クレーン・デリック運転士(限定なし)のポイント

 クレーン・デリック運転士(クレーン・デリックうんてんし)は、日本において、労働安全衛生法に定められた国家資格(免許)の一つです。このページはりすさんが作成した試験問題アプリ、りすさんシリーズの紹介と試験に出題された項目をまとめたページです。

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クレーンの安全装置クレーン及びデリックに関する知識

 ねじ形リミットスイッチによる巻過防止装置は、電磁接触器の操作回路を開閉する方式で、複数の接点を設けることができる

 直働式の巻過防止装置は、直働式以外の方式に比べて作動後の復帰距離が短い。

 直働式の巻過防止装置は、直働式以外の方式に比べて停止精度が良い。

 直働式の巻過防止装置に使われるリミットスイッチは、巻下げ過ぎを制限することはできない

 クレーン本体がレール端から走り出るのを防止するため、通常、走行レールの両端にゴムなどを用いたストッパー又は車輪止めを設ける。

 カム形リミットスイッチによる巻過防止装置では、ワイヤロープを交換したとき、スイッチの作動位置の再調整をしなければならない

 クレーンの運転者が、周囲の作業者等に注意を喚起するため必要に応じて警報を鳴らす装置としては、足踏み式又は押しボタン式のブザー、サイレン等がある

 同一ランウェイ上に2台のクレーンが設置されている場合の衝突防止装置としては、リミットスイッチ式、光式又は超音波式のものがある。

 走行レールの車輪止めの高さは、走行車輪の直径の1/2以上とする。

ワイヤロープ

 フィラー形のワイヤロープは、ストランドを構成する素線の間に細い素線を組み合わせたものである

 ワイヤロープの径の測り方は、同一断面の外接円の直径を3方向から測定し、その平均値をとる。

 「ラングより」のワイヤロープは、ワイヤロープのよりの方向とストランドのよりの方向が同じである。

 「普通より」のワイヤロープは、ワイヤロープのよりとストランドのよりの方向が反対である。

 「Zより」のワイヤロープは、ロープを縦にしたとき、右上から左下へストランドがよられている。

 「Sより」のワイヤロープは、ロープを縦にしたとき、左上から右下へストランドがよられている。

 心綱は、ワイヤロープの中心にあるもので、ロープ心と繊維心とがある。

 グラブバケットは、石炭、鉱石、砂利などのばら物を運搬するために用いられるつり具である。

 リフティングマグネットは、電磁石を応用したつり具で、フックに掛けて用いられるものもある。

 フックは、片フックが一般的であるが、大容量のクレーンでは両フックも使われる。  
 
 同じ径のワイヤロープでも、素線が細く数の多いものほど柔軟性がある。

 ワイヤロープの端末の止め方は、ドラムに対しては、キー止め、合金止め、ロープ押さえが多く用いられる。

クレーンの機械要素

 ローラーチェーン軸継手は、たわみ軸継手の一種で、2列のローラーチェーンと2個のスプロケットからなり、ピンの抜き差しで両側の連結、分離ができる

 全面機械仕上げしたフランジ形固定軸継手は、バランスがよいため、回転の速いところに用いられる。

 ウォームギヤーは、ウォームとこれにかみ合うウォームホイールを組み合わせたもので、15~50程度の減速比が得られる。

 振動や繰返し荷重によるゆるみを防ぐため、ばね座金や舌付き座金のほか、ダブルナット、スプリングナットなどが使用される。

 歯車形軸継手は、外筒の内歯車と内筒の外歯車がかみ合う構造で、外歯車にはクラウニングが施してあるため、二つの軸のずれや傾きがあっても円滑に動力を伝えることができる

 歯車形軸継手は、外筒の内歯車と内筒の外歯車がかみ合う構造で、起動及び停止時の衝撃や荷重変化によるたわみの影響等を緩和するために用いられる。

 大きな減速比が必要とされる場合には、複数の歯車を組み合わせ、一つの箱に収めたギヤーボックスを用いることが多い。

 摩擦接合用高力ボルトは、締付けによる摩擦力を利用するもので、大きな力に耐えられる。

 ラジアル軸受は、軸の直角方向の荷重を支える軸受である。

 自在軸継手は、二つの軸が一直線上にない走行長軸などに用いられる。 

 ばね座金や舌付き座金などは、振動や繰返し荷重によるナットの緩みを防止するために用いられる。

 スラスト軸受は、軸の長手方向の荷重を支える軸受である。

 はすば歯車は、歯が軸につる巻き状に斜めに切られており、平歯車に比べて動力の伝達のむらが少ない

クレーンの運転時の注意事項

 ワイヤロープ等の玉掛用具を、クレーンのフックの巻上げ操作によって荷から引き抜かない

 無線操作式クレーンでは、運転中に、つり荷が死角に入りそうなときは、一旦停止し、つり荷の見える位置に立つか又は合図者の合図により運転する。

 無線操作式クレーンの運転では、原則として歩行しながらの運転はしないこととし、やむを得ず歩行しながら運転するときは、平坦で安全な通路を決めて歩行する。

 安全通路、車両通路等を横断するときは、徐行するとともに、警報を鳴らすなどにより周囲の作業者の注意を促す。

 天井クレーンを停止する場合、荷振れ防止のため、目標位置の手前でコントローラーを一旦停止にして、慣性力で移動を続けるつり荷が振り切る直前に再びコントローラーを瞬時入れて停止する。

 天井クレーンでは、巻上げ、横行、走行の3つの操作を同時には行わない。

 揚程が足りないときでも、巻過防止用のリミットスイッチを外してはならない。

 屋外に設置されたクレーンで、つり荷がぬれている場合、玉掛け用ワイヤロープが滑りやすくなるので、地切り、巻上げ、横行、走行、旋回等の起動の際は静かに運転する。

 荷振れを防止するためには、荷の振れが大きい場合は追ノッチを大きく、荷の振れが小さい場合は追ノッチを小さくする。

 クレーンを運転する際、合図者の合図が不明確な場合は運転を一旦中止し、合図について再度確認を行う

クレーンの給油

 クレーンに使用する潤滑油は、給油部分の使用状態に応じ、粘度や変質しにくさ、油膜の強さを考慮する必要がある

 給油の際、車輪の踏面やレールの上面に油が付着した場合には、ベンジンなどでよくふき取る。

 転がり軸受の給油にグリースを用いる場合には、給油間隔は6か月に1回程度を目安とする。

 グリースカップ式やグリースガン式の給油は、集中給油式に比べ、手間がかかる。

 ワイヤロープには、ロープ専用のグリースを塗布する。

 ワイヤロープを長期間使用していると、心綱に使われている油がしぼり出されて少なくなり、素線の摩耗が増加する。

 開放されている歯車の給油には、グリースやギヤー油を塗布する。

 軸受部の給油には、主にグリースを用いる。

クレーンのブレーキ

 電動油圧押上機ブレーキは、電動ポンプにより発生する油圧によって押上げ力を得て制動力を解除する

 電動油圧押上機ブレーキは、ドラム形電磁ブレーキに比較して制動するまでの時間が長い。

 電動油圧押上機ブレーキは、制動するまでの時間が長いため、制動時の衝撃が少なく、横行用や走行用に多く用いられる。

 足踏み油圧式ディスクブレーキは、ディスクを電動機の軸端に取り付け、運転室に設けた足踏み油圧シリンダを操作することによって制動する。

 油圧式ディスクブレーキのブレーキピストンや油圧回路の配管などに油もれがあったり空気が混入すると、制動力が生じなくなることがある。

 電動油圧式ディスクブレーキは、ディスクをばねの力でパッドを介して締め付けて制動し、制動力の解除を電動油圧により行う。

 ドラム形電磁ブレーキは、電磁石に電流を通じることによって制動力を解除する。

 バンドブレーキは、バンドが鋳鉄製で、その内側にブレーキライニングが取り付けられており、バンドがドラムを締め付けて制動する。

 バンドブレーキは、ブレーキドラムのまわりにバンドを巻き付け、バンドを締め付けて制動する。

 ドラム形電磁ブレーキは、電磁石、リンク機構、ばね、ブレーキシューなどで構成され、ブレーキドラムの両側にブレーキライニングを押し付けて制動する。

 電磁ディスクブレーキは、ディスクの冷却効果がよく、また、装置全体を小型化しやすい

 ディスクブレーキは、ディスクをブレーキ片(パッド)で両側からはさみ付けて制動する構造になっている。

 ドラムブレーキのブレーキライニングに水や油などが付着すると、制動力が著しく低下する。

 ブレーキの制動力は、定格荷重に相当する荷重の荷をつった場合におけるつり上げ装置又は起伏装置のトルクの値の150%以上に調整する必要がある

ガイデリックのマストステップの上部ステップは、下部ステップとの接合部が球面の座となっているが、その理由

 荷をつったときのマストの傾きを容易にし、この部分に無理がかからないようにするため

デリックの旋回

 旋回専用の電動機を有し、歯車などで駆動して、ブームを旋回させるデリックがある

 ガイデリックでは、ブルホイールが回転するとき、ブームは旋回するが、マストは回転しない。

 スインガードラムは、2個のドラムで構成されている。

 旋回の制限位置の手前で、ブルホイールに取り付けたストライカによりリミットスイッチを作動させる旋回警報装置がある。

 デリックのブームは、マスト下部とピン結合され、マストと一体になっている。

デリックに関する用語

 デリックとは、荷を動力を用いてつり上げることを目的とする機械装置で、マスト又はブームを有し、原動機を別置し、ワイヤロープにより操作されるものをいう

 ブームを有するデリックにおいて、旋回中心を軸としてブームが回る運動を旋回という。

 起伏とは、ブームがその取付け端を中心にして上下に動くことをいう。

 定格速度とは、デリックに定格荷重に相当する荷重の荷をつって、巻上げ、旋回等の作動を行う場合のそれぞれの最高の速度をいう。

 ブームの傾斜角とは、ブームの中心線と水平面とのなす角をいい、定格荷重はブームの傾斜角に応じて定められることがある

 ブームの傾斜角とは、ブームの中心線と水平面とのなす角をいい、これが小さくなると、揚程も小さくなる。

 荷が上昇する運動を巻上げといい、荷が下降する運動を巻下げという。

クレーンのトロリ又は作動装置

 クラブトロリ式天井クレーンの巻上装置は、トロリ上に設けられている。

 走行装置は、クレーン全体を移動させる装置で、駆動の方法として二電動機式のものが多い。

 ロープトロリは、つり具をつり下げた台車を、ガーダ上などに設置した巻上装置と横行装置によりロープを介して操作する構造である。

 横行装置は、トロリを移動させる装置で、一般に電動機の回転を減速装置で減速し、横行車輪を駆動する。

 引込み装置は、引込みクレーンに取り付けて荷の引込み、押し出しをする装置である

 巻上装置に主巻と補巻を設ける場合、一般に主巻の巻上げ速度は、補巻より遅い。

 マントロリは、トロリに運転室が取り付けられた構造であるが、荷とともに昇降はしない

クレーンのドラム又はシーブ

 ドラムの捨巻きは、ロープの巻締めの摩擦力によりロープに加わる張力を支え、ロープ取付け部に大きな力がかからないようにするためのものである。

 ドラムに対するワイヤロープの端末の止め方は、キー止め、合金止め、ロープ押さえが多く用いられる。

 ドラムの表面には、通常、ロープ溝がねじ状に切ってある。

 エコライザシーブは、左右のワイヤロープの張力をつりあわせるために用いられ、ほとんど回転はしない。

 シーブは、ワイヤロープの案内用の滑車であり、ロープの構成、材質等に応じてシーブ径(D)とロープ径(d)との比(D/d)の最小値が定められている

クレーンの給油又は点検

 減速機箱に収めた歯車へ油浴式で給油する場合の潤滑油は、油量、変質の有無等について定期的に点検し、劣化しているときは、新しい油と交換する。

 点検時は、工具類の落下防止と関係者以外の者のクレーン下への立入禁止の措置を講じる。

 ブレーキのピン周りには給油をし、ブレーキが円滑に作動するようにする。

 給油の際、車輪の踏面やレールの上面に油が付着した場合には、ベンジンなどでよくふき取る。

 ワイヤロープの径を測定する場合は、フックシーブの通過ひん度が高い部分で測定する

デリックの取扱い

 ウインチ仕様のデリックで、作業中停電したときは、ドラムの爪車に止め金を掛け、クラッチを外し、スイッチを切って送電を待つ。

 起伏するブームを有するデリックでは、指定された傾斜角の範囲を超えてブームを起伏させない。

 ドラムフリーにしてブレーキ操作により巻下げを行うデリックでは、急ブレーキを掛けることのないよう慎重に運転する。

 ウインチの原動機の回転中は、ギヤーなどの動力伝達機構の給油や掃除をしない。

 構造上、巻過防止装置を備えることができないデリックは、巻過ぎを防止するためワイヤロープに赤布等の目印を付け、この目印に注意して作業を行う

クレーンの巻過防止装置

 レバー形リミットスイッチによる巻過防止装置は、ねじ形リミットスイッチによるものと比べて作動後の復帰距離が短い。

 直働式の巻過防止装置は、直働式以外の方式に比べて停止精度が良い。

 直働式の巻過防止装置に使われるリミットスイッチは、巻下げ過ぎの制限ができない。

 直働式以外の方式の巻過防止装置は、ワイヤロープを交換した後、作動位置の再調整が必要である。

 レバー形リミットスイッチによる巻過防止装置は、フックブロックの上面によりレバーを押し上げてリミットスイッチを作動させる方式である

クレーンの構造部分

 ガーダは、基本的には主けた、補助けた、水平部材及び筋かい材により構成される。

 ガーダは、トロリ等を支持する構造物で、「けた」とも呼ばれる。

 プレートガーダは、鋼板をI形状に組み立てた構造で、補助けたを設けないこともある。

 橋形クレーンの脚には剛脚と揺脚があり、その構造はボックス構造やパイプトラス構造が多い。

 サドルは、ガーダを支え、走行のための車輪を備えた構造物で、その構造は溝形鋼や鋼板を接合したボックス構造である。

 ボックスガーダは、その断面のみで水平力を十分に支えることができ、補助けたは用いられない

 ジブクレーンのジブは、自重をできるだけ軽くし、剛性を持たせる必要があり、その構造はボックス構造やパイプトラス構造が多い。

 Iビームガーダは、一般に電気ホイストをつり下げたホイスト式天井クレーンやテルハに用いられる。

 トラスガーダは、三角形を単位とした骨組構造で、その断面のみで水平力を支えることができないため、補助けたと組み合わせて用いられる

クレーンの運動とそれに対する安全装置の組合せ

 巻上げ—–ねじ形リミットスイッチによる巻過防止装置

 巻き上げ—-重錘形リミットスイッチによる巻過防止装置

 走行—–斜行防止装置

 横行—–横行車輪直径の1/4以上の高さの車輪止め

 起伏—–傾斜角指示装置

ブームを有するデリックの運動又は作業範囲

 荷が上昇する運動を巻上げといい、荷が下降する運動を巻下げという。

 旋回中心を軸としてブームが回る運動を旋回という。

 デリックの作業範囲は、ブームの長さと起伏限度及び旋回範囲により決まる。

 デリックの作業半径を変えるときは、通常、ブームは伸縮することができないので、ブームの起伏運動により行う。

 ブームの傾斜角が小さくなると作業半径は大きくなる

デリックの種類・形式

 スチフレッグデリックは、1本の直立したマストを通常90°に開いている2本のステーにより後方から支えるもので、ブームはマストより長いものが多い。

 ガイデリックは、荷の巻上げ・巻下げのほかブームの旋回及び起伏を行うことが可能であり、ブームはガイロープをくぐるようにして360°まで旋回する。

 鳥居形デリックは、2本のマストとその上端を結ぶ横ばりからなり、通常、数個のつり具を組み合せて重量物等の特殊な荷の巻上げ・巻下げを行う。

 二又デリックは、2本のマストを互いに交差させ、2本以上のガイロープにより支えるもので、交差部に巻上げ用ワイヤロープが取り付けられる。

 ジンポールデリックは、1本のマストとこれを支える3本以上のガイロープ、ウインチ及び付属品から構成され、マストを傾斜させて使用するデリックである

デリックの取扱い

 巻過防止装置を備えていないデリックは、巻過警報装置を取り付けるか、巻上げ用ワイヤロープに目印をつけて巻過防止を図る。

 起伏するブームを有するデリックでは、指定された傾斜角の範囲を超えてブームを起伏させない。

 ブレーキ操作だけで巻下げの速度調整を行うデリックでは、急ブレーキをかけなくても済むよう速度をあげすぎない。

 コントローラーでブームを操作するデリックでは、作業終了時にブームを所定の位置に戻し、コントローラーのハンドルを停止の位置に戻す。

 ウインチ仕様のデリックで作業中、停電があったときは、ドラムのラチェットの止め金を掛け、クラッチを外し、スイッチを切って送電を待つ

クレーンの種類・形式又は用途

 クラブトロリ式天井クレーンは、トロリフレーム上に巻上装置と横行装置を備え2本のレール上を自走するトロリを有するクレーンで、工場における機械や材料の運搬等に使用される。

 スタッカークレーンは、直立したガイドフレームに沿って上下するフォーク等を持つクレーンである。

 壁クレーンは、建家の壁や柱に取り付けられたクレーンで、水平ジブに沿ってトロリが移動するものが多い

 コンテナクレーンは、ふ頭等においてコンテナをスプレッダでつり上げて、陸揚げ、積込みを行うクレーンである。

 塔形ジブクレーンは、高い塔状の構造物の上に起伏するジブを設けたもので、主に造船所のぎ装用として使用される

 

関係法令

屋内に設置する走行クレーン

 クレーンガーダの歩道(天がいのないもの)とその上方にあるはり等との間隔は、1.8m以上としなければならない。

 クレーンガーダの歩道の上に、歩道からの高さが1.5mの天がいがある場合は、歩道とその上方にあるはり等との間隔は、1.8m以上としなくてもよい。

 クレーンと建設物との間に設ける歩道の幅は、柱に接する部分を除き0.6m以上としなければならない。

 クレーンと建設物との間に設ける歩道のうち、柱に接する部分の幅は、0.4m以上としなければならない。

 クレーンガーダに歩道のないクレーンの最高部とその上方にあるはり等との間隔は、0.4m以上としなくてもよい。

 クレーンの運転台の端とその運転台に通ずる歩道の端との間隔は、原則として0.3m以下としなければならない。

 クレーンガーダに歩道のあるクレーンの最高部(集電装置の部分を除く。)とその上方にあるはり等との間隔は、0.4m以上としなければならない

クレーンの設置、検査又は検査証

 クレーン設置届には、クレーン明細書、クレーンの組立図、構造部分の強度計算書等を添付しなければならない。

 つり上げ荷重3t以上(スタッカー式クレーンにあっては1t以上)のクレーンを設置した者は、所轄労働基準監督署長が検査の必要がないと認めたクレーンを除き、落成検査を受けなければならない。

 クレーン検査証の有効期間は、原則として、2年である。

 クレーンを設置している者は、クレーン検査証を滅失又は損傷したときは、再交付を受けなければならない。

 落成検査における荷重試験は、定格荷重の1.25倍に相当する荷重(定格荷重が200tをこえる場合は定格荷重に50tを加えた荷重)の荷をつって、つり上げ、走行等の作動を行う

クレーンの定期自主検査又は点検

 1年以内ごとに1回行う定期自主検査においては、原則として、定格荷重に相当する荷重の荷をつって行う荷重試験を実施しなければならない。

 1月以内ごとに1回行う定期自主検査においては、フック、グラブバケット等のつり具の損傷の有無についても、検査を行わなければならない。

 作業開始前の点検においては、トロリが横行するレールの状態についても、点検を行わなければならない。

 定期自主検査又は作業開始前の点検を行い、異常を認めたときは、直ちに補修しなければならない。

 定期自主検査を行った場合は、その結果を記録し、これを3年間保存しなければならないが、クレーン検査証にその結果を記載する必要はない

クレーンの運転又は玉掛けの業務

 クレーンの運転の業務に係る特別の教育を受けた者は、つり上げ荷重5.5tの跨線テルハの運転の業務に就くことができる。

 クレーンの運転の業務に係る特別の教育を受けた者は、つり上げ荷重4tのクレーンの運転の業務に就くことができる。

 クレーンに限定したクレーン・デリック運転士免許を受けた者は、つり上げ荷重20tの機上で運転する方式のクレーンの運転の業務に就くことができる。

 クレーンに限定したクレーン・デリック運転士免許を受けた者は、つり上げ荷重5tの機上で運転する方式のクレーンの運転の業務に就くことができる。

 床上運転式クレーンに限定したクレーン・デリック運転士免許を受けた者は、つり上げ荷重10tの床上運転式クレーンの運転の業務に就くことができる。

 床上運転式クレーンに限定したクレーン・デリック運転士免許を受けた者は、つり上げ荷重が5t以上の無線操作式のクレーンの運転の業務に就くことができない

 玉掛け技能講習を修了した者は、つり上げ荷重30tの無線操作式のクレーンの玉掛けの業務に就くことができる。

 限定なしのクレーン・デリック運転士免許を受けた者は、つり上げ荷重5tの跨線テルハの運転の業務に就くことができる。

クレーンの玉掛用具として使用禁止となるもの

 伸びが製造されたときの長さの5%をこえるつりチェーン

 キンクしたワイヤロープ

 安全係数が6未満のワイヤロープ

 ワイヤロープ1よりの間で素線(フィラ線を除く。以下同じ。)の数の10%以上の素線が切断しているワイヤロープ

 直径の減少が公称径の7%を超えるワイヤロープ

 き裂があるつりチェーン

クレーンを用いて作業を行うときの合図、立入禁止の措置又は搭乗の制限

 動力下降以外の方法によって荷を下降させるときは、つり荷の下に労働者を立ち入らせてはならない。

 クレーン運転者と玉掛け作業者に作業を行わせるときは、運転について合図を行う者を指名しなければならない。

 原則として、クレーンにより、労働者を運搬し、又は労働者をつり上げて作業させてはならない。

 バキューム式つり具を用いて玉掛けをした荷がつり上げられているときは、つり荷の下に労働者を立ち入らせてはならない。

 クレーン運転者に単独で作業を行わせるときは、事業者は合図を定めなくてもよい

 リフティングマグネットを用いて玉掛けをした荷がつり上げられているときは、つり荷の下に労働者を立ち入らせてはならない。

 クレーン運転者と玉掛け作業者に作業を行わせるときは、運転について一定の合図を定めなければならない。

 つりクランプ1個を用いて玉掛けをした荷がつり上げられているときは、つり荷の下に労働者を立ち入らせてはならない。

 作業の性質上やむを得ない場合は、専用のとう乗設備を設けることで、クレーンにより、労働者をつり上げて作業させることができる

クレーン・デリック運転士免許

 つり上げ荷重20tのアンローダの運転の業務に従事するときは、免許証を携帯しなければならない。

 免許に係る業務に現に就いている者は、免許証を損傷したときは、免許証の再交付を受けなければならない。

 免許に係る業務に就こうとする者は、免許証を滅失したときは、免許証の再交付を受けなければならない。

 重大な過失により、免許に係る業務について重大な事故を発生させたときは、免許の取消し又は効力の一時停止の処分を受けることがある。

 免許に係る業務に就こうとする者は、本籍又は氏名を変更したときは、免許証の書替えを受けなければならない

 労働安全衛生法違反の事由により免許の取消しの処分を受けた者は、取消しの日から1年間は、免許を受けることができない

 満18歳に満たない者は、免許を受けることができない。

 免許証を他人に譲渡又は貸与したときは、免許の取消し又は効力の一時停止の処分を受けることがある

クレーンの定期自主検査又は点検

 1年以内ごとに1回行う定期自主検査においては、原則として、定格荷重に相当する荷重の荷をつって行う荷重試験を実施しなければならない。

 1月以内ごとに1回行う定期自主検査においては、ワイヤロープ及びつりチェーンの損傷の有無についても、検査を行わなければならない。

 作業開始前の点検においては、ワイヤロープが通っている箇所の状態についても、点検を行わなければならない。

 作業開始前の点検においては、巻過防止装置の機能についても、点検を行わなければならない。

 定期自主検査の結果の記録は、3年間保存しなければならない。

 配電盤の異常の有無については、作業開始前の点検事項に含まれていない

 1月以内ごとに1回行う定期自主検査においては、コントローラーの異常の有無についても、検査を行わなければならない。

 定期自主検査又は作業開始前の点検を行い、異常を認めたときは、直ちに補修しなければならない。

 定期自主検査を行う日後2月以内にクレーン検査証の有効期間が満了するクレーンについては、1年以内ごとに1回行う定期自主検査を行わなくてもよい

デリックの使用

 デリックを使用するとき、やむを得ない事由により、定格荷重をこえないことが著しく困難な場合は、所定の措置を講じて落成検査の荷重試験でかけた荷重まで荷重をかけて使用することができる。

 つり上げ荷重が2t以上のブームを有するデリックについては、デリック明細書に記載されているブームの傾斜角の範囲をこえて使用してはならない。

 デリックの直働式の巻過防止装置は、つり具等の上面とブームの先端のシーブ等の下面との間隔が0.05m以上になるよう調整しておかなければならない。

 デリック検査証を受けたデリックを用いて作業を行うときは、当該作業を行う場所に、デリック検査証を備え付けておかなければならない。

 デリック作業中に、安全装置を取り外さなければならない状態が発生した場合は、事業者の許可を受けなければならない

デリックの検査又は届出

 デリックのつり上げ機構を変更しようとする事業者は、原則として、工事開始の日の30日前までにデリック変更届を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

 デリックのブームに変更を加えた者は、原則として、変更検査を受けなければならない。

 デリックの変更検査を受ける者は、荷重試験のための荷及び玉掛用具を準備しなければならない。

 所轄労働基準監督署長は、使用再開検査のために必要があると認めるときは、検査を受ける者に安全装置を分解するよう命ずることができる。

 性能検査における荷重試験は、定格荷重に相当する荷重の荷をつって、つり上げ、旋回及びブームの起伏の作動を定格速度により行う

 使用再開検査における荷重試験は、定格荷重の1.25倍に相当する荷重の荷をつって、つり上げ、旋回及びブームの起伏の作動を行う。

 所轄労働基準監督署長は、使用再開検査のために必要があると認めるときは、検査を受ける者に安全装置を分解するよう命ずることができる。

 性能検査においては、デリックの各部分の構造及び機能について点検を行うほか、荷重試験を行う

クレーンの使用

 クレーンは、原則として、定格荷重をこえる荷重をかけて使用してはならない。

 クレーンの運転者は、荷をつったままで運転位置を離れてはならない。

 クレーン検査証を受けたクレーンを用いて作業を行うときは、当該作業を行う場所に、クレーン検査証を備え付けておかなければならない。

 クレーン検査証を受けたクレーンを貸与するときは、クレーン検査証とともに貸与しなければならない。

クレーンの落成検査

 落成検査における安定度試験は、定格荷重の1.27倍に相当する荷重の荷をつって、安定に関し最も不利な条件で地切りすることにより行う。

 落成検査における荷重試験は、定格荷重の1.25倍に相当する荷重(定格荷重が200tをこえる場合は定格荷重に50tを加えた荷重)の荷をつって、つり上げ、走行等の作動を行う。

 所轄労働基準監督署長は、落成検査のために必要があると認めるときは、検査を受ける者に安全装置を分解するよう命ずることができる。

 落成検査を受ける者は、当該検査に立ち会わなければならない。

 転倒するおそれのないクレーンの落成検査においては、安定度試験は行われない

クレーンの使用

 クレーンを用いて作業を行うときは、クレーンの運転者及び玉掛けをする者が当該クレーンの定格荷重を常時知ることができるよう、表示等の措置を講じなければならない。

 クレーンの運転者を、荷をつったままで運転位置から離れさせてはならない。

 クレーンの直働式以外の巻過防止装置は、つり具等の上面とドラム等の下面との間隔が0.25m以上になるように調整しておかなければならない。

 労働者からクレーンの安全装置の機能が失われている旨の申出があったときは、すみやかに、適当な措置を講じなければならない。

 油圧式のクレーンの安全弁は、定格荷重に相当する荷重をかけたときの油圧に相当する圧力以下で作用するように調整しておかなければならない

デリックの組立て作業を行うときに講じなければならない措置

 強風等の悪天候のため、作業の実施に危険が予想されるときは、当該作業に労働者を従事させないこと。

 作業を指揮する者に、作業中、安全帯等及び保護帽の使用状況を監視させること。

 作業を指揮する者に、作業で使用する器具及び工具の機能を点検させ、不良品を取り除かせること。

 作業を指揮する者に、作業の方法及び労働者の配置を決定させ、作業を指揮させること。

クレーンの合図、立入禁止の措置又は搭乗の制限

 動力下降以外の方法によって荷を下降させるときは、つり荷の下に労働者を立ち入らせてはならない。

 クレーン運転者が単独で作業をするときは、合図を行う必要はない。

 原則として、クレーンにより労働者を運搬し、又は労働者をつり上げて作業させてはならない。

 バキューム式つり具を用いて玉掛けをした荷がつり上げられているときは、つり荷の下に労働者を立ち入らせてはならない。

 クレーンを用いて作業を行うときは、合図を行う者を事業者が指名しなければならない

 つりクランプ1個を用いて玉掛けをした荷がつり上げられているときは、つり荷の下に労働者を立ち入らせてはならない。

 動力下降の方法によってつり具を下降させるとき、つり具の下に労働者を立ち入らせることは禁止されていない。

 クレーン運転者と玉掛け作業者と合図者でクレーンを用いて作業を行うとき、クレーン運転者は、合図者の行う合図に従わなければならない。

 クレーン運転者と玉掛け作業者と合図者でクレーンを用いて作業を行うとき、合図者は、定められた合図を行わなければならない。

 ハッカーを用いて玉掛けをした荷がつり上げられているときは、つり荷の下に労働者を立ち入らせてはならない

天井クレーンの検査又は届出

 性能検査においては、クレーンの各部分の構造及び機能について点検を行うほか、荷重試験を行う。

 性能検査における荷重試験は、定格荷重に相当する荷重の荷をつって、つり上げ、走行等の作動を定格速度により行う。

 クレーンのつり上げ機構を変更しようとする事業者は、原則として、工事開始の日の30日前までにクレーン変更届を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

 使用再開検査における荷重試験は、定格荷重の1.25倍に相当する荷重の荷をつって、つり上げ、走行等の作動を行う。

 変更検査における荷重試験では、定格荷重の1.25倍に相当する荷重の荷をつって、つり上げ、走行、旋回、トロリの横行等の作動が行われる

デリックの製造、設置又はデリック検査証

 つり上げ荷重3tのデリックを製造しようとする者は、原則として、あらかじめ所轄都道府県労働局長の許可を受けなければならない。

 つり上げ荷重2tのデリックを設置しようとする事業者は、工事開始の日の30日前までにデリック設置届を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

 つり上げ荷重1tのデリックを設置しようとする事業者は、あらかじめ、デリック設置報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

 所轄労働基準監督署長は、落成検査に合格したデリックのデリック検査証の有効期間を、検査の結果により2年未満とすることができる。

  デリック検査証を受けたデリックを設置している者に異動があった場合、当該異動後10日以内に所轄労働基準監督署長によるデリック検査証の書替えを受けなければならない

デリックの組立て・解体時、悪天候時又は地震発生時の措置

 デリックの組立て又は解体の作業を行うときは、作業指揮者を選任して、その者の指揮のもとに作業を実施させなければならない。

 デリックの組立て又は解体の作業を行うときは、作業を行う区域に関係労働者以外の労働者が立ち入ることを禁止しなければならない。

 大雪のため、デリックの組立て又は解体の作業の実施について危険が予想されるときは、当該作業に労働者を従事させてはならない。

 屋外に設置されているデリックについては、瞬間風速が毎秒30mをこえる風が吹くおそれがあるときは、ブームをマスト又は地上の固定物に固縛する等の措置を講じなければならない。

  中震以上の地震が発生した後にデリックを用いて作業を行うときは、デリックの各部分の異常の有無について点検を行い、その結果を記録しなければならない

デリックの検査

 デリック検査証の有効期間の更新を受けようとする者は、原則として、登録性能検査機関が行う性能検査を受けなければならない。

 デリックのつり上げ機構に変更を加えても、変更検査を受ける必要はない。

 使用再開検査を受ける者は、当該検査に立ち会わなければならない。

 所轄労働基準監督署長は、変更検査に合格したデリックについて、デリック検査証に検査期日、変更部分及び検査結果について裏書を行う。

 性能検査における荷重試験は、定格荷重に相当する荷重の荷をつって、つり上げ、旋回及びブームの起伏の作動を定格速度により行う

 

給電装置原動機及びデリックに関する知識

 トロリ線の材料には、溝付硬銅トロリ線、平銅バー、レールなどが用いられる。

 トロリ線に接触する集電子には、ホイール又はシューが用いられている。

 トロリ線に接触する集電子は、クレーン本体から絶縁する必要があるため、碍子などの絶縁物を介してクレーン本体に取り付けられる。 

 トロリ線給電には、取付け方法によりイヤー式とすくい上げ式がある

 イヤー式トロリ線は、碍子を介して建家に取り付けられる。

 イヤー式トロリ線給電は、トロリ線の充電部が露出しており、設置する場所によっては感電する危険がある。

 絶縁トロリ線方式給電は、すその開いた絶縁物で被覆したトロリ線を用い、その間を集電子がしゅう動して集電する方式である。

 絶縁トロリ線方式の給電は、裸のトロリ線方式に比べ安全性が高い。

 すくい上げ式トロリ線給電は、小容量の屋内天井クレーンに用いられることが多い

 旋回体への給電には、スリップリングを用いた給電方式が採用されている。

 スリップリングは、リングと集電ブラシで構成され、リングの材質には一般に砲金が用いられる。

 スリップリングの機構には、集電ブラシがリング面上をしゅう動して集電するものがある。

 旋回体やケーブル巻取式などの回転部分への給電には、スリップリングが用いられる

 ケーブル巻取式給電は、ぜんまいばね又は電動機を動力としてキャブタイヤケーブルを巻き取る給電方式で、スリップリングを用いる方式である

 集電装置は、トロリ線から電力を取り込む部分で、トロリ線の取付け方式に応じてパンタグラフ、固定形などが用いられる。

 パンタグラフのホイールやシューの材質には、砲金、カーボン、特殊合金などが用いられる。

 爆発性のガスや粉じんが発生するおそれのある場所では、キャブタイヤケーブルを用いた防爆構造の給電方式が用いられる。

 キャブタイヤケーブル給電は、露出した充電部がなく、安全性が高い

 キャブタイヤケーブルは、導体に細い素線を使い、これを多数よりあわせており、外装被覆も厚く丈夫に作られているので、伸縮、屈曲を繰り返す用途に適している。

 ホイールやシューの材質には、砲金、カーボン、特殊合金などが用いられる。  

 クレーンの内部配線は、外部からの損傷や日光の直射を防ぐため、一般に絶縁電線を金属管等の電線管又は金属ダクト内に収めている。
 

感電災害及びその防止

 汗をかいたり、水にぬれているときは、感電する危険性が高くなる。

 電気火傷は、皮膚の深くまで及ぶことがあり、外見に比べ重傷であることが多い。

 接地線は、十分な太さのものを使用する。

 感電した者の救出は、電源スイッチを切るなどによりその者を電気回路から切り離してから行う。

 感電による傷害の程度は、人体を流れる電流の大きさと通電時間が大きく関係する

電動機の始動方法又は速度制御方式

 かご形三相誘導電動機の緩始動には、リアクトル等による電気的な方法と、流体継手等を用いる機械的な方法がある。

 巻線形三相誘導電動機は、荷の巻上げや走行、横行のときは、二次抵抗の加減によって、ある程度速度制御ができる。

 巻線形三相誘導電動機の電動油圧押上機ブレーキ制御は、機械的な摩擦力を利用して速度制御するため、ブレーキドラムが過熱することがある。

 巻線形三相誘導電動機の渦電流ブレーキ制御は、荷の巻下げ時の低速を得る電気ブレーキで、電動油圧押上機ブレーキのブレーキライニングのような消耗部分がない。

 巻線形三相誘導電動機のダイナミックブレーキ制御は、電動機一次側を直流励磁して制動する方式で、つり荷が軽い場合には低速での巻下げができない

電気

 直流は、常に一定の方向に電流が流れる。 

 直流は、電流の方向と大きさが一定であるが、電圧を変圧器によって変えることはできない

 直流は、乾電池やバッテリーから得られるほか、シリコン整流器等により交流を整流しても得られる。

 交流は、整流器で直流に変換できるが、得られた直流は完全に平滑ではなく、脈流と呼ばれる。

 交流はAC、直流はDCと表される。

 交流の周波数の単位はHzで、1秒間に電流や電圧の波形の変化が周期的に繰り返される数を示す。

 交流用の電圧計や電流計の計測値は、電圧や電流の実効値を示している。

 交流は、電流及び電圧の大きさ及び方向が周期的に変化する。

 電力会社から供給される交流電力の周波数は、おおむね東日本では50Hz、西日本では60Hzである。

 三相交流は、主に工場などの生産設備の動力用電源に使用されている。

 発電所から変電所までは、特別高圧で送電されている。

 工場の動力用電源には、一般に200V級又は400V級の三相交流が使用されている

 シリコン整流器等により交流を整流して得られる直流は、完全には平滑でないので脈流という。 

 電動機は、電気エネルギーを機械力に変換する機能を持っている。

 家庭の電灯や電化製品には、単相交流が使用されている。
 
電圧、電流、抵抗又は電力

 抵抗を並列につないだときの合成抵抗の値は、個々の抵抗の値のどれよりも小さい。

 回路の抵抗が同じ場合、回路に流れる電流が大きいほど回路が消費する電力は大きくなる。

 回路の抵抗は、回路にかかる電圧を回路に流れる電流で除して求められる。

 回路に流れる電流の大きさは、回路にかかる電圧に比例し、回路の抵抗に反比例する。

 回路の抵抗は、回路の電圧を回路に流れる電流で除して求められる。

 抵抗の単位はオーム(Ω)で、1,000,000Ωは1MΩと表すことがある

 抵抗を並列につないだときの合成抵抗の値は、個々の抵抗の値のどれよりも小さい。

 抵抗に電流が流れたときに発生する熱をジュール熱という。

 抵抗を並列につないだときの合成抵抗の値は、個々の抵抗の値のどれよりも小さい。  

 電力を表す単位は、ワット(W)である。 回路が消費する電力は、回路にかかる電圧と回路に流れる電流の積で求められる。

 同じ物質の導体の場合、抵抗の値は、長さに比例し、断面積に反比例する。

 同じ物質の導体の場合、長さが2倍になると抵抗の値は2倍になり、断面積が2倍になると抵抗の値は1/2倍になる。

 電流の単位はアンペア(A)、電圧の単位はボルト(V)、電力の単位はワット(W)である。

 抵抗の単位はオーム(Ω)で、1000000Ωは1MΩと表すことがある

電気の導体、絶縁体又はスパーク

 黒鉛は、電気の導体である。 空気は、電気の絶縁体である。

 黒鉛は導体、シリコンは半導体、セラミックは絶縁体である

 ナイフスイッチの開閉は、スパークの発生につながるので迅速に行う。

 ナイフスイッチは、入れるときよりも切るときの方がスパークが大きいので、切るときはできるだけスイッチに近づかないようにして行う。

 スパークにより火花となって飛んだ粉は、絶縁体を劣化させて、漏電や短絡の原因になる。

 スパークは、回路にかかる電圧が高いほど大きくなり、その熱で接点の溶損や焼付きを発生させることがある。

 絶縁体は、湿気を帯びたり、日光、風雨などにより変質したり、外部からの損傷を受けることなどにより劣化する

 絶縁体の表面が、カーボンや銅の粉末などのような導電性の物で汚損すると、絶縁の劣化の原因となる。 

 ポリエチレン樹脂は、電気の絶縁体である。

 アルミニウム、銅及びニクロム線は、電気の導体である。

 絶縁抵抗は、メガーを用いて測定する。

 電動機のスリップリングとブラシの間のしゅう動面は、汚れたり、荒れたりしているとスパークが発生しやすい。

 ゴムは、電気の絶縁体である。

 磁器は、電気の絶縁体である

 アルミニウムは、電気の導体である。
 
 黒鉛は、電気の導体である

電気機器の故障の原因、電気計器の使用方法

 電動機が振動する場合の原因の一つとして、軸受が摩耗していることがあげられる。

 過電流継電器が作動する場合の原因の一つとして、負荷が大き過ぎることがあげられる。

 電流計は、測定する回路に直列に接続して測定する。

 回路計(テスター)は、正確な値を測定するため、あらかじめ調整ねじで指針を「0」に合わせておく。

 電源側の配線が断線している場合は、通電がないため電動機は起動しない

電動機

 クレーンのように始動、停止、正転、逆転を頻繁に繰り返す用途には、巻線形三相誘導電動機が多く用いられている。

 クレーンでは特殊な場合を除き、ほとんど三相誘導電動機が用いられている。

 三相誘導電動機の回転子は、負荷がかかると同期速度より2~5%程度遅く回転する。

 三相誘導電動機の回転子の構造は、かご形では太い導線(バー)がかご形に配置され、巻線形では巻線になっている

 三相誘導電動機の同期速度は、極数が多いほど遅くなる

 三相誘導電動機は、広く一般産業用に用いられている。 

  三相誘導電動機の回転子は、固定子に三相交流を流すと生じる回転磁界により回転する。

 同期速度が毎分1000回転の三相誘導電動機の回転子は、滑りが5%のとき、毎分950回転で回転する。

 直流電動機では、回転子に給電するために整流子が使用される。 

 直流電動機は、一般に速度制御性能が優れているが、整流子及びブラシの保守が必要である。

 直流電動機では、固定子を界磁、回転子を電機子と呼ぶ

 直流電動機は、一般に速度制御性能が優れているため、コンテナクレーン、アンローダ等に用いられている。 

 巻線形三相誘導電動機では、固定子側を一次側、回転子側を二次側と呼ぶ。

 巻線形三相誘導電動機では、固定子側を一次側、回転子側を二次側と呼ぶ。

 巻線形三相誘導電動機は、回転子も巻線になっており、スリップリングを通して外部抵抗と接続される。 

 かご形三相誘導電動機は、インバーター制御を採用することで比較的大容量のクレーンにも用いられる。

 かご形三相誘導電動機の回転子は、鉄心のまわりに太い導体がかご形に配置された簡単な構造である。 

電動機の制御

 直接制御は、容量の大きな電動機ではハンドル操作が重くなるので使用できない。

 直接制御は、電動機の主回路を制御器の内部接点で直接開閉する方式で、間接制御に比べ、制御器のハンドル操作が重く、運転者の疲労が大きい。

 間接制御は、直接制御に比べ、ハンドル操作は軽く自動運転や速度制御がしやすい

 間接制御は、電動機の主回路に挿入した電磁接触器が主回路の開閉を行い、制御器はその電磁接触器の電磁コイル回路を開閉する方式である。

 間接制御は、直接制御に比べ、制御器は小型軽量であるが、設備費が高い。

 間接制御では、加速・減速を自動的に行う回路を組み込み、急激なハンドル操作でも電動機に対する悪影響を少なくすることができる。

 巻線形三相誘導電動機の半間接制御は、電流の多い一次側を電磁接触器で制御し、電流の比較的少ない二次側を直接制御器で制御する方式である。 

 巻線形三相誘導電動機の半間接制御は、一次側を間接制御、二次側を直接制御によって行う。

 三相誘導電動機の電源の3相のうち2相を入れ替えると、回転方向が変わる。

 コースチングノッチは、制御器の第1ノッチに設けられ、ブレーキにのみ通電してブレーキを緩めるようになっているノッチである。

 操作用制御器の第1ノッチとして設けられるコースチングノッチは、停止時の衝撃や荷振れを防ぐのに有効なノッチである。

 ゼロノッチインターロックは、各制御器のハンドルが停止位置以外にあるときは、主電磁接触器を投入できないようにしたものである。

 半間接制御は、巻線形三相誘導電動機の一次側を電磁接触器で制御し、二次側を直接制御器で制御する方式である

クレーンの電動機の付属機器

 カム形制御器は、カム周辺に固定されたスイッチにより電磁接触器の操作回路を開閉する間接制御器である。

 抵抗器は、運転中に350℃程度まで温度が上昇することがあるので、その近くに可燃物を置かない。

 無線操作用の制御器には、切り換え開閉器により、機上運転に切り換えることができる機能をもつものがある。

 クレーンの運転終了時は、主電磁接触器を開き、次に共用保護盤の主配線用遮断器を開く。

 エンコーダー型制御器は、ハンドル位置を連続的に検出し、電動機の主回路を間接開閉する間接制御器である

 間接制御器には、カム形制御器やエンコーダー型制御器がある。

 クランクハンドル式の制御器は、操作ハンドルを水平方向に回して操作する構造である。

 無線操作用の制御器には、押しボタン式とハンドル操作式とがある。

 抵抗器は、特殊鉄板を打ち抜いたもの又は鋳鉄製の抵抗体を絶縁ロッドで締め付け、格子状に組み立てたものである。

 ユニバーサル制御器は、1本の操作ハンドルで前後左右に操作することにより、2個の制御器を同時に又は単独で操作できる構造にしたものである

接地(アース)

 天井クレーンは、走行車輪を経て走行レールに接触しているため、走行レールが接地されている場合にはクレーンは接地されていることになる。

 接地線は、十分な太さのものを使用する。

 電動機の外被などが接地されていると、漏電した電流は接地した方へ流れる。

 接地は、漏電している電気機器のフレームなどに人が接触したとき、感電による傷害を小さくする効果がある。

 接地抵抗は、小さいほどよい。接地抵抗が大きいと、大地に対しての導電性が悪くなり、接地効果が薄れる

電動機の速度制御方式

 巻線形三相誘導電動機の電動油圧押上機ブレーキ制御は、電動油圧押上機ブレーキの制動力を利用し、巻下げ時の電動機の回転速度が速くなれば制動力が大きく、遅くなれば制動力が小さくなるように制御を行う。

 かご形三相誘導電動機のインバーター制御は、電動機に供給する電源の周波数や電圧を変えることにより速度制御を行う。

 巻線形三相誘導電動機のダイナミックブレーキ制御は、電動機の一次側を交流電源から切り離して、一次側に直流励磁を加えて速度制御を行う。

 かご形三相誘導電動機では、緩始動を行う機械的な方法として流体継手を使用する方法がある。

 巻線形三相誘導電動機の外部抵抗による速度制御は、回転子(二次側)の巻線に外部抵抗器を接続し、抵抗値を変化させて行う

電気機器の故障の原因

 電動機がうなるが起動しない場合の原因の一つとして、ブレーキが開放しないことがあげられる。

 電動機が振動する場合の原因の一つとして、締付けボルトに緩みがあることがあげられる。

 集電装置に激しい火花が発生する場合の原因の一つとして、トロリ線にうねりがあることがあげられる。

 過電流継電器が作動する場合の原因の一つとして、インチング運転の頻度が大きいことがあげられる。

 電源側の配線が断線している場合は、通電がないため電動機は起動しない

電動機の速度制御方式

 巻線形三相誘導電動機の二次抵抗制御は、走行、旋回、巻上げ等の速度制御に用いられるが、巻下げの速度制御ではこの方法と他の速度制御方式とを組み合わせて用いられる。

 巻線形三相誘導電動機のダイナミックブレーキ制御は、つり荷が軽いか又は全くない場合には、低速では巻下げができない。

 巻線形三相誘導電動機の二次抵抗制御は、電動機の回転子の巻線に接続した抵抗器の抵抗値を変えることにより速度制御を行う方式である。

 巻線形三相誘導電動機の電動油圧押上機ブレーキ制御は、電動油圧押上機ブレーキの制動力を制御して巻下げ時の低速を得る方式である。

 かご形三相誘導電動機のインバーター制御は、インバーター装置を利用して電動機電源の周波数や電圧を変換し、速度制御を行うもので、VVVF制御とも呼ばれる。

 かご形三相誘導電動機を用いる巻上装置の始動を行うときは、通常、全電圧始動を行う。

 かご形三相誘導電動機では、極数変換により速度制御を行う場合は、速度比2 間接制御では、加速・減速を自動的に行う回路を組み込み、急激なハンドル操作でも電動機に対する悪影響を少なくすることができる。

 かご形三相誘導電動機のインバーター制御は、電動機に供給する電源の周波数を変えて速度制御を行う方式である

 直流電動機のサイリスターレオナード制御は、サイリスター装置により交流電源を直流電源に変換する可変電圧制御方式である

クレーンの電動機の付属機器

 間接制御器には、カム形制御器やエンコーダー型制御器がある。

 クランクハンドル式の制御器は、操作ハンドルを水平方向に回して操作する構造である。

 無線操作用の制御器には、押しボタン式とハンドル操作式とがある。

 抵抗器は、特殊鉄板を打ち抜いたもの又は鋳鉄製の抵抗体を絶縁ロッドで締め付け、組み立てたものである。

 ユニバーサル制御器は、1本の操作ハンドルで前後左右に操作することにより、2個の制御器を同時に又は単独で操作できる構造にしたものである

感電災害及びその防止

 100V以下の低圧であっても、感電によって人体を流れる電流が大きいと死亡することがある。

 感電防止のために、肌を出さない服装にし、清潔で乾いた衣服、ゴム手袋、ゴム底の靴を着用する。

 接地は、漏電している電気機器のフレームなどに人が接触したとき、感電による傷害を小さくする効果がある。

 感電災害には、電圧の高い送電線に近づいた場合に放電により発生するものがある。

 感電による危険を電流と時間の積によって評価する場合、一般に50ミリアンペア秒をもって安全限界としている

電気機器の故障の原因、電気計器の使用方法

 電動機が始動した後、回転数が上がらない場合の原因の一つとして、電源の電圧降下が大きいことがあげられる。

 電磁ブレーキのコイルが過熱する場合の原因の一つとして、鉄心を完全に吸着しないことがあげられる。

 電流計は測定する回路に直列に接続し、電圧計は測定する回路に並列に接続する。

 大電流を測定する場合、交流では変流器を使用して電流を測定する。

 過電流継電器が作動する場合の原因として、負荷が大きすぎる、インチング運転の頻度が高い、回路が短絡していることなどがあげられる

かご形三相誘導電動機の説明

 回転子は、鉄心のまわりに太い導線(バー)がかご形に配置された簡単な構造である。

 巻線形三相誘導電動機に比べて簡単な構造であり、故障が少なく取扱いも容易である。

 二次側には、スリップリングはない。

 露出導電部がないので、粉じん濃度がある程度高い環境でも使用できる。

 回転子は、固定子側の回転磁界により回転するが、同期速度より2~5%程度遅く回転する性質がある

クレーンの電動機の付属機器

 カム形制御器は、カム周辺に固定されたスイッチにより電磁接触器の操作回路を開閉する間接制御器である。

 ユニバーサル制御器は、一つのハンドルを前後左右や斜めに操作できるようにしたもので、二つの制御器を同時に又は単独で操作できる構造になっている。

 共用保護盤は、外部より供給された電力を各制御盤へ配電することを主目的とし、各電動機やその回路を保護するための装置をひとまとめにしたものである。

 配線用遮断器は、通常の負荷電流の開閉のほか、過負荷、短絡などの際には、自動的に回路の遮断を行う機器である。

 エンコーダー型制御器は、ハンドル位置を連続的に検出できる間接制御器である。

電気機器の故障の状態とその原因

 集電装置の火花が激しい—–シューの接触圧力が弱い

 電動機が全く起動しない—–端子の外れ

 電動機がうなるが起動しない—-ブレーキが開放しないことがあげられる。

 電動機が振動する—–締付けボルトのゆるみ

 過電流継電器が作動する—–負荷が過大

 過電流継電器が作動す集電装置に激しい火花が発生する—-トロリ線に曲がり・うねりがある

感電災害及びその防止

 汗をかいたり、水にぬれているときは、感電の危険性は高くなる。

 電気火傷は、皮膚の深くまで及ぶことがあり、外見に比べ重傷であることが多い。

 接地は、漏電している電気機器のフレームなどに人が接触したとき、感電による傷害を少なくする効果がある。

 機器の絶縁性能の劣化やコードの機器引込み部の絶縁被覆の損傷の有無について、常に点検整備を怠らないようにする。

 100V以下の低圧であっても、感電によって人体を流れる電流が大きいと死亡することがある

クレーンの電動機の付属機器

 間接制御器には、カム形制御器やエンコーダー型制御器がある。

 クランクハンドル式の制御器は、操作ハンドルを水平方向に回して操作する構造である。

 無線操作用の制御器には、押しボタン式とハンドル操作式とがある。

 抵抗器は、特殊鉄板を打ち抜いたもの又は鋳鉄製の抵抗体を絶縁ロッドで締め付け、組み立てたものである。

 押しボタンスイッチは、間接制御器の一種であり、電動機の正転と逆転のボタンを同時に押せない構造となっているものが多い

巻線形三相誘導電動機の速度制御方式

 電動油圧押上機ブレーキ制御は、電動油圧押上機ブレーキの制動力を利用し、巻下げ時の電動機の回転速度が速くなれば制動力を大きく、速度が遅くなれば制動力が小さくなるように制御を行う。

 渦電流ブレーキ制御は、電動機に渦電流ブレーキを連結して用いられる電気的なブレーキであり、ブレーキライニングのような消耗部分がなく、制御性も優れている。

 ダイナミックブレーキ制御は、電動機の一次側を交流電源から切り離して、一次側に直流励磁を加えて速度制御を行う。

 サイリスター一次電圧制御は、電動機の回転数を検出し、指定された速度と比較しながら制御するため、きわめて安定した速度が得られる。

 二次抵抗制御は、電動機の回転子の巻線に接続した抵抗器の抵抗値を変えて速度制御を行うもので、二次抵抗制御のみでは巻下げの速度制御はできないが、巻上げの速度制御はできる

 

力学に関する知識

物体の質量又は比重

 鋼1㎥の質量はおよそ7.8tで、鋳鉄1㎥の質量はおよそ7.2tである。

 アルミニウムの比重は、およそ2.7である。

 アルミニウムの丸棒が、その長さは同じで、直径が3倍になると、質量は9倍になる。

 アルミニウム1㎥の質量と水2.7㎥の質量はほぼ同じである。

 平地でも高い山においても、同一の物体の質量は変わらない。

 銅1㎥の質量と水8.9㎥の質量は、ほぼ同じである。

 鉛1㎥の質量は、コンクリート1㎥の質量の約5倍である。

 鉛1㎥の質量は11.4t、コンクリート1㎥の質量は2.3t

 物体の質量とその物体と同じ体積の4℃の純水の質量との比をその物体の比重という

 全体が均質な球体で、比重が1より大きい物体は水に沈む。

 物体の質量をW、その体積をVとすれば、物体の単位体積当たりの質量dは、d=W/Vで求められる。

 形状が立方体で材質が同じ物体では、各辺の長さが2倍になると質量は8倍になる。

荷重

 一箇所又は非常に狭い面積に作用する荷重を集中荷重という。

 クレーンのフックには、引張荷重と曲げ荷重がかかる。

 クレーンの巻上げドラムの軸には、曲げ荷重とねじり荷重がかかる

 クレーンのシーブを通る巻上げ用ワイヤロープには、引張荷重と曲げ荷重がかかる。

 天井クレーンのガーダには、主に、曲げ荷重がかかる。

 衝撃荷重は、極めて短時間に急激に加わる荷重である。 

 荷を巻下げしているときに急制動すると、玉掛け用ワイヤロープには衝撃荷重がかかる。

 静荷重は、荷をつり上げて静止した状態のように、力の大きさと向きが変わらない荷重である。 

 繰返し荷重には、片振り荷重と両振り荷重がある。

 繰返し荷重のうち、力の向きと大きさが時間とともに変わる荷重を両振り荷重という。

 片振り荷重は、力の向きは同じであるが、力の大きさが時間とともに変わる荷重である。

 せん断荷重は、材料を押し切るように働く荷重である。

 つり荷を急激につり上げると、ワイヤロープには衝撃荷重がかかる。

 玉掛け用ワイヤロープを掛けるフックには、引張荷重と曲げ荷重がかかる。  

 衝撃荷重は、極めて短時間に急激に力が加わる荷重である。

 丸棒の一端を固定したときに、他端を棒の軸を中心に回そうとする荷重はねじり荷重である。

 材料を押し縮めるように働く荷重を圧縮荷重という

物体の重心又は安定

 直方体の物体の置き方を変える場合、物体の底面積が小さくなるほど安定性は悪くなる。

 直方体の物体の置き方を変える場合、重心の位置が低くなるほど安定性は良くなる

 直方体の物体の重心を通る鉛直線が、底面の外側に出てしまったときは、物体は元に戻らないで転倒する。

 物体は、一般に、重心が低く、底面が広い方が安定性が良い。

 物体を一点づりすると、その重心は必ずつった点を通る鉛直線上にある。

 物体を構成する各部分には、それぞれ重力が作用しており、それらの合力の作用点を重心という。

 物体の重心の位置は、形状によっては必ずしも物体内にあるとは限らない

 同じ物体でも、その置き方によって床面からの重心の高さが変わることがある。 

 物体を少し傾けた場合に、重心を通る鉛直線が物体の底面より内側にあれば、物体は倒れない 

 静止している物体に手で力を加えて少し傾け、手を離したとき、その物体が元の位置に戻ろうとする場合、その物体は安定な状態という。

 安定な状態にある物体であっても、すわりが良い状態とすわりが悪い状態とがある。  

 物体の置き方を変えても、物体内での重心の位置は変わらない。

 物体を構成する各部分には、それぞれ重力が作用しており、それらの合力の作用点を重心という。

 物体の重心はただ一つである

物体の運動

 ある物体が他の物体に対してその位置を変えることを運動という。

 等速運動とは、速さが変わらず、どの時間をとっても同じ速さである運動をいう。

 物体が円運動をしているとき、物体には円の外に飛び出そうとする遠心力が働く。

 物体が円運動をしているとき、物体の速さを大きくすると、遠心力は大きくなる

 物体が円運動をしているとき、遠心力は、物体の質量が大きいほど、また、速く回っているほど大きくなる。

 物体が円運動を行っているとき、遠心力は、向心力に対して、力の大きさが等しく、方向が反対である。

 静止している物体を動かしたり、運動している物体の速さや運動の方向を変えるためには力が必要である。

 運動している物体の運動の方向を変えるのに要する力は、物体の質量が大きいほど大きくなる。

 外から力が作用しない限り、静止している物体は静止の状態を、また、運動している物体は同一の運動の状態を続けようとする性質を慣性という。

 運動している物体には、外部から力が作用しない限り、永久に同一の運動を続けようとする慣性が働く

 運動の向きと速さを示す量を速度といい、速度の変化の程度を示す量を加速度という。

 物体に加速度が生じるとき、次第に速度が増加する場合を正の加速度、減少する場合を負の加速度という。  

 物体の運動の速い遅いの程度を表す量を速さといい、単位時間に物体が移動した距離で表す。   

材料(軟鋼)の強さ、応力

 材料に力を加えて変形した場合、変形した量の元の量に対する割合をひずみという。

 せん断応力は、材料に作用するせん断荷重を材料の断面積で除して求められる。

 材料に荷重が作用し、伸びたり、縮んだりして形が変わることを変形という。

 荷重が作用する物体の内部に生じる応力の大きさは、単位面積当たりの力の大きさで表す。

 圧縮応力は、材料に作用する圧縮荷重を材料の断面積で除して求められる

 材料にかける引張荷重をある程度以上大きくすると、荷重を取り除いても元の形に戻らなくなる。

 材料の引張試験において、材料(試験片)が切断するまでかけられる最大の荷重を切断荷重という

 安全な静荷重より小さな荷重であっても、くり返し負荷すると、材料は疲労破壊することがある。

 材料に荷重をかけると荷重に応じて変形が生じるが、荷重がごく小さい間は荷重を取り除くと元の形に戻る。

 引張試験において、材料(試験片)にかけることができる最大の荷重を材料の原断面積で割った値を引張強さという。  

  材料に圧縮荷重が作用すると、材料の内部に圧縮応力が生じる。

  ドラムに巻き取られたワイヤロープに生じる曲げ応力は、ドラムの径が小さいほど大きくなる。

  ワイヤロープの切断荷重を安全係数で割った値が安全荷重である

 一般に、力が物体に作用する位置を変えると、力の大きさは同じでも、物体に与える効果が変わる。

 一点に作用する互いにある角度を持つ二つの力の合力は、力の平行四辺形の法則によって求められる。

 物体に作用する一つの力を、互いにある角度を持つ二つ以上の力に分けることを力の分解という。

 力の大きさをF、腕の長さをLとすれば、力のモーメントMは、M=F×Lで求められる。

 力の作用と反作用とは、同じ直線上で作用し、大きさが等しく、向きが反対である

 力の三要素とは、力の大きさ、力の向き、力の作用点をいう。

 物体の一点に二つ以上の力が働いているとき、その二つ以上の力をそれと同じ効果をもつ一つの力にまとめることができる。

 力の作用と反作用とは、同じ直線上で作用し、大きさが等しく、向きが反対である。

 力のモーメントの大きさは、力の大きさが同じであれば腕の長さに比例する。

 二つの力が一直線上に作用するとき、その合力の大きさは、力の向きが同じなら和で、力の向きが逆なら差で求められる

 物体の一点に二つ以上の力が働いているとき、その二つ以上の力をそれと同じ効果をもつ一つの力にまとめることができる。

 一つの点に大きさが等しく方向が反対の二つの力が働いているときは、この二つの力はつり合う。

 力の三要素とは、力の大きさ、力の向き、力の作用点をいう

物体に働く摩擦力

 他の物体に接触して静止している物体に、接触面に沿う方向の力が作用するとき、接触面に働く摩擦力を静止摩擦力という。

 静止摩擦力は、物体に徐々に力を加えて物体が接触面にそって動き出す瞬間に最大となる。

 静止摩擦係数をμ、物体の接触面に作用する垂直力をNとすれば、最大静止摩擦力Fは、F=μ×Nで求められる。

 最大静止摩擦力は、物体の質量や接触面の状態に関係がある。

 物体に働く運動摩擦力は、最大静止摩擦力より小さい。

 物体が転がって動くときに働く摩擦力を転がり摩擦力という。

 転がり摩擦力は、一般に滑り摩擦力に比べると小さい。

 摩擦力は、垂直力に比例するが、接触面積の大きさには関係しない

 物体が他の物体に接触しながら運動しているときに働く摩擦力を運動摩擦力という。

玉掛け用ワイヤロープのつり角度と張力

 2本の玉掛け用ワイヤロープで荷をつる場合、つり角度が小さくなるにしたがってワイヤロープを内側に引き寄せようとする力も小さくなる。

 2本の玉掛け用ワイヤロープで荷をつる場合、そのワイヤロープにかかる張力は、つり角度が大きくなるにしたがって大きくなる。

 2本以上の玉掛け用ワイヤロープで荷をつる場合、その掛け数、つり角度のときにつることができる最大の質量と、基本安全荷重(質量)との比をモード係数という。

 掛け数が2本づりの場合、つり角度が0°のときのモード係数は2.0である。

 2本の玉掛け用ワイヤロープで荷をつる場合、つり角度30°のときのワイヤロープの張力係数は、1.04である

 

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