記録する

指定管理者の主な業務

  • 利用受付・利用許可
  • 施設・設備の維持管理
  • 清掃、警備、保守点検
  • 利用料金の収受
  • 利用者案内・苦情対応
  • 自主事業・イベントの実施
  • 広報・利用促進
  • 備品・消耗品の管理
  • 安全管理・事故対応
  • 事業計画・事業報告
  • 利用統計・収支管理

自主事業

自主事業とは、指定管理者が自ら企画し、施設の設置目的に沿って実施する講座、イベント、物販、飲食、教室などの事業です。

自主事業で定める事項

  • 事前承認が必要か
  • 施設の設置目的に合っているか
  • 本来業務へ支障を与えないか
  • 収入・経費の帰属
  • 施設使用料・光熱費の負担
  • 事故・損害の責任
  • 終了時の原状回復

修繕と施設更新

指定管理者が負担する修繕と、地方公共団体が行う大規模修繕・更新を明確に区分します。

区分例 指定管理者 地方公共団体
日常的な軽微修繕 実施 必要に応じ承認
消耗部品の交換 実施 基準を設定
大規模改修 報告・協力 原則として実施
災害復旧 応急対応 本格復旧

金額だけで区分せず、原因、緊急性、資産価値への影響、予見可能性などを踏まえたリスク分担が必要です。

再委託

指定管理者が清掃、警備、設備保守等の一部業務を専門業者へ再委託することはありますが、管理業務全体を一括して第三者へ丸投げすることは適切ではありません。

  • 再委託可能な業務を明確にする
  • 事前承認の要否を定める
  • 再委託先の資格・実績を確認する
  • 個人情報や秘密情報の管理を徹底する
  • 指定管理者が最終責任を負うことを明記する

事業報告書

指定管理者は、毎年度終了後、管理業務に関する事業報告書を地方公共団体へ提出します。

事業報告書の主な内容

  • 管理業務の実施状況
  • 施設の利用状況
  • 利用料金収入
  • 管理経費・収支状況
  • 自主事業の実績
  • 修繕・保守点検の実績
  • 事故・苦情・要望
  • 利用者満足度
  • 次年度への課題

モニタリングと評価

指定した後も、地方公共団体は施設の設置者として管理状況を継続的に確認する必要があります。

モニタリングの方法

  • 月報・四半期報告の確認
  • 現地確認
  • 利用者アンケート
  • 財務書類・収支の確認
  • 事故・苦情記録の確認
  • 修繕・点検記録の確認
  • 指定管理者へのヒアリング
  • 第三者評価

評価項目の例

  • 施設の設置目的の達成度
  • 利用者数・稼働率
  • 利用者満足度
  • 安全管理
  • 施設・設備の維持状態
  • 事業計画の実施状況
  • 収支の健全性
  • 地域連携
  • 法令遵守
  • 職員配置・研修
評価は指定期間満了時だけでなく、毎年度実施し、改善指示、次年度計画、次回選定へ反映させます。

地方公共団体の監督権限

地方公共団体は、指定管理者に対して管理業務や経理状況に関する報告を求め、実地調査を行い、必要な指示をすることができます。

  • 報告徴収
  • 現地調査
  • 帳簿・記録の確認
  • 改善指示
  • 業務停止命令
  • 指定の取消し

指定管理者が指示に従わない場合や、管理継続が不適当となった場合には、指定を取り消したり、期間を定めて管理業務の全部または一部を停止させたりすることができます。

指定取消し・業務停止となる例

  • 法令・条例・協定に重大な違反がある
  • 改善指示に従わない
  • 安全管理上の重大な問題を放置した
  • 虚偽報告・不正経理がある
  • 経営破綻により業務継続が困難
  • 個人情報の重大な漏えいがある
  • 応募資格を失った
  • 施設の設置目的に反する運営を行った

事故・災害への対応

  • 緊急連絡体制を整備する
  • 事故発生時は救護・通報を優先する
  • 危険箇所を使用中止とする
  • 地方公共団体へ速やかに報告する
  • 事故現場・証拠を保存する
  • 利用者・報道への対応方針を定める
  • 原因調査と再発防止を行う
  • 災害時の避難所運営等の役割を確認する

責任分担と損害賠償

施設事故が発生した場合、指定管理者だけでなく、施設を設置した地方公共団体の責任が問題となることがあります。

協定では次の事項を明確にします。

  • 施設の瑕疵に関する責任
  • 管理上の過失に関する責任
  • 利用者・第三者への損害
  • 施設・備品の損傷
  • 自然災害・不可抗力
  • 保険加入
  • 事故報告・訴訟対応
注意:協定で責任を指定管理者へ負わせても、地方公共団体が住民や被害者に対する法的責任を当然に免れるわけではありません。

個人情報保護

指定管理者は、施設利用申請、会員登録、講座申込み、相談記録、防犯カメラ映像など、多くの個人情報を取り扱うことがあります。

  • 利用目的を明確にする
  • 必要以上の情報を収集しない
  • アクセス権限を限定する
  • 書類・データを安全に保管する
  • 再委託先を監督する
  • 漏えい時の報告体制を整える
  • 指定終了時に返還・消去する

地方公共団体の個人情報保護条例や規程だけでなく、個人情報保護法に基づく取扱いを確認します。

情報公開

指定管理者が公の施設の管理に関して作成・取得した文書について、自治体の情報公開条例や協定に基づき、公開対象となることがあります。

  • 事業計画書
  • 事業報告書
  • 評価結果
  • 事故報告書
  • 利用統計
  • 収支情報

営業秘密、個人情報、法人の競争上の利益などとの調整が必要です。

労務管理

指定管理者は、施設職員について労働関係法令を遵守し、安定した雇用と適切な労働環境を確保する必要があります。

  • 労働条件の明示
  • 最低賃金の遵守
  • 労働時間・休憩・休日の管理
  • 時間外労働の手続き
  • 安全衛生管理
  • ハラスメント防止
  • 社会保険への適切な加入
  • 研修・資格者配置

指定期間が短すぎる場合や指定管理料が過度に低い場合、雇用の不安定化やサービス品質の低下につながることがあります。

消費税・インボイスへの対応

指定管理料、利用料金、自主事業収入などは、取引内容によって消費税上の取扱いが異なります。

指定管理料が課税取引に該当するか、利用料金の収受主体、適格請求書の交付主体などについて、契約・協定と実際の取引内容を確認します。

施設の設置者として自治体に残る責任

  • 施設の設置目的を定める
  • 条例・管理基準を整備する
  • 指定管理者を適切に選定する
  • 必要な財源を確保する
  • 大規模修繕・施設更新を行う
  • モニタリング・評価を行う
  • 重大事故や災害へ対応する
  • 管理継続が困難な場合に直営等へ切り替える
指定管理者へ管理を任せても、地方公共団体が施設の設置者としての責任を手放すわけではありません。

指定期間終了時の引継ぎ

  • 利用予約・利用許可情報
  • 利用者・団体登録情報
  • 鍵・備品・資産台帳
  • 施設点検・修繕履歴
  • 事故・苦情記録
  • 契約・再委託の終了処理
  • 個人情報の返還・消去
  • 職員・利用者への周知
  • 次期指定管理者への業務説明

指定管理者が交代しても、施設利用者へのサービスが中断しないよう、引継期間、資料形式、責任者を協定で定めます。

指定管理者制度のメリット

地方公共団体側

  • 民間の経営手法・専門性を活用できる
  • 施設の利用促進が期待できる
  • 柔軟な人員配置・事業展開が可能
  • 管理コストの適正化を図れる
  • 地域団体との協働を進められる

利用者側

  • 開館時間・サービスの改善が期待できる
  • 新しい講座・イベントが増える
  • 民間の接客・企画力を利用できる
  • 施設の利便性・魅力が向上する可能性がある

指定管理者制度のデメリット・課題

  • 価格競争によるサービス低下
  • 職員の雇用不安定化
  • 指定期間ごとの運営者交代
  • ノウハウ・記録の引継ぎ不足
  • 自治体側の施設管理能力低下
  • 指定管理者の経営破綻リスク
  • 収益性の低い公共サービスの縮小
  • 責任分担の不明確化
  • 過度な自主事業による公共性の低下
  • 形式的なモニタリング

制度運用を改善するポイント

  • 施設の設置目的と成果目標を明確にする
  • 指定管理料の積算根拠を明らかにする
  • 価格だけで選定しない
  • サービス水準を測定可能な形で示す
  • 物価・人件費変動への対応を定める
  • 事故・修繕・災害の責任分担を明確にする
  • 毎年度の評価結果を公表する
  • 利用者の意見を改善へ反映する
  • 自治体職員も施設管理の知識を維持する
  • 指定終了時の引継ぎを早期に開始する

関連する主な法令

地方自治法

指定管理者制度の中心となる法律です。第244条で公の施設と住民の平等利用を定め、第244条の2で条例、指定手続き、議会議決、事業報告、監督、利用料金制度などを定めています。

地方自治法施行令

地方公共団体の契約、財務、行政運営等に関する具体的事項を定めています。指定管理者の選定に伴う予算、債務負担行為、財産管理等に関係する場合があります。

地方財政法

地方公共団体の健全な財政運営に関する基本原則を定めています。指定管理料の予算計上、施設管理経費、長期的な財政負担を検討する際に関係します。

行政手続法・行政手続条例

指定管理者が利用許可等の行政処分を行う場合、審査基準、標準処理期間、不利益処分の手続き等が問題となります。地方公共団体の行政手続条例も確認します。

行政不服審査法

指定管理者が行った利用不許可等の処分に不服がある場合の審査請求に関係します。審査請求の相手方や手続きを事前に整理します。

個人情報の保護に関する法律

利用者情報、申請情報、防犯カメラ映像、相談記録などの個人情報の取扱いに関係します。

労働基準法

指定管理施設で働く職員の労働時間、休日、賃金、時間外労働等に関係します。

労働安全衛生法

職員の安全衛生、設備管理、危険作業、健康管理等に関係します。

最低賃金法

指定管理者や再委託先が雇用する職員の賃金に関係します。指定管理料の積算時にも考慮が必要です。

障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律

公の施設の利用における不当な差別的取扱いの禁止や、合理的配慮の提供に関係します。

国家賠償法

公の施設の設置または管理に瑕疵があり、利用者へ損害が生じた場合に、地方公共団体の責任が問題となることがあります。

民法

協定、損害賠償、修繕、再委託、物品購入、利用契約などに関係します。

消防法

施設の防火管理、消防用設備、避難訓練、収容人員等に関係します。

建築基準法

施設の構造、防火、避難、用途変更、維持保全等に関係します。

都市公園法

都市公園に指定管理者制度を導入する場合、公園施設の設置管理許可、占用許可、行為許可、Park-PFI等との役割分担に関係します。

法令・公的資料の確認先

自治体担当者向けチェックリスト

  • 施設が公の施設に該当するか確認したか
  • 制度導入が施設の設置目的に適しているか
  • 条例に必要事項を定めたか
  • 業務範囲と自治体に残す権限を区分したか
  • 公募・非公募の理由を整理したか
  • 選定基準が価格偏重になっていないか
  • 指定管理料の積算根拠が適正か
  • 利用料金制度の取扱いを明確にしたか
  • 修繕・災害・物価変動のリスク分担を定めたか
  • 個人情報・情報公開の取扱いを定めたか
  • モニタリングと評価方法を定めたか
  • 指定取消し時の業務継続策を準備したか
  • 指定期間終了時の引継ぎを定めたか

指定管理者向けチェックリスト

  • 施設の設置目的と条例を理解しているか
  • 事業計画を実施できる人員・財務基盤があるか
  • 利用許可基準を公平に運用できるか
  • 安全管理・事故対応体制があるか
  • 法定点検・修繕の期限を管理できるか
  • 個人情報を適切に管理できるか
  • 利用料金・指定管理料を区分経理できるか
  • 再委託先を適切に監督できるか
  • 事業報告・モニタリングへ対応できるか
  • 災害・経営悪化時にも業務を継続できるか

まとめ

指定管理者制度は、地方公共団体が設置する公の施設の管理運営を、条例と議会議決に基づいて法人その他の団体へ行わせる制度です。

民間の能力を活用し、住民サービスの向上と効率的な管理運営を図れる一方、指定期間、指定管理料、利用料金、修繕、事故、個人情報、雇用、引継ぎなどを明確にしなければ、サービス低下や責任の不明確化につながります。

制度を適切に運用するには、指定管理者を選定して終わりにするのではなく、毎年度の事業報告、現地確認、利用者意見、収支、安全管理等を継続的に評価し、改善へつなげることが重要です。