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ボイル・シャルルの法則の考察例|圧力・体積・絶対温度・誤差原因

ボイル・シャルルの法則の実験は、一定量の気体について、圧力、体積、温度の関係を調べる実験です。

温度を一定に保った場合、気体の体積は圧力に反比例します。これをボイルの法則といいます。また、圧力を一定に保った場合、気体の体積は絶対温度に比例します。これをシャルルの法則といいます。

これらを組み合わせると、一定量の気体について、圧力と体積の積を絶対温度で割った値は一定になるというボイル・シャルルの法則が得られます。

この記事では、注射器やシリンダー内に閉じ込めた空気を用いて圧力と体積の関係を測定する実験、および一定圧力下で温度と体積の関係を測定する実験を想定し、導入、注意書き、結果項目、参考実験値、計算、誤差原因、結果文、考察例の順にまとめます。

注意:

この記事は、学校や大学などの物理・化学実験で得られた結果を考察するための学習用参考資料です。掲載している条件と測定値は説明用の例であり、実際の測定結果ではありません。

密閉容器を加熱したり、過度に圧縮したりすると、容器や接続部が破損する危険があります。使用する器具の耐圧・耐熱範囲を超えないようにしてください。熱湯や加熱槽を使用する場合はやけどに注意し、ガラス器具、圧力センサ、チューブの抜けや破損にも注意してください。実際の操作は所属学校の実験書、担当教員、TAの指示に従ってください。

ボイルの法則

一定量の気体を一定温度に保った場合、圧力 P と体積 V の積は一定になります。

PV = 一定

状態1と状態2を比較すると、次の式で表されます。

P1V1 = P2V2

したがって、温度が一定なら、圧力が大きくなるほど体積は小さくなります。

シャルルの法則

一定量の気体を一定圧力に保った場合、体積 V は絶対温度 T に比例します。

V/T = 一定

状態1と状態2を比較すると、次の式で表されます。

V1/T1 = V2/T2

温度には摂氏温度ではなく、絶対温度を用います。

T(K) = t(℃) + 273.15

ボイル・シャルルの法則

一定量の気体について、圧力、体積、絶対温度の関係は次の式で表されます。

PV/T = 一定

状態1と状態2を比較すると、次のようになります。

P1V1/T1 = P2V2/T2

この関係は、気体の物質量が一定で、気体が理想気体に近い挙動を示す範囲でよく成り立ちます。

絶対圧力とゲージ圧力

気体の法則へ代入する圧力は、真空を0とする絶対圧力です。

絶対圧力 = 大気圧 + ゲージ圧力

例えば、大気圧が101.3 kPaで、圧力計が50.0 kPaを示している場合、絶対圧力は151.3 kPaです。

負のゲージ圧力を示す場合は、大気圧より低い圧力であることを意味します。

結果に記録する主な項目

  • 使用した気体
  • 気体を閉じ込めた容器または注射器の種類
  • 大気圧
  • ゲージ圧力
  • 絶対圧力
  • 気体の体積
  • 摂氏温度
  • 絶対温度
  • 圧力と体積の積PV
  • 体積と絶対温度の比V/T
  • PV/Tの値
  • 1/Vと圧力のグラフ
  • 絶対温度と体積のグラフ
  • 測定器の分解能
  • 各条件で平衡に達するまでの時間
  • 繰り返し測定の平均値
  • 室温

参考実験条件

項目 参考条件
使用気体 空気
大気圧 101.3 kPa
ボイルの法則の測定温度 25.0 ℃
シャルルの法則の測定圧力 101.3 kPa
初期体積 50.0 mL
圧力測定範囲 約80~200 kPa
温度測定範囲 約10~80 ℃
圧力センサ分解能 0.1 kPa
体積目盛分解能 0.5 mL

参考実験値

ボイルの法則の参考値

温度25.0 ℃で一定量の空気を圧縮した場合の説明用データです。

絶対圧力P(kPa) 体積V(mL) PV(kPa·mL) 1/V(mL−1
80.0 63.2 5056 0.0158
100.0 50.4 5040 0.0198
120.0 42.1 5052 0.0238
150.0 33.6 5040 0.0298
180.0 28.1 5058 0.0356
200.0 25.2 5040 0.0397

シャルルの法則の参考値

圧力101.3 kPaで一定量の空気を加熱した場合の説明用データです。

温度t(℃) 絶対温度T(K) 体積V(mL) V/T(mL/K)
10.0 283.15 47.5 0.1678
20.0 293.15 49.2 0.1678
30.0 303.15 50.9 0.1679
40.0 313.15 52.5 0.1677
60.0 333.15 55.9 0.1678
80.0 353.15 59.3 0.1679

ボイル・シャルルの法則の参考値

状態 絶対圧力P(kPa) 体積V(mL) 温度T(K) PV/T(kPa·mL/K)
1 101.3 50.0 293.15 17.28
2 120.0 45.1 313.15 17.28
3 150.0 38.4 333.15 17.29
4 180.0 33.9 353.15 17.28

計算方法

ゲージ圧力から絶対圧力への換算

大気圧101.3 kPa、ゲージ圧力48.7 kPaの場合は、次のようになります。

P = 101.3 + 48.7

= 150.0 kPa

摂氏温度から絶対温度への換算

温度40.0 ℃の場合は、次のようになります。

T = 40.0 + 273.15

= 313.15 K

ボイルの法則による体積の計算

初期圧力100.0 kPa、初期体積50.4 mLの気体を、温度一定のまま150.0 kPaまで圧縮する場合は、次のようになります。

P1V1 = P2V2

V2 = P1V1/P2

= 100.0 × 50.4/150.0

= 33.6 mL

シャルルの法則による体積の計算

20.0 ℃、49.2 mLの気体を、圧力一定のまま60.0 ℃まで加熱する場合は、次のようになります。

V1/T1 = V2/T2

V2 = V1T2/T1

= 49.2 × 333.15/293.15

= 55.9 mL

ボイル・シャルルの法則による計算

状態1が101.3 kPa、50.0 mL、293.15 Kで、状態2が150.0 kPa、333.15 Kの場合の体積を求めます。

P1V1/T1 = P2V2/T2

V2 = P1V1T2/(P2T1)

= 101.3 × 50.0 × 333.15/(150.0 × 293.15)

= 38.4 mL

PV/Tの計算

圧力150.0 kPa、体積38.4 mL、温度333.15 Kの場合は、次のようになります。

PV/T = 150.0 × 38.4/333.15

= 17.29 kPa·mL/K

PVの平均値と相対偏差

ボイルの法則の測定値から得られたPVの平均値を5048 kPa·mLとし、ある測定値が5058 kPa·mLであった場合は、次のようになります。

相対偏差(%) = |測定値 − 平均値|/平均値 × 100

= |5058 − 5048|/5048 × 100

= 0.20%

主な誤差原因

誤差原因 測定への影響 結果に現れやすい傾向 改善方法
圧縮・膨張時の温度変化 ボイルの法則の温度一定条件が崩れる 急速圧縮では圧力を高く読みやすい ゆっくり操作し、温度が戻ってから読む
気体の漏れ 気体の物質量が変化する PVやPV/Tが一定にならない 接続部とピストンの気密性を確認する
ピストンの摩擦 内圧と外圧が直ちに一致しない 圧縮時と膨張時で値が異なる 摩擦の小さい器具を使い、同じ方向から読む
圧力計のゼロ点ずれ 全圧力値へ一定の偏りが加わる グラフの傾きや切片がずれる 測定前にゼロ点校正を行う
ゲージ圧を絶対圧として使用 気体の法則に誤った圧力を代入する 低圧側で特に大きな誤差となる 大気圧を加えて絶対圧へ換算する
摂氏温度をそのまま使用 シャルルの法則の比例関係が崩れる V/Tが一定にならない 必ずKへ換算する
気体と恒温槽の温度差 測定温度が気体の実温度と一致しない 加熱・冷却直後にずれが大きい 十分に熱平衡へ達するまで待つ
注射器・管内の死体積 目盛に現れない体積が存在する 特に小体積で誤差割合が大きい 接続管を短くし、死体積を補正する
体積目盛の読み取り誤差 PVやV/Tの計算がずれる 小体積ほど相対誤差が大きい 目線を目盛と水平にする
水滴や水蒸気の混入 気体の物質量や分圧が変化する 高温条件で理論値から外れやすい 器具を乾燥し、必要なら水蒸気圧を補正する
大気圧の変動 絶対圧力の換算値がずれる 日や測定時刻によって結果が変わる 測定時の大気圧を使用する
理想気体からのずれ 分子間力や分子体積を無視できない 高圧・低温でずれが大きくなる 低圧・常温付近で測定する
容器の熱膨張 容器自体の体積が変化する シャルルの法則の体積変化へ混入する 容器膨張を補正する
測定値の記録タイミング 平衡前の値を記録する 同じ条件でも再現性が悪くなる 圧力・温度・体積が安定してから記録する

ボイルの法則で圧力と体積が反比例する理由

温度が一定の場合、気体分子の平均運動エネルギーはほぼ一定です。体積を小さくすると、分子が容器壁へ衝突する頻度が増えるため、圧力が大きくなります。

シャルルの法則で体積と絶対温度が比例する理由

圧力を一定に保ったまま温度を上げると、気体分子の運動が激しくなります。圧力を一定に保つためには、容器の体積が大きくなり、壁への衝突頻度を調整する必要があります。

摂氏温度ではなく絶対温度を使う理由

気体分子の熱運動は、絶対温度に対応します。0 ℃でも分子運動がなくなるわけではないため、摂氏温度をそのまま比例式へ用いることはできません。

圧力と1/Vのグラフが直線になる理由

ボイルの法則より、温度と物質量が一定なら P = 定数 × 1/V と表せます。そのため、圧力を縦軸、1/Vを横軸にすると、原点付近を通る直線になります。

体積と絶対温度のグラフが直線になる理由

シャルルの法則より、圧力と物質量が一定なら V = 定数 × T と表せます。そのため、体積を縦軸、絶対温度を横軸にすると、原点付近を通る直線になります。

結果の書き方の例

一定量の空気について、25.0 ℃で圧力と体積の関係を測定した。絶対圧力を80.0~200.0 kPaまで変化させたところ、圧力の増加に伴って体積は63.2 mLから25.2 mLまで減少した。

各測定点におけるPVは5040~5058 kPa·mLであり、ほぼ一定であった。このことから、温度一定の条件では圧力と体積が反比例し、ボイルの法則が成り立つことを確認した。

また、圧力101.3 kPaで温度を283.15~353.15 Kまで変化させたところ、体積は47.5 mLから59.3 mLまで増加した。各測定点のV/Tは約0.168 mL/Kでほぼ一定であり、シャルルの法則が成り立つことを確認した。

考察につなげるポイント

  • 温度一定の条件でPVは一定になったか。
  • 圧力と1/Vの関係は直線になったか。
  • 圧力一定の条件でV/Tは一定になったか。
  • 体積と絶対温度の関係は直線になったか。
  • PV/Tは各状態で一定になったか。
  • ゲージ圧力を絶対圧力へ正しく換算したか。
  • 摂氏温度を絶対温度へ正しく換算したか。
  • 圧縮や膨張をゆっくり行ったか。
  • 気体が恒温槽と熱平衡へ達していたか。
  • 気体の漏れはなかったか。
  • 注射器や接続管の死体積を無視できたか。
  • ピストンの摩擦によるヒステリシスはなかったか。
  • 高圧・低温で理想気体からのずれはなかったか。

考察例

本実験では、一定量の空気について、圧力、体積、温度の関係を測定し、ボイルの法則、シャルルの法則、およびボイル・シャルルの法則を確認した。

まず、温度を25.0 ℃に保ち、絶対圧力を80.0~200.0 kPaまで変化させたところ、圧力の増加に伴って体積は減少した。

各測定点におけるPVは5040~5058 kPa·mLの範囲であり、ほぼ一定であった。したがって、温度と気体の物質量が一定の条件では、圧力と体積が反比例するというボイルの法則が、おおむね成り立ったと考えられる。

圧力と体積の関係をそのままグラフにすると曲線となるが、圧力と1/Vの関係をグラフにするとほぼ直線となった。これは、ボイルの法則からPが1/Vに比例するためである。

次に、圧力を101.3 kPaに保ち、温度を283.15~353.15 Kまで変化させたところ、絶対温度の上昇に伴って体積が増加した。

各測定点のV/Tは約0.168 mL/Kでほぼ一定となり、圧力と物質量が一定の条件では体積が絶対温度に比例するというシャルルの法則を確認できた。

温度と体積の関係を摂氏温度で表すと、グラフは原点を通らない。これは0 ℃でも気体分子が熱運動しており、体積が0にならないためである。絶対温度を用いることで、理想的には体積と温度の比例関係を原点を通る直線として表せる。

さらに、圧力、体積、温度が同時に変化する条件についてPV/Tを計算したところ、各状態で約17.28 kPa·mL/Kとなり、ほぼ一定であった。この結果から、ボイル・シャルルの法則が成り立つことを確認した。

誤差原因として、ボイルの法則の測定では、気体を急速に圧縮した際の温度上昇が考えられる。急速に圧縮すると気体の温度が一時的に上昇し、温度一定の条件が崩れるため、圧力を理論値より高く測定する可能性がある。

この影響を小さくするには、ピストンをゆっくり動かし、圧力と温度が安定してから体積を記録する必要がある。

また、注射器のピストンには摩擦があるため、気体の内圧と外圧が完全に一致しない場合がある。圧縮時と膨張時で測定値が異なる場合は、摩擦によるヒステリシスが生じたと考えられる。

シャルルの法則の測定では、気体が恒温槽の温度へ達する前に体積を読んだ場合、実際の気体温度と温度計の値が一致しない。このため、各温度で十分な時間待ち、体積が安定してから測定する必要がある。

圧力の扱いでは、圧力計が示すゲージ圧力に大気圧を加え、絶対圧力へ換算することが重要である。ゲージ圧力をそのまま用いると、特に大気圧に近い範囲で大きな誤差となる。

体積測定では、注射器本体の目盛だけでなく、チューブや圧力センサ内部にも気体が存在する。これらの死体積を無視すると、実際の気体体積を過小評価し、PVやV/Tが一定にならない原因となる。

気体の漏れがある場合には、測定中に物質量が変化するため、ボイル・シャルルの法則を適用できない。接続部を確実に密閉し、測定前後で圧力が維持されることを確認する必要がある。

測定精度を高めるには、圧力センサのゼロ点校正を行うこと、操作をゆっくり行うこと、気体が熱平衡へ達するまで待つこと、死体積を補正すること、複数回測定して平均値を求めることが有効である。

以上より、一定量の空気について、温度一定ではPV、圧力一定ではV/T、一般的な状態変化ではPV/Tがほぼ一定となった。測定値のずれには、温度変化、気体の漏れ、ピストン摩擦、死体積、圧力と温度の換算方法などが影響したと考えられる。

PVが一定にならなかった場合の考察例

PVが一定にならなかった原因として、圧縮・膨張時に気体温度が変化したこと、気体が漏れたこと、ピストン摩擦によって内圧と外圧が一致しなかったこと、接続管の死体積を無視したことなどが考えられる。

V/Tが一定にならなかった場合の考察例

V/Tが一定にならなかった原因として、摂氏温度をそのまま用いたこと、気体が恒温槽と熱平衡へ達していなかったこと、圧力が一定に保たれていなかったこと、容器自体の熱膨張を無視したことなどが考えられる。

圧縮時と膨張時で値が異なった場合の考察例

圧縮時と膨張時で測定値が異なった原因として、ピストンの摩擦、気体の一時的な温度変化、測定値を読むまでの待ち時間の違いなどが考えられる。操作方向と待ち時間を統一し、十分に平衡へ達してから記録する必要がある。

高圧側で理論値から外れた場合の考察例

高圧側で理論値から外れた原因として、気体分子自身の体積や分子間力を無視できなくなり、理想気体からのずれが大きくなった可能性がある。また、小体積では死体積や目盛の読み取り誤差の割合も大きくなる。

まとめ

ボイルの法則では、一定温度で気体の圧力と体積の積PVが一定になります。

シャルルの法則では、一定圧力で気体の体積と絶対温度の比V/Tが一定になります。

これらを組み合わせたボイル・シャルルの法則では、一定量の気体についてPV/Tが一定になります。

考察では、絶対圧力と絶対温度の使用、圧縮時の温度変化、気体の漏れ、ピストン摩擦、死体積、熱平衡などを、測定値が理論的な一定値からどのようにずれたかと関連づけて説明することが重要です。