エックス線作業主任者(エックスせんさぎょうしゅにんしゃ)は、日本の労働安全衛生法に基づく作業主任者の一つです。 このページはりすさんが作成した試験問題アプリ、りすさんシリーズの紹介と試験に出題された項目をまとめたページです。
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エックス線管理
エックス線の特徴
間接電離放射線とは、原子核との相互作用によって二次的に生じた荷電粒子が電離作用を引き起こすような放射線のこと
間接電離放射線であり、磁場の影響を受けない
エックス線の発生
エックス線管の内部は、ガスなどがない真空状態
管電流は、陽極から陰極に向かって流れる
陽極のターゲットに衝突する直前の電子の運動エネルギーは、管電圧に比例する
陽極のターゲットに衝突する電子の運動エネルギーがエックス線に変換される効率は、管電圧とターゲット元素の原子番号の積に比例する
ターゲット元素の原子番号が大きくなると、特性エックス線の波長は、短くなる
特性エックス線
特定のエネルギー(波長)を持った放射線のこと、軌道電子がエネルギー準位の高い軌道から低い軌道へと転移するとき発生する
管電圧を高くしても波長は変わらないが、強さは増す
波長は、ターゲット元素の原子番号が大きくなると短くなる
連続エックス線
連続エックス線とは、加速電子が原子核のクーロン場(電界)で制動を受ける際に発生する電磁波であ
エックス線管から発生するエックス線は、連続エックス線(制動エックス線)と特性エックス線の両方が混在している
荷電粒子とは電子や陽子などの電荷を持っている粒子のこと。エックス線は電荷を持たない。
陰極のフィラメントには、通常、融点が高いタングステンが用いられる。
陰極のフィラメント端子間の電圧は、フィラメント加熱用の降圧変圧器を用いて10~20V程度にされている。
オージェ効果
電磁波として特性エックス線を放出する代わりに、そのエネルギーをより外側にある軌道の電子に与えて、原子の外に放出する現象のこと
コンプトン効果
エックス線が原子との作用で自由電子にエネルギーを与え散乱し、自由電子は運動エネルギーを得て飛び出す作用のこと
散乱するエックス線の散乱角は、0~180°の間に分布します。
コンプトン効果により散乱したエックス線の波長は、入射エックス線の波長よりも長くなる
光電効果
エックス線がすべてのエネルギーを軌道電子に与えて消失し、エネルギーを得た電子が原子核から飛び出す現象のこと
入射エックス線のエネルギーが高くなると、光電効果の発生率は小さくなる
光電効果が起こる確率は、入射エックス線のエネルギーが高くなるほど小さくなる
原子から放出される光電子の運動エネルギーは、入射エックス線のエネルギーより小さい
測定
線量率の測定点の高さは、作業床面上約1mの位置
測定は線量当量率の低い箇所から逐次高い箇所へと行っていく。
管理区域を設定するための外部放射線の測定に用いる測定器は、方向依存性が小さく、測定しようとする1cm線量当量等が読みとれる性能(感度)を有していなければならない。
測定器には、電離箱式サーベイメータ、シンチレーション式サーベイメータなどのほか、フィルムバッジ等の積算型放射線測定器も用いることができる。
測定はあらかじめバックグラウンド値を調査しておき、これを測定器の指示値から差し引いた値を測定結果とする。
エックス線装置の基本原理
エックス線透過試験装置:透過
エックス線CT装置:透過
エックス線厚さ計:散乱
BSI装置:散乱
エックス線回折装置・回折計:回折
エックス線応力測定装置:回折
蛍光エックス線分析装置:分光
エックス線マイクロアナライザ:分光
集束カップ
集束筒(集束カップ)とは発生した熱電子がターゲットに向かうように設置された筒のこと
集束筒(集束カップ)が設けられているのは、陽極ではなく陰極側です
実効焦点
放射される側の線束の中心からみた焦点のことで、寸法が小さいほど、像質のよい写真を撮影することができます。
半価層(h)
物質を透過したエックス線の線量率(I)が透過前の線量率(Io)の半分になった時の物質の厚さのことで、エックス線のエネルギーが変わると変化するが、線量率が変わっても変化しない。
軟エックス線の場合は、硬エックス線の場合より半価層が薄くなる。
軟エックス線は、硬エックス線よりエネルギーが低いので、半価層も小さくなる
半価層の値は、物体を構成する元素の種類が変わると変化する
エネルギーが高いと減弱係数が小さく(相互作用し難く)半価層が大きくなる
その他
平均減弱係数は、物体の厚さの増加に伴い小さくなり、物体が十分厚くなるとほぼ一定となります
後方散乱線の空気カーマ率は、鋼板の板厚が増すに従って増加し、ある程度の厚さで一定になる
エックス線のエネルギーが、1.02MeVを超えなければ、電子対生成は起こりません
再生係数は線量率に依存しない
励起電圧とは特性エックス線を発生させるための最小管電圧である。
空港の手荷物検査装置は、透過の原理を利用した透視で、被検査物体にエックス線を照射し、蛍光増倍管の観察用蛍光板の像をテレビカメラで撮像して、モニタ・ブラウン管で観察する方法
全強度は「管電流」「ターゲットの原子番号」に比例します。全強度は「管電圧」の2乗に比例する
エックス線の測定
吸収線量
「あらゆる種類の電離放射線」の照射により、単位質量の物質に付与されたエネルギーで、単位として「Gy」が用いられる
カーマ
間接電離放射の照射により放出された二次荷電粒子の初期運動エネルギーに移ったエネルギーの総和をいい、単位はJ/Kgで、特別な名称としてGyが用いられる
実効線量
人体の各組織・臓器が受けた等価線量に、各組織・臓器ごとの相対的な放射線感受性を示す組織荷重係数を乗じ、これらを合計したもの
照射線量1C/kgが、実効線量1Svに相当するわけではない
透過線量に組織荷重係数を乗じた線量で、単位はSvである
実効線量は、1cm線量当量と70μm線量当量を加算した値ではなく、いずれかの線量当量とする
eV(電子ボルト)
「エネルギー」の単位として使用され、1eVは約1.6×10^-19Jに相当します。
比例計数管
ガス増幅は、比例計数管やGM計数管と関係が深い
エネルギー分析が可能な検出器は、パルス電流を出力する比例計数管、半導体検出器およびシンチレーション検出器です
比例計数管領域:一時電離に比例した大きなパルス電流が出力される
GM計数管
GM計数管領域:放射線の入射ごとに放電が起こり、パルス電流が出力されるが、一次電離量には比例しない
入射放射線のエネルギーを分析することはできない
窒息現象が起こるのはGM計数管
GM計数管は、入射エックス線による一次電離量とは無関係に、一定の大きさの出力パルスが得られる
ガス増幅は、比例計数管やGM計数管と関係が深い
通常、プラトー領域の中央部より少し低い印加電圧で使用する
方向依存性が大きく、また、数mSv/hrを超えるような線量率では窒息現象を起こし使用できなくなる
GM計数管のエネルギー依存性は大きい
GM計数管式サーベイメータ
比較的、方向依存性が大きいです。線量率500mSv/h程度の放射線では、窒息現象が起こり測定できません。
湿度の影響は受けにくく、機械的にも安定しています。
GM計数管式サーベイメータを用いて測定を行うと、『分解時間』内に数え落しが起こり、真の計数率(本当の計数率)と異なる値を示します。
グロー曲線
グロー曲線は、熱ルミネセンス線量計と関係の深い事項
グロー曲線は、蛍光強度と温度の関係を示す曲線
G値
G値は、化学線量計と関係の深い事項
物質が100eVの放射線エネルギーを吸収したときに変化する原子数又は分子数はG値と呼ばれる
半導体式サーベイメータ
10keV以下のような低エネルギーのエックス線の測定に適していません。
光刺激ルミネセンス線量計
輝尽性蛍光を利用した線量計で、検出素子には、炭素添加酸化アルミニウムが用いられます。
光刺激ルミネセンス線量計に紫外線は関わりをもたない。
熱ルミネセンス線量計
一度線量を読み取ると素子から情報が消失してしまうため、線量の読み取りには注意が必要です。
グロー曲線は、熱ルミネセンス線量計と関係の深い事項
RPLD
RPLDでは銀活性リン酸塩ガラスが用いられます。
線量読み取りのための発光は、RPLDでは紫外光照射により行われます。
W値
放射線の種類やエネルギーにあまり依存せず、気体の種類に応じてほぼ一定の値をとります。
時定数
時定数が長ければ、指針のゆらぎは小さくなります。
時定数の値を小さくすると、指示値の相対標準偏差は大きくなり、応答速度は速くなります。
時定数の値を大きくすると、応答速度は遅くなり、指示値の相対標準偏差が小さくなります。
フェーディング
積分型の測定器において、放射線が入射して作用した時点からの時間経過に応じて線量の読み取り値が減少していく現象のことです。
窒息現象
高線量率のエックス線を測定したとき、弁別レベル以下の放電が連続し、計数できなくなる現象です。
窒息現象が起こるのはGM計数管
電離箱式サーベイメータ
取扱いに注意が必要です。測定可能な線量の範囲は広いですが、方向依存性が小さく、バックグラウンド値も小さいです。
半導体式ポケット線量計
半導体中に発生した電子-正孔対による電流を測定します。
被ばく量をデジタル表示できる放射線測定器です。
TLD
TLDでは、加熱読み取り装置で線量を読み取るとき、読み取りに失敗すると、再度読み取ることができません。
気体増幅
放射線検出器内において一次電離した電子が、陽極にむかって加速され多量に電荷量が増える現象のことです。
気体増幅のことを、ガス増幅ということもあります。
NaI(Tl)シンチレーション式サーベイメータ
10keV程度の低エネルギーのエックス線の測定には不向きです。
蛍光ガラス線量計
蛍光ガラス線量計とOSL線量計には、読み出し装置が必要で、随時読み取ることはできない
蛍光中心は、紫外線を照射して線量を読み取るが、読み出しを繰り返しても蛍光中心は消失しない
電離箱
高抵抗を使用して微弱電流を測定するため、特に湿度に弱い。また温度変化の影響も受けやすい
最も方向依存性が小さい
電離箱領域:一時電離量に比例した、ほぼ同等の平均電流が出力される
電離箱式PD型ポケット線量計は、直読式の放射線測定器で機器を上部からのぞき込むと被ばく量を読み取ることができます。
その他
皮膚の等価線量は、エックス線については『70μm線量当量』により算定します。
妊娠中の女性の腹部表面の等価線量は、腹・大腿部における『1cm線量当量』により算定します。
半導体中で1対の電子・正孔対を作るのに必要な平均エネルギーは、『ε値(イプシロンち)』と言われます。
半導体検出器のエネルギー依存性は、電離箱式検出器に比べて大きい。30keV以下では急激に感度が低下する
PD型ポケット線量計と半導体ポケット線量計は、随時、読み取ることができる。
エネルギー分解能とは、放射線測定器のパルス波高分析回路で、エネルギーの接近した2本の入力パルスを分解して計測できる度合いをいう
皮膚の等価線量は70μm線量当量によって算定する
再結合領域:印加電圧が低いので、イオン対の移動速度が遅く、再結合するので出力電流が低い。また出力電流は印加電圧の変動に影響されやすいので測定器として利用されていない
エックス線の生体に及ぼす影響
細胞周期の放射線感受性
増殖する細胞はG1期→S期→G2期→M期→G1期の周期で細胞分裂を繰り返す
S期(DNA合成期)後期は、M期(分裂期)より放射線感受性が低い
G1期(DNA合成準備期)後期は、G2期(分裂準備期)初期より放射線感受性が高い
放射線感受性が最も高いのはM期の細胞
確定的影響
確定的影響とは、発症にしきい値のある影響である
胎児の奇形は確定的影響である
しきい線量は、確定的影響に存在する
確定的影響の程度は、等価線量により評価される
確定的影響では、被ばく線量と影響の発生確率との関係が、シグモイド曲線で示されます。
精神発達遅滞は、確定的影響に分類されます。
確定的影響では、障害の重篤度は被ばく線量に依存する。
体内被ばくは確定的影響である
確率的影響
確率的影響とは、発症にしきい値がない影響である
確率的影響では、被ばく線量が増加しても、影響の重篤度は変わらない
遺伝的影響は、確率的影響に分類される
確率的影響には、遺伝的影響の他、発がんが分類される
組織荷重係数は、組織の被ばくによる確率的影響の目安を示す
白内障
晩発影響に分類されます。その潜伏期は平均2~3年
眼の水晶体の細胞が障害を受けると発生する
潜伏期間と被ばく線量に関係があり、被ばく量が多いほど潜伏期間は短い傾向にある
白内障発生のしきい線量は、急性被ばくと慢性被ばくで異なり、急性被ばくでは約5Gy、慢性被ばくでは約10Gy以上と言われている。
水晶体上皮細胞に放射線障害が起こると、白内障が発生する
2〜5Gyの被ばくで非進行性の白内障となり、5Gy以上の被ばくで慢性の白内障になるとされる
胎児への影響
胎児期の被ばくでは、脳の放射線感受性が高く、出生後、精神発達遅滞が生じる
胎児は個体としてみなすため、胎児への放射線影響は、身体的影響になる
胎児は1人の個体と考えるため、胎児への影響は遺伝的影響ではなく、身体的影響に分類される
胎児の奇形は確定的影響である
致死量
ヒトの全致死線量は明確でないが、4Gyはヒトの半致死量とされる線量である
ヒトの半致死量の被ばくによる死亡の原因は、造血器官の障害である
平均致死量は、放射線が照射された場合、確率的に37%の細胞が生き残る線量をいう
直接作用
直接作用とは、エックス線の光子エネルギーと生体高分子との相互作用によって飛び出した二次電子が、生体高分子を構成する原子と、相互作用することにより、生体高分子を破壊して細胞に障害を与える作用のこと
エックス線のような低LET放射線では、直接作用より間接作用の方が生体に与える影響に大きく関与する
直接作用では、放射線により生体高分子から飛び出した二次電子が、生体高分子を構成する原子を電離又は励起することで、生体に損傷を与える
生体高分子に損傷を与える作用が直接作用である
間接作用
間接作用とは、エックス線が生体内に存在する水分子と相互作用した結果、水分子が電離又は励起して、ラジカルとなり、これが生体高分子を破壊し、細胞に損傷を与える作用をいう
間接作用による放射線効果は温度の影響を受ける
体への影響
末梢血液中の有形成分の変化は、0.25Gy程度の被ばくから認められる。この程度の線量では、末梢血液中の血球数に変化は見られないとされています。
皮膚の充血や腫脹がみられるのは、5Gy以上の被ばくです
水疱や永久脱毛がみられるのは、12Gy以上の被ばくです。
5Gyは、ヒトの半致死線量(4Gy)を超える大きな線量です。
胎内被ばくによる精神発達遅滞の発生のしきい線量は、0.2Gy程度と推測されています。
10~15Gy程度の被ばくによる死亡は、主に消化器官の障害によるものです。
発育不全は身体的影響である
その他
被ばくしても生き残り発育を続けて出生した子供には、被ばくによる影響はみられない
皮膚障害のうち、脱毛は、潜伏期が3週間程度で、早期影響に分類される
潜伏期間とは被ばくしてから症状が発生するまでの期間のことで、潜伏期とも言う
倍加線量は、その値が小さいほど遺伝的影響は起こりやすくなる
平均致死線量は、細胞の放射線感受性の指標となる
ベルゴ二ー・トリボンドーの法則によると、形態及び機能において未分化のものほど感受性が高い。骨髄中におけるリンパ球は未分化なので、感受性が高いのですが、リンパ球だけは例外です。リンパ球は、抹消血液中でも感受性が高い
RBEを求めるときの基準放射線としては、通常、低LETであるエックス線やガンマ線が用いられます
線質の同じ放射線であっても、着目する生物学的効果によって、一般に生物学的効果比は異なります
100keV/μm付近のLET値をもつ放射線のRBEの値が最大になります。
組織荷重係数が最も大きい組織・臓器は、生殖腺です
被ばくした組織・臓器の吸収線量に「放射線荷重係数」を乗ずることにより、等価線量を得ることができる
放射線がDNAに作用すれば、DNA損傷が生じるので、エックス線のような間接電離放射線でも、ラジカルの作用により塩基損傷とDNA鎖切断を生じます
DNA鎖切断のうち、1本鎖切断は2本鎖切断に比べて容易に修復されます。
器官形成期の被ばくでは、奇形を生じるおそれがあります
小腸の絨毛先端部の細胞は、線窩細胞より放射線感受性が低いです。
放射線宿酔の症状は、1Gy程度の被ばくで現れるとされています
半致死線量(LD50/60)に相当する線量の被ばくによる死亡は、主に造血器官の障害によるものです
エックス線によって塩基損傷が生じる
細胞には塩基損傷を修復する機能がる
非相同末端結合は、誤りの多い修復とされる
先端部の細胞は、腺窩細胞より放射線感受性が低い
フレームシフト、置換は、遺伝子突然変異の分類であり、染色体異常は、欠失、転座、逆位などに分類される
奇形発生の危険性があるのは器官形成期である
関係法令
管理区域の明示等
事業者は、管理区域を標識によって明示しなければならない。
外部放射線による実効線量と空気中の放射性物質による実効線量との合計が3月間につき1.3ミリシーベルトを超えるおそれのある区域→外部放射線による実効線量の測定は、1センチメートル線量当量によって行うものとする。
事業者は、必要のあるもの以外の者を管理区域に立ち入らせてはならない。
事業者は、管理区域内の見やすい場所に、
放射線測定器の装着に関する注意事項
放射線物質の取り扱い上の注意事項
事故が発生した場合の応急処置等放射線による労働者の健康障害の防止に必要な事項
を掲示しなければならない。
施設などにおける線量の限度
事業者は、放射線装置室、放射性物質取扱作業室、貯蔵施設又は保管廃棄施設について、遮へい壁、防護つい立て、その他の遮へい物を設け、又は局所排気装置若しくは放射線物質のガス、蒸気若しくは粉じんの発散源を密閉する設備を設けて、労働者が常時立ち入る場所における外部放射線による実効線量と空気中の放射性物質による実効線量との合計を1週間につき1ミリシーベルト以下にしなければならない。
放射線業務従事者の被ばく限度
事業者は、管理区域内において放射線業務従事者の受ける実効線量が5年間につき100ミリシーベルトを超えず、かつ、1年間につき50ミリシーベルトを超えないようにしなければならない。
事業者は、女性の放射線業務従事者(妊娠する可能性がないと診断されたものを除く。)の受ける実効線量については、3月間につき5ミリシーベルトを超えないようにしなければならない。
事業者は、放射線業務従事者の受ける等価線量が、
眼の水晶体は1年間につき150ミリシーベルト
皮膚は1年間につき500ミリシーベルト
を、それぞれ超えないようにしなければならない。
事業者は、妊娠と診断された女性の放射線業務従事者の受ける線量が、妊娠と診断されたときから出産までの間、それぞれに定める値を超えないようにしなければならない。
内部被ばくによる実効線量については、1ミリシーベルト
腹部表面に受ける等価線量については、2ミリシーベルト
緊急作業時おける被ばく限度
事業者は、事故が発生し、放射線による労働者の健康障害を防止するための緊急作業を行うときは、従事する男性および妊娠する可能性がないと診断された女性の放射線業務従事者については、規定にきていする限度を超えて放射線を受けさせることができる。
緊急作業に従事する間に受ける線量は、それぞれに定める値を超えないようにしなければならない。
実効線量については、100ミリシーベルト
眼の水晶体に受ける等価線量については、300ミリシーベルト
皮膚に受ける等価線量については、1シーベルト
線量の測定
事業者は、放射線業務従事者、緊急作業に従事する労働者及び管理区域に一時的立ち入る労働者の管理区域内において受ける外部被ばくによる線量及び内部被ばくによる線量を測定しなければばらない。
外部被ばくによる線量の測定は、1センチメートル線量当量及び70マイクロメートル線量当量(中性子線については、1センチメートル線量当量)について行う。放射線測定器を装着させて行う測定は、70マイクロメートル線量当量について行うものとする。
外部被ばくによる線量の測定は、次に掲げる部位に放射線測定器を装着させておこなわなければならない。ただし、放射線測定器を用いてこれを測定することが困難な場合には、測定した線量当量率を用いて算出し、これが困難な場合には、計算によってその値を求めることができる。
男性又は妊娠する可能性がないと診断された女性にあっては胸部、その他の女性にあっては腹部
頭・頸部、胸・上腕部及び腹・大腿部のうち最も多く放射線にさらされるおそれのある部位(これらの部位のうち最も多く放射線にさらされる部位が男性又は妊娠する可能性がないと診断された女性にあっては胸部・上腕部、その他の女性にあっては腹・大腿部である場合を除く。)
最も多く放射線にさらされるおそれのある部位が頭・頸部、胸・上腕部及び腹・大腿部以外の部位であるときは、当該最も多く放射線にさらされるおそれのある部位(中性子線の場合を除く。)
線量の測定結果の確認、記録等
事業者は、1日における外部被ばくによる線量が1センチメートル線量当量について1ミリシーベルトを超えるおそれのある労働者については、外部被ばくによる線量の測定結果を毎日確認しなければならない。
事業者は、測定又は計算の結果に基づき、放射線業務従事者の線量を、遅滞なく、厚生労働大臣が定める方法により算定し、これを記録し、これを30年間保存しなければならない。ただし、5年間保存した後、厚生労働大臣が指定する機関に引き渡すときは、この限りでない。
男性又は妊娠する可能性がないと診断された女性の実効線量の3月ごと、1年ごと及び5年ごとの合計(5年間において、実効線量が1年間につき20ミリシーベルトを超えたことのない者にあっては、3月ごと及び1年ごとの合計)
女性(妊娠する可能性がないと診断されたものを除く。)の実効線量の1月ごと、3月ごと及び1年ごとの合計(1月間に受ける実効線量が1.7ミリシーベルトを超えるおそれのないものにあっては、3月ごと及び1年ごとの合計)
人体の組織別の等価線量の3月ごと及び1年ごとの合計
妊娠中の女性の内部被ばくによる実効線量及び腹部表面に受ける等価線量の1月ごと及び妊娠中の合計
事業者は、放射線業務従事者に線量を、遅滞なく、知らせなければならない。
照射筒等
事業者は、エックス線装置を使用するときは、利用線錐の放射角がその使用の目的を達するために必要な角度を超えないようにするための照射筒又はしぼりを用いなければならない。ただし、照射筒又はしぼりを用いることにより特定エックス線装置の使用の目的が妨げられる場合は、この限りでない。
ろ過板
事業者は、特定エックス線装置を使用するときは、ろ過板を用いなければならない。ただし、作業の性質上軟線を利用しなければならない場合又は労働者が軟線を受けるおそれがない場合には、この限りでない。
透視時の措置
事業者は、特定エックス線装置を用いて透視を行うときは、次の措置を講じなければならない。ただし、エックス線の照射中に透視の作業に従事する労働者の身体の全部又は一部がその内部に入ることがないように遮へいされた構造の特定エックス線装置を使用する場合は、この限りでない。
1 透視の作業に従事する労働者が、作業位置で、エックス線の発生を止め、又はこれを遮へいすることができる設備を設けること。
2 定格管電流の2倍以上の電流がエックス線管に通じたときに、直ちに、エックス線管回路を開放位にする自動装置を設けること。
3 利用するエックス線管焦点受像器距離において、エックス線照射野が受像面を超えないようにすること。
4 利用線錘中の受像器を通過したエックス線の空気中の空気カーマ率(以下「空気カーマ率」)が、医療用の特定エックス線装置については利用線錘中の受像器の接触可能表面から10センチメートルの距離において150マイクログレイ毎時以下、工業用等の特定エックス線装置についてはエックス線管の焦点から1メートルの距離において17.4マイクログレイ毎時以下になるようにすること。
放射線装置室
事業者は、次の装置又は機器を設置するときは、放射線装置室を設け、その室内に設置しなければならない。ただし、その外側における外部放射線による1センチメートル線量当量率が20マイクロシーベルト毎時を超えないように遮へいされた構造の放射線装置を設置する場合又は放射線装置を随時移動させて使用しなければならない場合、その他放射線装置を放射線装置室内に設置することが、著しく、使用の目的を妨げ、若しくは作業の性質上困難である場合には、この限りでない。
1 エックス線装置
2 荷電粒子を加速する装置
3 エックス線管若しくはケノトロンのガス抜き又はエックス線の発生を伴うこれらの検査を行う装置
4 放射線物質を装備している機器
事業者は、放射線装置室の入り口に、その旨を明記した標識を掲げなければならない。
立入禁止
事業者は、工業用等のエックス線装置又は放射性物質を装備している機器を放射線装置室以外の場所で使用するときは、そのエックス線管の焦点又は放射線源及び被照射体から5メートル以内の場所(外部放射線による実効線量が1週間につき1ミリシーベルト以下の場所を除く。)に、労働者を立ち入らせてはならない。
ただし、放射性物質を装備している機器の線源容器内に放射線源が確実に収納され、かつ、シャッターを有する線源容器にあっては当該シャッターが閉鎖されている場合において、線源容器から放射線源を取り出すための準備作業、線源容器の点検作業その他必要な作業を行うために立ち入るときは、この限りでない。
この規定は、事業者が、撮影に使用する医療用のエックス線装置を放射線装置室以外の場所で使用する場合について準用する。この場合において、同項中「5メートル」とあるのは、「2メートル」と読み替えるものとする。
事業者は、労働者が立ち入ることを禁止されている場所を標識により明示しなければならない。
透過写真の撮影時の措置等
事業者は、特定エックス線装置又は透過写真撮影用ガンマ線照射装置(ガンマ線照射装置で、透過写真の撮影に用いられるものをいう。)を放射線装置室以外の場所で使用するとき(労働者の被ばくのおそれがないときを除く。)は、放射線を、労働者が立ち入らない方向に照射し、又は遮へいする措置を講じなければならない。
退避
事業者は、次の事故が発生したときは、実効線量が15ミリシーベルトを超えるおそれのある区域から、直ちに、労働者を退避させなければならない。
1 遮へい物が放射性物質の取扱い中に破損した場合又は放射線の照射中に破損し、かつ、その照射を直ちに停止することが困難な場合
2 不測の事態が生じた場合
事故に関する報告
事業者は、事故が発生したときは、速やかに、その旨を当該事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長(以下「所轄労働基準監督署長」という。)に報告しなければならない。
診察等
事業者は、次に該当する労働者に、速やかに、医師の診察又は処置を受けさせなければならない。
1 事故が発生したとき同項の区域内にいた者
事故に関する測定及び記録
事業者は、事故が発生し、同項の区域が生じたときは、労働者がその区域内にいたことによって、又は緊急作業に従事したことによって受けた実効線量、眼の水晶体及び皮膚の等価線量並びに次ぎの次項を記録し、これを5年間保存しなければならない。
エックス線作業主任者の選任
事業者は、エックス線作業主任者免許を受けた者のうちから、管理区域ごとに、エックス線作業主任者を選任しなければならない。
エックス線作業主任者の職務
事業者は、エックス線作業主任者に次の事項を行わせなければならない。
1 標識がこれらの規定に適合し設けられるように措置すること。
2 射筒若しくはしぼり又は第11条のろ過板が適切に使用されるように措置すること。
3 放射線業務従事者の受ける線量ができるだけ少なくなるように照射条件等を調整すること。
4 規定に適合して講じられているかどうかについて点検すること。
5 照射開始前及び照射中の場所に労働者が立ち入っていないことを確認すること。
6 放射線測定器が装着されているかどうかについて点検すること。
特別の教育
事業者は、エックス線装置又はガンマ線照射装置を用いて行う透過写真の撮影の業務に労働者を就かせるときは、当該労働者に対し、次の科目について、特別の教育を行わなければならない。
1 透過写真の撮影の作業の方法。
2 エックス線装置及びガンマ線照射装置の構造及び取扱いに方法。
3 電離放射線の生体に与える影響。
4 関係法令。
作業環境測定を行うべき作業
作業場は、次のとおりとする。
1 放射線業務を行う作業場のうち管理区域に該当する部分
線量当量率等の測定等
事業者は、管理区域について、1月以内(放射線装置を固定して使用する場合において使用の方法及び遮へい物の位置が一定しているときは6月以内)ごとに1回、定期に、外部放射線による線量当量率又は線量当量を放射線測定器を用いて測定し、その都度、次の事項を記録し、これを5年間保存しなければならない。
線量当量率又は線量当量は、測定器を用いて測定することが困難なときは、計算により算出さることができる。
測定又は計算は、1センチメートル線量当量率又は1センチメートル線量当量について行うものとする。ただし、管理区域のうち、70マイクロメートル線量当量率が1センチメートル線量当量率の10倍を超えるおそれがある場所又は70マイクロメートル線量当量が1センチメートル線量当量も10倍を超えるおそれのある場所においては、それぞれ70マイクロメートル線量当量率又は70マイクロメートル線量当量について行うものとする。
事業者は、測定又は計算による結果を、見やすい場所に掲示する等の方法によって、管理区域に立ち入る労働者に周知させなければならない。
健康診断
事業者は、放射線業務に常時従事する労働者で管理区域に立ち入るものに対し、雇入れ又は当該業務に配置替えの際及びその後6月以内ごとに1回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。
1 被ばく歴の有無(被ばく歴を有する者については、作業の場所、内容及び期間、放射線障害の有無、自覚症状の有無その他放射線による被ばくに関する事項)の調査及びその評価
2 白血球数及び白血球百分率の検査
3 赤血球数の検査及び血色素量又はヘマトクリット値の検査
4 白内障に関する眼の検査
5 皮膚の検査
健康診断のうち、雇入れ又は当該業務に配置替えの際に行わなければならないものについては、使用する線源の種類等に応じて項目を省略することができる。
定期に行わなければならないものについては、医師が必要でないと認めるときは、項目の全部又は一部を省略することができる。
健康診断を行おうとする日の属する年の前年1年間に受けた実効線量が5ミリシーベルトを超えず、かつ、当該健康診断を行おうとする日の属する1年間に受ける実効線量が5ミリシーベルトを超えるおそれのない者に対する当該健康診断については、医師が必要と認めないときには、行うことを要しない。
事業者は、健康診断の際に、当該労働者が前回の健康診断後に受けた線量(計算によって算出することができない場合には、推定するために必要な資料(資料がない場合には、当該放射線を受けた状況を知るために必要な資料))を医師に示さなければならない。
健康診断結果の記録
事業者は、健康診断の結果に基づき、電離放射線健康診断個人票を作成し、これを30年間保存しなければならない。ただし、当該記録を5年間保存した後において、厚生労働大臣が指定する機関に引き渡すときは、この限りでない。
健康診断結果報告
事業者は、健康診断(定期のものに限る。)を行ったときは、遅滞なく、電離放射線健康診断結果報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
健康診断等に基づく措置
事業者は、電離放射線健康診断の結果、放射線による障害が生じており、若しくはその疑いがあり、又は放射線による障害が生ずるおそれがあると認められる者については、その障害、疑い又はおそれがなくなるまで、就業する場所又は業務の転換、被ばく時間の短縮、作業方法の変更等健康の保持に必要な措置を講じなければならない。